6 見張りがしつこい
さぁ、次の転生だ。
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やっと意識を取り戻し、目を開けると、どうやらここは室内のようだ。
新しく外見を確認すべく、鏡を探すために辺りを探してみる。
1回目に死んだ時ほどではないが、結構暗いな…
窓はないのだろうか。それとも、夜なだけか。
「おぉっ……」
鏡を見つけ、それを覗きこんでみると、そこには自分ではない誰かが立っていた。これが新しい自分の体みたいだ。
顔はそこそこ。別に特徴はないが、チャームポイントとしては、左目の下にほくろがある。茶髪。目は黄色。ちょっとコワモテかも。
あ、そういえば、ステータスはどうなってるんだろう。
ーーそう思った途端、目の前にステータスが表示された。
光っているが、ブルーライトは出ないので、視力は低下しないらしい(シンファ談)。
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グライア=ワイズミ 男(518)
職業:魔法使い
レベル:15(最大:500)
体力:84(最大:84)
魔力:71(最大:72)
攻撃力:56
防御力:63
素早さ:84
知力:102
魔法:ステータス表示、火操、雷操
特殊能力等:転生ルーレット使用(残り使用回数1回)、自害転生
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おお!超本格的!
ちゃんと魔法が使えるようになっている。
てか、ステータス表示は魔法なんだな。魔力が1減っている。
そして何より、体力が0じゃない!生きてる…何か幸せだ……
折角転生したので、異世界の空気を吸おうと、外に出られる扉ーーが、ない。
……一体ここはどこなんだ?
今周りにあるものを、ステータス表示の光を頼りに確認してみる。
鏡、トイレ、石の壁、石の床、固そうなベッドが2人分、謎の鉄の棒、今俺の腕にしがみついている1人の女の子…と、手錠。
はい、勘のいい人は気づいたと思いますが。
「牢獄か」
「その通りだ、魔法使いめ」
「誰だ」
謎の鉄の棒ーーではなく、檻越しにだれかが話しかけてきた。
「この収容所の見張りだ、魔法使いめ」
ということは、俺は捕まっているんだな。
この人、魔法使いに何か恨みでもあるのか?
まだ、状況が把握できないので、聞き出すべく、丁寧に質問してみる。
「み、見張りさん、3つ質問があります」
「なんだ、魔法使いめ」
「ここはどこですか」
「ゼード州の強制収容所だ、魔法使いめ」
「なんで俺は捕まっているんですか」
「お前が魔法使いだからだ、魔法使いめ」
「この女の子は一体何ですか」
「ドラゴンの魔法使いだ。ツノが生えているだろう、魔法使いめ」
確かに。
暗くてよくわからなかったが、ツノがある。
見た目は17歳ほどで、顔はまぁまぁかわいい。髪の毛は緑色で、目は濃い赤色。俺の腕に助けを求めるようにしがみついている。かわいいな。
てか、語尾に「魔法使いめ」って毎回つけるのやめろ。
「……変なやつだ。まぁいい、また見張りにくる。せいぜい余生を楽しむ事だな、魔法使いめ」
ふぅ……
最後までキャラぶれなかったな、あいつ。
「ふ、フユカ」
「ん?」
「フユカ=ハルオカ……私の名前。あ、あなたは?」
「俺は雷ーー」
じゃなかった。
「コホン、お、俺はグライア。グライア=ワイズミだ」
「グライア、いい名前ね」
やっとドラゴンの女の子ーーフユカが口を開いた。
「フユカ、さっきの奴は魔法使いだから捕まっていると言っていたが、あれは本当なのか?」
「はい。あの人の言っていることは本当です。私たちは、魔法使いという理由で、この強制収容所に監禁されています……ひ、1つ気になったんですが、あなたもしかして転生者ですか?」
んん?さりげなく、とんでもないワードが飛んできた。
「今、転生者って聞こえた気がしたが、気のせいか?」
「いえ、違うなら別にいいんです、すみません」
「……確かに俺は転生者だ。第3宇宙からのな。だが、何故わかった?」
「1時間ほど前、あなたはこの強制収容所に送られてきました。正確にはあなたの体ですね。檻に入った途端、倒れこみ、意識を取り戻すと、いきなり鏡を見始めたので」
なるほど。そりゃ疑われても仕方ないな。
「……それともう一つ」
「それだけじゃないのか?」
「実は、私も第3宇宙からの転生者です」
え。