アーサーは強い奴から攻略するタイプかもしれない
ちょっと私情により筆を止めてました…キレが落ちてますがなにとぞご容赦ください。
ヤマトの忠告を受け、あれからアーサーの訓練に迷いが生じるようになった。
「なにをしている、アーサー」
「ぐ…すみません、考え事を」
「…もうよい、しばらく休もう」
「と、父さん!」
「なんだ」
「…いえ、お言葉に甘えて休みます」
そういうと、アーサーは姿を消した。エクスカリバーを大切そうに抱えて。
先日のヤマトとの会話に少なからず影響を受けているだろう。アーサーにとってヤマトは、はじめて出会った聖剣使いであり、はじめて裏切られた先輩でもある。まだ人を疑うことを知らなかったアーサーにとってはよほどこたえた様子だった。
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「アーサー!戻れ!」
「父さん、ヤマトはなんで『猛者』にならなければならなかったのでしょうか」
「アーサー!それとこれは別だ!いまのお前では、伝説の扉を斬り伏せることはできない!」
「なんでですか!」
ぴしゃりとアーサーが荒げる。思わずたじろいでしまった。
「ヤマトは、僕に言ったんです」
視界をふさぐほどの豪雨の中、アーサーは細い声で続けた。
「一緒に『賢者』になろうって」
「この世界を同じ立場から眺めようって」
「約束したんです…」
雨が僕とアーサーの中を少しずつ埋めていく。アーサーの頬を涙と見紛う粒が垂れた。
「アーサー…」
若き獅子は顔をくしゃくしゃにしながら地を這った。
いまから4年前のことだった。アーサーはまだ若い。まだ時が満ちていなかったのである。
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あの時から、アーサーは強くなった。太い志を手に入れ、天を貫くほどの気迫を身に纏った。エクスカリバーをより長くより鋭くより大きく成長させた。
あいにく、伝説の扉とはまだ対峙していないため、どれだけ吠えても詭弁に過ぎないが、尊敬する先輩を奪われたことによる覚悟がアーサーを前へ歩ませていることだけはわかる。
「父さん、おやすみなさい」
アーサーの声が聞こえた。
「おお、ゆっくり休めよ」
すでに夜が更けてしまった。伝説の扉との対峙はいつになるのだろうか。この物語も中盤だぞ。そんなことをぼんやり考えていたら、轟音が聞こえ、同時に壁が割れた。
口を大きくあけながら状況把握に努めようとしている僕をよそに、音はどんどん唸りを増していく。
外では豪雨と暴風が入り乱れていた。音が鼓膜をぶち破ろうと暴れている。あっという間に部屋が水浸しになった。台風とは一線を画すレベルの災害である。
「…派手な訪問だな」
軽いジョークを飛ばしつつ、心の中で確信を持った。噂をすればなんとやらか。
「父さん!」
そろそろボス戦いかせないとやべえって焦ってました。たぶん次のお話でボス撃破でしょどーせ。