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精霊に愛された少女の妹は叶わないからこそ平凡を願う  作者: 音無砂月


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10/28

10.イリスside

私の名前はイリス・マキナー。

私がヴィオラを初めて見たのは学校の図書室だ。

雪のように白い肌に桜色の髪とルビーの瞳がよく映える。

とても美しい顔を難しそうに顰めて本を読んでいた。

何を読んでいるのか気になった。彼女の年齢にしては難しい本を読んでいるなと思ったのが最初の出会いだった。

最初はそれだけだった。目立つ容姿のせいか、時折彼女のことは目についた。

吹けば消えてしまうのではないかというぐらい大人しい子だった。

「ヴィオラ嬢ですね。最近よく見ているようですが、気になりますか?」

側近のオレットが窓からヴィオラを見ていた私にそう声をかけた。

ダークグリーンの髪をしたこの側近は本当によく私の事を見ている。

「お姉様とは随分と雰囲気が違いますね」

「ヴィオラが道端に淑やかに咲く可憐な花なら、リリス嬢はさしずめジギタリスの花といったところか」

「猛毒ですね」

私の言葉にオレットは否定してこなかった。彼も似たような意見を持っているのだろう。

賓客として王宮の客室を与えられているので王族の婚約者であるヴィオラの姉、リリス嬢とは何度か言葉を交わしたことがある。

明るく、活発な令嬢だった。社交的な性格ではあるが彼女はあまり人のことが見えていない人だというのが私のリリス嬢に対する感想だった。そして、それはちょっとしたことからヴィオラと親しくなっても変わらない評価だ。

むしろ、ある時王宮で呼び止められてヴィオラから迷惑がられていると彼女が私に嘘をついたことでより一層深まった。

私は王族として生まれたので、己の欲のために甘言を浴びせる輩が多い。

惑わされないために身に付けたのが他人の嘘を見抜く力だ。

そして、彼女はヴィオラのことで明らかに嘘をついていた。

瞳孔の開き具合い、視線の動き。人とはどれ程上手く嘘をつこうとも何かしらの違和感が体や顔に出てくるものだ。

そういう訓練を受けていない人間なら尚更。

「随分とふざけた嘘をつく女だ」

憤りが体の中を燻るが、視線をヴィオラに向けただけで霧散する。

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