8 転生ライフ歴2000年
俺の意識はだんだん遠のいていった……
○
「お久しぶりですねー……雷覇さん」
そうか……また戻ってきたのか。
「私はこの空間からあなたの様子を見ることはできませんが、500年ほど前、フユカと言う人が来て、あなたの安否を必死に確認されていました。一応、転界には来ていなかったので、生きているといったら、喜んでいましたよー。というか、異世界で何かあったんですかー?サイファが教えてくれなくて……」
「何もないですって。何回言ったらわかりますか?」
……「実は結婚して、子供もいます!」なんて、絶対言えない。
「は、はい……別に何もないですよ」
「そ、そうですよ、シンファ。誤解ですよ」
「……本当ですかー?てっきり、実は結婚していて、子供もいるなんて思ってましたー」
はい、その通りです。
「そんなことより雷覇さん、ポイントカードを出してください」
疑問に思っていた人も多いと思うが、この空間に来た時にポイントカードは自動的にズボンのポケットに入るらしい。
俺がポケットからポイントカードを取り出すと…それはスタンプでいっぱいになり、光輝いていた。
「……とうとう100回目の転生ということですか?」
「はい。今から転生ボーナスについて話させていただきますねー」
「雷覇さん。転生ボーナスには個人差があるとフユカさんに言われたの覚えていますか?」
「まぁ、一応覚えています」
「フユカさんの場合の転生ボーナスは、転生ルーレット使用回数が100回増え、また新規のポイントカードをもらえることです。それと、転生場所はまたランダムになります」
なるほど。フユカも出落ちライフを送る可能性があるのか。
「そして雷覇さん、貴方は転生魔法を使ってこの空間にやってきたので、来世での種族は第2宇宙の人間……先程までいた空間の何年後かの世界となります。何年後になるかは、転生ルーレットで決めていただきます」
おぉ!それはありがたい。
「では、雷覇さんの転生ボーナスについて話させていただきますねー。雷覇さんの転生ボーナスはぶっちゃけ、来世でのお楽しみということになります。名前は自分が考えた通りになるので、心配はいりません。雷覇さんにはおまけがつくんですが、そちらも説明しますか?」
「じゃあ、お願いします」
「雷覇さんは来世で延命魔法を使用できなくなりますが、代わりに初期段階から不老不死と、お好きな属性魔法を1つ習得できます。好きなタイミングで、不老不死魔法は使えます。属性魔法は何にしますか?」
別に、迷う必要はない。
「雷操魔法でお願いします」
まぁ、名前に由来しただけなのだが。
「わかりました。雷操魔法ですね……ちょっと待ってください」
「はい、転生の用意ができました。雷覇さん、心の準備はいいですかー?」
「はい!」
「では、そのカードを天にかざし、転生ルーレットを呼び出してください」
今回はセルフサービスなのか。
「……こ、こうか!?」
ポイントカードをかざすと、地上50mぐらいから光輝く転生ルーレットが落ちてきた。
ーー俺は、めちゃくちゃ転生した。これで100回目の人生だ…2000年間…思い返せば、ろくなことなかった。生きていることを実感できた時間より、これから死ぬことを実感した時間が多かった気がする。2000年間、転生の日々においやられ、辛い日々を過ごししてきた……なんにせよ、もう転生しないで済む。
転生ルーレットには、「第2宇宙 人間」と、全て書かれていて、10年後〜10000年後までの枠があるようだ。
ーー結果は……
「「第2宇宙 人間 1000年後ですね!それでは、最後の転生です!いってらっしゃい!」」
2人がそう言うと、俺は意識を失い、その場に倒れこんだ。
やっと本編突入しました!次回は波乱の予感です。