ユーキとハルト 1
*ユーキside*
(ユーキ視点)
「ユーキ、もう少し経ったら、お父さんのお友達が遊びに来るんだ。名前はキアル。それで、キアルが遊びに来る時、彼の子供のハルト君も遊びに来るんだ。ユーキと同じ2歳だ。お友達になれるぞ。」
「おともだち?やったぁーでしゅう!!」
もうすぐお父さんのお友達が遊びに来るんだって。僕にもリク君じゃない他の新しいお友達が出来るかも。嬉しいなぁ。
僕は急いで僕の遊びのお部屋に行きました。今のうちに用意しておかなきゃ。新しいお友達にお菓子のプレゼント。僕前にリクくんと初めて遊んだ時、剣のおもちゃ貰って、とっても嬉しかったから、ハルト君に僕もプレゼント。
お菓子の箱の中をガサゴソ。この前ザクスさんが遊びに来てくれて、たくさんお菓子もらったんだ。今遊びのお部屋にはお菓子の箱が1つだけ。他のお菓子の箱、10個くらいあるけど、今は別の色々な食べ物と一緒に、他のお部屋にしまってあります。
どんなお菓子がいいかなぁ?クッキーいっぱいあるからクッキーにしようかな。お菓子を入れる袋は、そうだ。アメリアに袋もらおう。
「こちらの袋はいかがですか?可愛いくまさんが描いてある袋ですよ。」
「くましゃん!うん、これにしゅる!」
後でリボン付けてくれるって、アメリアは掃除に行っちゃいました。僕は袋にクッキーを入れて、それからアメもたくさんあったから、アメも入れました。
「ん?」
お菓子の箱の1番下に、ビンが入ってました。何だろう?持ち上げてみたけど、透明のビンじゃないから、中身が何か分かりません。フタを開けようとしたけど、全然開かないんだ。
「ふにゅにゅにゅにゅ!」
「ユーキ、顔が真っ赤だぞ。こういう時は我をすぐ呼べばいいだろう?」
エシェットがいつの間にかお昼寝から起きて、僕の隣に来ました。それで簡単にビンのフタを開けてくれました。ん?なんかトロトロしてる物が入ってる?う~ん。お菓子の箱に入ってるからお菓子だよね。甘い匂いもするし。よし舐めてみよう!確かおやつのスプーンが机の上に。エシェットにスプーンとってもらって、トロトロをすくいます。そして。
「ぱくっ!!もぐもぐ…、もぐもぐ…。!!!おいちい!!」
これトロトロのアメだ!!とっても美味しいよ!!僕がもうひと口食べてまた喜んでたら、みんなも食べる!って集まってきました。順番にアメをすくって舐めます。大きなお口のスプーンじゃマシロはダメだから、僕の手にすくってあげました。こんなに美味しいアメがあるんだね。
(ウイリアム視点)
「な、なんだこれは~!!」
なかなか部屋から出てこないユーキの様子を見に行ってみれば、水飴の入った瓶を片手に、顔や洋服、そこら中に水飴をつけたユーキが座っていた。精霊コンビも他の面々も水飴だらけだ。妖精組は姿が分からないが、多分同じだろう。
ニコニコ顔のユーキが私に駆け寄ってくる。まずい!あのベトベトの手で触られたら私の服まで水飴だらけだ。
「と、止まれユーキ!」
しかしユーキはそのまま私に抱きつき…。
その日の夜、夕飯を食べ休憩室で休んでいた私は溜め息をついた。ユーキは横でマシロのもふもふを楽しんでいる。
「今日はまいった。」
「あなたお疲れ様。お風呂にも入れてくれたのね。」
「ふろに入れなくてはいけなかったんだ。髪の毛も顔も体も水飴だらけだったからな。」
「でもユーキちゃんは満足だったみたいよ。お菓子のプレゼントの用意もできて、水飴も食べられて、あなたとお風呂にも入れたし。」
「だろうな。ユーキは楽しかっただろう。」
「とうしゃあん!」
マシロと遊んでいたユーキが駆け寄って来た。そんなユーキをひょいと抱き上げる。
「えへへへ、とうしゃん。」
久しぶりに私とお風呂に入れて嬉しかったらしいユーキは、今日私から離れることはほとんどなかった。まったく、プレゼントを用意するだけであれだけの騒ぎか…。だが、それもユーキか。
知らずに笑っていた私のことをオリビアがやはり笑っていたことを私は知らない。
*ハルトside*
(ハルト視点)
「おともだち?」
「そうだ。今度俺の友達のウイリアムという奴の所へ遊びに行くんだ。ハルトも一緒だぞ。そのうちにハルトと同じ歳の男の子が居るんだ。お友達だ。良かったな。」
今度どこかの街に、お父さんが友達に会いに行くんだって。それに僕もついて行けることになったんだ。僕と同じ2歳の男の子が居るみたい。ちゃんと友達になれるかな?
遊びに行くなら、その子に何かプレゼントとか持って行ったほうが、仲良くなれるんじゃ。一緒に遊べる物とか。
「おとうしゃん、おともだちにぷれじぇんと。」
「ん?そうかそうか。確かその子もおままごとが好きだと言っていたな。おままごとのおもちゃが良いと思うぞ。」
お父さんにそう言われて、僕はさっそく自分の部屋に。それから、おもちゃ箱をガサゴソ。う~ん。大事な物ばかり。どうしよう。いろいろお屋敷の中探してみようかな?
僕はいろんな部屋回って何かいい物ないか見つけることにしました。見つけてあげてもいいか聞いて、後でラッピングしよう。
そう思っていろいろな所探したんだけど、なかなかいいの見つかりません。厨房とかも行ったんだよ。でも、おままごとにぴったりなのないんだ。最後に行った部屋は、魔力石がたくさんしまってある部屋。魔力石の他にも魔法に必要な物がいろいろしまってあるんだって。
中に入って、ガサゴソいろんな箱を調べます。ん?これなんだろう。1つの箱の中の、それまでは種類で分けられてた魔力石がバラバラに入った箱がありました。
「それは力を使いきった魔力石だな。」
そうオニキスが。ふーん?じゃあ、もう要らないよね。これ石自体は綺麗だから、これならおままごとの道具として使えるんじゃないかな。うん。これにしよう。持ってきた袋に、いろいろな石を入れていきます。その時、別の箱見てたフウとライが、
「ねえハルト、これ他の石と違うよ。」
「これ風の魔力石だけどちょっと色が濃いんだ。」
2人がその石を僕の所に持ってきました。2人が言った通り、他の石よりも濃い緑です。僕はその石を持ってみました。そしたら、
「ふわわわ!!」
「きゃあぁぁぁ、ライ!助けて!」
「フウ、掴まって!!」
「キュキュッ!!」
「キュイキュイ!!」
「ハリュト、たしゅけて~!!」
風が部屋の中吹き荒れて大変なことに。そして…。
「いいか!この部屋に入る時は、誰か大人の人を呼ぶこと、分かったな!!」
「ご、ごめんちゃい。」
部屋の中は風が吹き荒れたせいでめちゃくちゃ。お父さんに怒られちゃったよ。
(キアル視点)
「はあ。」
「それで怪我はなかったのね。」
「あ、ああ。」
部屋の片付けを使用人に任せて、ハルトを自分の部屋に帰し、俺が仕事部屋で溜め息をついていると、パトリシアが部屋に入ってきた。
まさかハルトがあの部屋に入っているとは。あの部屋に入っている物はすべて魔法に関する物、けっこう危ない物が入っているんだ。
ハルトの行動力をすっかり忘れていた。まさか全部の部屋を回っていたとは。俺が仕事をしている部屋や、誰かが仕事をしている部屋はちゃんと良い子に入って来なかったのだが。はあ、無事で良かった。
それにしても魔力石を持っただけで魔法を使ってしまうとは。ハルトは一体どんな、どれくらいの魔力を持っているんだか。
「あなた、そんなに心配な顔をしないで。ハルトちゃんには私達が、ゆっくりじっくり教えるしかないわ。どんな物が危ないとか、触ってはいけないとか。まだ小さいハルトちゃんにはコントロールは難しいもの。大丈夫。ハルトちゃんは賢いから分かってくれるわ。」
「ああ、そうだな。」
ハルトを引き受けると決めた時から、ハルトのことはすべて私達の責任だ。ハルトが他の人間から狙われないように、しっかり守ってやらなければ。それにしても。
「うちのハルトは天才だ。クククッ、あいつに自慢出来ることが増えたぞ。待ってろよ。いつもいつも自慢の手紙ばかり送ってきて。今度は俺の番だ。」
「はあ、あなたもあなたね。」