それぞれの過ごし方
(アシェル視点)
旦那様にキアル様から手紙が届いたのと一緒に、学校で一緒だったやはり執事になったグレンから私に手紙が届いた。全ての仕事を終わらし部屋に戻るとすぐ手紙を読んだ。
まったく、その手紙の内容ときたら。どうもキアル様は養子を迎えたそうなのだが、その養子がユーキ様と同じ歳らしい。名前はハルト様と言うのだそうだが、そのハルト様の自慢ばかりが書いてある手紙だった。
容姿が可愛い、仕草が可愛い、拙い言葉で話す姿が可愛い。全てに置いて可愛いと自慢してきていた。そちらのユーキ様よりもハルト様がの方が可愛いとも書いてきていた。
なんだこの手紙は。奴が言うのだから確かに可愛いのかも知れないが、ユーキ様に敵うはずがないのだ。全ての可愛さを持ち合わせているのはユーキ様しか居ない。それをユーキ様よりも可愛いなどと。これは1度奴にきちんと説明してやらなければ。
幸いキアル様がハルト様を連れ、こちらに遊びに来るらしい。その時奴も一緒に付いてくるそうだ。ちょうどいい。久しぶりにお酒でも飲みながらユーキ様についてすべてを語ろう。
机の上に置いてあるユーキ様の日常生活を書き記した日記に、今日のユーキ様の可愛い姿を忘れないうちに書き記す。今日は水飴を身体中につけ、しかもそのまま旦那様に抱きつき怒られていた。その時のユーキ様のお姿。思い出してニヤニヤしてしまう。
日記を書き終え、寝る準備を始めたが、ユーキ様が今までにくださったプレセントの数々が目に入り、ふと考えを変えた。そのプレゼントの数々を見ながら、少しお酒を飲んでから寝るとしよう。
明日もユーキ様の可愛いお姿を見るのが楽しみで仕方がない。
(グレン視点)
ようやくあいつに自慢の手紙を出すことができた。学校で一緒だったアシェル。アシェルから何度も手紙が俺に届いていた。
どんな手紙かといえば、ハルト様と一緒で養子になられた歳も同じの、ユーキ様という方の自慢しか書いていない手紙だ。全てユーキ様が可愛いという手紙なのだが。
何度も何度もその自慢の手紙に俺もいつか自慢の手紙を書いてやりたいと思っていたが、まさか本当に自慢の手紙を書くことが出来るとは。旦那様の手紙と一緒に手紙を出したため1回しか手紙を送れていないが、書けるだけハルト様の可愛さを自慢しておいた。手紙10枚くらいか?だがこれでは奴の手紙の量には到底及ばない。
今度キアル様はハルト様を連れて、ウイリアム様の元へ遊びに行くらしい。それに同行していい事になった俺の嬉しい気持ちと言ったら。これで奴の間違いを直に正してやれる。この世で1番可愛い方はハルト様だということを。ユーキ様には失礼になってしまうが、絶対にハルト様の方が可愛いのだ。
部屋に戻り、ハルト様から頂いたカフスボタンを、机の引き出しに入れた箱の中から取り出す。今日はいろいろやる事があり落とすといけないと思い、しまって置いた私の宝物。奴に会いに行くときにはこれを必ずつけていこう。落とさないようにオニキスに結界も張ってもらうか?
いろいろ考えながら、箱を机の上に置き、お酒とコップを持ってきて座る。疲れた日はこれをするのは日課だ。ハルト様の事を思いお酒を飲み疲れを癒す。そういえばビアンカも付いてくる許可をもらっていた。ビアンカもあちらに友人がいるからな。自慢をしに行く私と違い何かやる事があると言っていたが、何のするのだろうか?
お酒を飲み終わりリラックスした状態でベッドに入る。明日も可愛いハルト様のお姿を見るのが楽しみだ。
(アメリア視点)
まさかこんなに早く願いが敵うなんて。私はユーキ様が家に来られてからちょくちょく、友人のビアンカに手紙を書いていました。もちろん可愛い天使のようなユーキ様の事を報告するためです。私の手紙にビアンカはいつも、喜んで手紙を返してくれていました。そして天使のユーキ様にお会いしたいとも言っていたのですが。
つい最近ビアンカの仕えているキアル様のご家族として、ユーキ様と同じお歳の可愛いやはり天使ハルト様のという方が養子になられたそうです。ハルト様を養子に迎えてすぐにビアンカから手紙が届きました。私のところにも天使が来られたと。
それからはお互いずっと、ユーキ様とハルト様をご一緒に拝見したいと言っていたのです。天使と天使が並んでお遊びする姿を見たいと。
詳しく手紙をやり取りしてみれば、どうも同じお洋服を着ているようなのです。クロエ様のお店のあの可愛いうさぎの着ぐるみやネコの着ぐるみです。
そうです。天使のお2人が、同じ可愛い格好をしているのです。これを無視する事ができますか?いいえできるわけありません。絶対に見なくてはならないものです。
この度旦那様のご友人のキアル様が、ハルト様を連れ訪ねてこられるそうなのです!そしてそれにビアンカもついてくると。これは私共にとって最大の願いが叶うチャンスなのです。
ああ、これからが大変です。ハルト様が来られるまでに、準備しておかなくてはならない事が山ほどあります。明日からは仕事の後、全ての時間を用意の時間に使わなくては。完璧な状態でお迎えするのです。そして…。ふふふふふ。思い浮かべただけで、心がはねてしまいます。
さあ、今日もこれから準備しなければ。私はユーキ様のお部屋へと、お召し物をとりに向かいました。今日の準備はお召し物のチェックです。
(ビアンカ視点)
ああ、出かけるまでに完璧に準備をしなければ。いくら時間があっても足りないくらいよ。
アメリアからずっともらっていた手紙。いつもユーキ様の話が書いてありました。その手紙を読み、想像するのが私の日課でした。どれだけユーキ様という方は可愛いのだろうと。天使なのだろうと。
フレッド様はもう大きくなられ、カッコいいという言葉の方があってきた今、私の気持ちを癒してくれたのは、アメリアからのユーキ様に関する手紙でした。
そしてそのユーキ様にお会いしてみたいと思っていた頃、私の元にも天使が現れたのです。
キアル様がお連れになったハルト様。お姿を拝見した瞬間、ああ、私の元にも可愛い天使がととても嬉しく、その日はずっとスキップをしていました。
今まではアメリアだけの手紙だったのを、私もハルト様の事を手紙に書き、ずっと手紙の交換を続けてきました。そしてそれで分かった事。天使2人は同じ可愛いお洋服をお召しになっている事が分かったのです。
それに気づいた私達は、いつかお2人揃った状態で、その天使の姿を拝見したいと思っていました。
それが、その願いが叶う時が来たのです。旦那様がウイリアム様の所へお出かけになると、それに私も同行する事を許してくださったのです。
ボケっとしている場合ではありません。完璧に準備を整え、お2人の姿を拝見するまで、気を抜くわけにはいきません。天使の姿を拝見するには、それだけ気を使わなければならないのです。
さあ、今日は何から準備をしようかしら。