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「ヴィオラ」

威厳に満ちた声が邸に響いた。

実際はそんなに大きいわけではないのになぜか邸中に木霊して空気を重くしている感じがした。

多分、私の気のせいだと思うのだけど。

玄関ホールで姉からの抱擁を受け、その後ろ、少し離れたところに母と父が並んでいた。

私の名前を呼んだのは父だ。

父はいかめしい顔つきで私を睨みつける。

「アレクセイの者が騎士団に連行されるなど、家の恥だ。二度と、そのようなことのないようにしろ」

「・・・・はい」

「お前は暫く謹慎だ」

私には非がないのに。でも、言ったところできっと私の言うことなんて聞いてはくれないだろう。なら、ここは大人しく従っておこう。

「お父様、謹慎だなんて。あんまりだわ。確かに犯罪者と友達だったヴィオラにも非があるけれど」

友達じゃない。悪行に誘われた時、私は彼女と初対面だったのだ。

姉は胸の前で手を合わせ、目を潤ませて父に訴える。

「でも、ヴィオラは何も悪くないわ」

妹を庇う心優しい姉。そんな自分に酔っているのだろうか?そんなふうに考えるのは私がひねくれているためだろうか。

「リリス。だがね、どんなにお前が言っても、たとえ無実でも家に恥をかかせ、泥を塗ったヴィオラにはそれなりの制裁が必要なのだよ」

私に向けて来た目とは違って優しく、声も思いやりのある温かなものだった。

「でも」

「分かりました。部屋で大人しくしています」

姉の同情なんて欲しくなかった。だから、私は父の言うことに従った。


***


「お嬢様」

部屋に戻ると直ぐに侍女のミランダが来た。

「慣れないことでお疲れでしょう。お風呂の用意をしておきました。まだ、入るには早すぎますが。今日はゆっくりと浴槽に浸かって早めに休みましょう」

「そうね」

部屋に入った瞬間、立つのも怠いぐらい疲れが押し寄せて来た。

私はミランダの気遣いを有難く思い、ベッドに直行したい気分を我慢して浴室へ向かった。

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