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精霊に愛された少女の妹は叶わないからこそ平凡を願う  作者: 音無砂月


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イリス殿下のことで姉と揉めてから数日が経った。

我が家は今、いつになく慌ただしくみな険しい顔をしていた。

邸から明かりが消えたように住人から笑顔が消えた。

なぜなら、暫く体調が悪いと部屋に引きこもっていた姉が忽然と姿を消したからだ。

両親もルーファス殿下も大慌てで探している。

だが見つからない。精霊の加護を持つ姉を失うわけにはいかないと国をあげて探しているが姉はどこにもいなかった。

姉が自ら姿を消すとは考えにくいと思っている両親やルーファス殿下達は誘拐の可能性を考えているようだ。

でも私は何となく姉は自分の意思で姿を消したように思えた。

そしてそれが事実なら姉が見つからないのは当然なのだ。

姉が見つかりたくないと思っているのなら精霊達が総力を上げて姉を隠すだろう。

それに本当かどうかは分からないが姉が昔言っていた。精霊には『精霊の国』と呼ばれる、精霊だけの国があり、そこに人は踏み込むことができないそうだ。

ただ一人、精霊に愛された人間以外は。

もしかしたら姉はそこにいるのかもしれない。

「リリス様、どちらに行かれたのでしょうね」

自室で紅茶を飲む私の傍らに立ちながらミランダが心配そうにぼやいた。

「そうね」

誰もが姉を心配し、必死に探している。その中でいったいどれだけの人が姉の身を本当の意味で案じているのでしょうか。

精霊の加護を無視して、姉を個人として見てくれる人はいるのでしょうか。

生まれながらに特異だったが故に姉には、そして私にも分からない。誰かにとっての自分がどういう存在なのか。

姉は多分、今誰かの助けを必要としている。

私はドレスのポケットにそっと触れた。僅かにかさりと音がした。そこにあるものが何か私は知っている。

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