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36 超強い旧友

「アタシはカミカゼ=ラシルフィードだ。剣聖とよばれている。お前、ライナと言ったな。その魔力……どこかで見たことある気がするが、気のせいか?」



……さっきの予想はなんだったんだろう。

あれ?眼帯つけてたっけ?



まぁ、否定はしておく。

「き、気のせいでしょ」

「まぁいいか。……アタシの邪魔をするなら、容赦しない!」

「望むところなのだー!」

「ちょっ、リアっ!」

リアが1人で走って行ってしまった。



「正面から来るのか……」

そう言って相手は剣を振るい、風の刃がリアを襲う。



「危ないっ!」

リアの少し前に氷の壁を作り、風の刃を消ーーせなかった。

斬撃は氷を切断し、また村の方へ飛んでいく。

一応、リアは間一髪のところで回避できたようだ。



「え……?風属性って氷属性に不利なはずじゃ……」

「そんなこと言ってる場合ではないのだ!お前も戦うのだ!」

接近戦を持ち込もうとするリアに対し、相手は距離を取って斬撃を放ってくる。



「わかったよ」

一気に加速して、走っているリアに並ぶ。



「多分、このままじゃ勝てないよ。なんか、必殺技とかないの?私はこの前みたいに爆破できないこともないけど、ここの酸素が全部燃えて、全滅することになるよ」

「……ないこともないが、場所が悪い。今はあいつを捕まえることに集中するのだ」



追いかけるごとに逃げられて、少し距離を取った所で斬撃を放ってくる。魔法を使ったら使ったで避けられるし、村にも被害が出てくる。

さっきから、この繰り返しだし、自信満々だったカズサとエイレーネも、魔力切れになりかけている。



「もう、飽きた」

数秒後、ものすごい数の斬撃が飛んできた。



「避けきれないのだ!」

「やばっ!」

ちょうどその時、右目から強い光が放たれ、無数の風の刃に一直線に向かっていった。



「な、何がおこったのだ?」

「……見たことない魔法だな。お前、一体何者だ?」

「そのうち、分かるんじゃない?」

「まぁいい。どっちにしろ、お前らを倒すだけだ」

何故かはわからないが、さっきの右目から放たれた光は、「朱雷」が発動されたようだ。



また相手が斬撃を放ってくる。



「さっきの感じ……!」

さっきのを意識して、飛んでくる斬撃に向かって手をかざす。



バチバチッ!

しっかりと魔法は発動され、斬撃は消滅した。



「よしっ!」

どうやら、魔力が満タンでなくても発動できるようになったみたいだ。

しかし、いくら強力な呪文をデフォルトで使えるようになったとは言え、形勢が逆転するわけでもなく、強いて言うのならば、互角だ。



「……あ、思い出した。お前、グライアだろ」

「ナナナ、ナンノコトカナ」

「いや、とぼけても無駄だぞ。見た目こそ違うが、お前の魔力、絶対にグライアだ。異論は認めんぞ」

「……この剣術バカめ」

俺は一気に距離を詰めて両手に魔法で即席の氷の短剣を作って相手に叩き込む。



「おい、不意打ちかよっ!」

俺の一撃は受け止められたが、もう、正体がバレたので、短期決戦を持ち込むことにする。



キンッ、キン、キン……。

ガガガッ、ガガガガガガンッ!

「す、すごすぎるのだ……」



雑な効果音で分かりにくいとは思うが、さっきから延々と一進一退の攻防が続いているーーように見えて、結構押され気味だ。

ちなみに、リアは入る隙もなく、カズサ、エイレーネと並んで戦いを眺めている。



「あーもー!おい、シルフィっ!『俺』がグライアってこと認めるから、もうやめにしない?」

「じゃあ、なおさらだろ!お前がなんで女装してんのか知らないが、決着をつけるまでだ!今まで、数えきれない程戦ってきたが、全部引き分けだっただろう!全部魔法使えるとか、卑怯だぞ!」

「はぁ!?女装じゃねぇし!あと、お前の魔法の威力だって、ほとんどチートだし、ステータスだったらお前の方が上だろっ!」

「うるさいわ!この女装男め!」

「だから、女装じゃねぇって言ってんだろっ!」

さっきから、剣を交えながら、こんな口論が続いている。口論と言うより、ただの口喧嘩ねようなものに近いが。

シルフィと言うのは前世でのラシルフィードを呼ぶときの俺の呼び方だ。



「なんかライナ様、口荒くなってません……?」

「賢者グライアの転生体って、本当なんですかね……?」

「だとしたら、これは今世紀最大の戦いーー」

「さっきの嘘!ごめん!」

「おい!それこそ嘘だろ!適当な事……言うなぁっ!」

ちょっと油断していたら、蹴りを入れられて吹っ飛ばされた。

そして、例の斬撃を放ってくる。



「同じては何度も通用しない!」

もう一度「朱雷」を発動し、斬撃を消滅させるのだがーー

「それはこっちのセリフだぁっ!」

魔法の後ろに隠れていたシルフィが走って、今度はほとんどゼロ距離で魔法の斬撃を放ってくる。



「んぐっ……!」

避けきれずに直撃したが、ステータスのおかげで吹っ飛ばされただけで済んだ。

だが、ダメージは相当なものだ。



「相当、息が上がってるみたいだな。もうギブアップか?」

「くっ……!」

万事休す……か。



「いや、諦めるのはまだ早いのだ!我が時間を稼ぐから、エイレーネはライナとアレを取ってきて欲しいのだ!」

「いや、でも、アレは……!」

「もう住人たちも避難しておるだろう。あと、ライナなら開けても構わん。村は後で直せばいい。いいから持ってくるのだ!」

「は、はいっ!ライナさん達、着いてきてください!」

俺たちがエイレーネに連れて行かれたのは、扉が壊された、お城の宝物庫だった。



「ライナさん、これです」

そう言ってエイレーネが指差したのは、ボロッボロの木箱だった。



「……うん?これ何?なんか、禍々しい魔力を放ってるんだけど……」

「玉手箱です。中にアレが入っていますが、開けると生気を全て吸い取られて、いくら寿命がながくても、死にます。過去にも何人も犠牲になった人がいます。ちなみに、これを作ったのは神のポセイドンで、神にも寿命があるので、うっかり死んでしまったようです」

神にも寿命があるのか……。



「というか、私は開けても大丈夫なの!?」

「はい。ライナさんは不老不死なので、どれだけ生気を奪われても、死ぬことはないです」

「なるほど……。本当に、本当なの?」

「はい。前例はないこともないかもしれませんが、リア様が言ってたことなので、多分大丈夫です」

「はっきりしてよ……」

「ライナ様、このまま戦っていても、負けてしまいます!お願いです!」

「まぁ、そこまで言うのなら……。わかった。開ける!」



ガチャ……。

特に鍵とかもかかってなかったので、簡単に開けることができた。



すると、玉手箱の中から禍々しい黒い煙が出てきて、俺にまとわりついた。

「ライナ様っ!」

「来ないで!多分大丈夫!」



30秒ぐらいしたところで、煙は消えた。

「ライナさん、大丈夫ですか?」

「うん、何ともないみたい。……これ何?」



開けた木箱の中には謎の枝が入っていた。

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