翌日1
翌日、タヌキ君が亡くなったことが、動物たちに広まりました。
「あの、やさしいタヌキ君が亡くなったんだって。」
「どうやら誰かに殺されたらしいよ。」
「怖いねー。」
「なんでも、死体はひっかかれたような傷があるらしい。」
そのころ、ライオンは離れて動物たちの様子を伺っていました。ライオンは、自分が現場にいたことが、ばれているのか、ばれていないのかわからなかったので、遠目から様子を伺っていましたが、結局わかりませんでした。とりあえず家に帰ることにしたライオンは途中で、ヘビ君に出会いました。
「どうしたライオン君そんなに焦って…」
「やあ、ヘビ君、今日はいい天気だね。なにかあったのかい。」
「なにもないけど、どうした急に、」
「ちょっと急用があってね。急いでるんだ。」
といいながら、急いで家のなかに駆け込みました。
まだばれていないのかと思い、少し安堵しましたが、どうしてこんなことになったんだと不安になることを考えてばかりです。でも、疲れていたのでしょうそのまま眠ってしまいました。
翌日、ライオンは外の騒ぎ声で起きました。
「何なんだ。」
といいながら外をみると、他の動物たちが一様に集まって、ライオンの家を遠巻きに伺っています。
ライオンは、何が起きているかを確認するために、外に出てみました。
「みんな、おはよう、集まって何かあるの?」
他の動物は目を合わさず、あとずさりしながら、どこかに散っていくばかりです。ライオンがその様子にますます困惑していると、「殺人鬼」と罵声が聞こえてきます。その言葉の主は、昨日、話をしたヘビ君です。
「殺人鬼、この土地から出ていけ。」
「僕は殺してない。」
「犯人はみんなそういうんだ。昨日動揺していたし、こいつが犯人だ。」
「僕は…」
「どうした、都合が悪くなったら俺を食べてしまおうとか考えているんだろ。」
「そんなこと。」
「おまえなんか消えちまえ」
ダメだ、とりあってもらえない。他の動物も同じだ。みんな、僕を犯人だと思ってる。
そう思ったライオン君は、その場から逃げ出しました。