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35 あいつは突然やってくる

約十分後。

「お待たせしました。海鮮を使った、カレーです」



「カレー!ありがとうござますっ!残さずいただきます!……あとで、作り方も教えてください」

「かしこまりました」

カズサ、そんなにカレー好きだっけ……?



エイレーネが持ってきたのは、シーフードカレーだった。

見たことも無いようなものが色々入っていて、美味そう……なのかな?



「食べてもいいですか?」

「どうぞ」

「「いただきます!」」

早速、食べてみる。



さて、味の方だが。

「……お、美味しいです。エイレーネさん、この具材は何というものですか?

「オトヒメガメの、卵ですね。激レア食材なので、絶対に美味しいはずです」

あれ?確か、オトヒメガメって、最初に倒した奴だったよな。

まさか、激レア食材だったなんて……。



「あ、そういえばリア、さっき会った時に、14年ぶりって言ってたけど、どういうこと?」

「あぁ、あれか。海の魔物が全滅した事件の少し前、1人の人間……というか、エルフが来たのだ。そして、事件当日、奴から恐ろしい魔力が放たれたのだ」

「うん。それでそれで?」



「そいつは風操魔法使いで、空間の乱れのおかげで、ここに被害はなかったが、その影響が地上に現れたのだ。以降、風が吹き荒れて、地上との交流は途絶えている」

あ、アキアたちが言ってた「島が飛ばされた」ってこのことか!



「あ、ちなみに、その事件の犯人は今地下牢にいるぞ。先代の魔王様が捕らえたみたいだ。まだ時間もあるし、見に行くか?地下牢は、地下10階まであって、迷路のようになってるし、奴がいるのは地下10階だぞ」

「え?大丈夫なの?迷子になったりしない?」

「安全性はばっちりなのだ。……どうする?」

「まぁ、せっかくだし。お願いします」

「よし。エイレーネ、案内するのだ」

「かしこまりました」



行く途中、不意に違和感に襲われた。

「うっ……!?」

「ライナ、どうしたのだ?」

「いや、なんでもない。気にしないで」



地下に進むにつれて、また違和感に襲われた。

「あぅっ!?」

「どうしたのだ?さっきから様子がおかしいぞ?」

「まぁ、たいしたことないから、大丈夫」



地下9階あたりで、事件は起きた。

「あぁぁぁぁっ……!頭が……割れるように痛……い……」

「ライナ!?もう、ただごとではないのだ。エイレーネ、すぐに医務室に運ぶのだ!」

「はい!」

エイレーネが、俺を医務室に運んでいった。



「うぅ……」

「ライナ様、大丈夫ですか?」

「うん。もうばっちり」

「さっきの頭痛はなんだったのだ?」

「うーん……。何かこう、頭痛がする度に、右目にも、少し痛みが……」



「右目?……そういえば、なんでライナは左右で目の色が違うのだ?さっき言ってた罪人もそうだぞ」

「いや、まぁ、それは企業秘密ということで……」

「まぁいいのだ。今日は遅いし、寝るのだ。おやすみなのだ」

どんだけマイペースなんだっ!



「う、うん。私の体調はもう大丈夫だし、部屋で寝たいかな」

「わかったのだ。エイレーネ、頼むのだ。我はもう寝る」

「かしこまりました。ライナさんとカズサはついてきてください」

エイレーネに案内され、寝室みたいな所で一夜過ごした。



翌日。

「ふぁ〜あ。おはよう、カズサ」

「ライナ様、おはようございまーー」



ガキィィィィン!

鋭い金属音が部屋の外で鳴った。



「何!?」

「見に行きましょう!」

すぐに寝巻きから普段着に着替えて、見に行った。



「エイレーネ?リア?いるー!?」

「我はここだ!ちょっと状況把握で忙しいのだ!」

「はい、わたくしでよければここにいます」

「よかった。一体何があったの!?」

「どうやら、何者かが宝物庫を破壊したようです」



「伝令!宝物庫を破った犯人は、地下10階の囚人、カミカゼ=ラシルフィードと思われます!恐らく、宝物庫にある自分の剣を取りにいったのかと……」

「わかりました。今すぐ住人に避難させてください」

「了解!」



「ライナさん……昨日言っていた囚人が脱走したようです。申し訳ないんですが、食い止めてくれませんか?」

「わわ、わかった!」

カミカゼ=ラシルフィード……。

数少ない前世の友達であり、剣術バカであり、そして、現世で「剣聖」と呼ばれている奴の名前だ。

俺が最後に転生してからの時間を考えると、1000年以上も生きていることになる。



しかも、使える魔法が風操魔法しかなかったせいで、「延命」は使えないはずだし、「不老不死」も、転生ボーナスで獲得したものだから、同名の違う人物だろう。



「我も行くのだ」

「ダメです!もしリア様に何かあったら……」

「その心配はいらん。人間形態のステータスなら、ライナほどではないが、900レベルはあるはずだ。まぁ、なんとかなるだろう」

「言っても聞かないですよね……。わかりました。本当に危なかったら、言ってください。わたくしも行きます」

「じ、じゃあワタシも行きます!」

「パーティも揃ったし、その脱獄犯とやらをもう一回捕まえよう!」

そう言ったとたん、城の扉が内側からものすごい勢いで吹っ飛ばされた。



「……」

「奴だ!追いかけるのだ!」



追いかけている途中、リアに聞いた。

「相手ってエルフだったよね!?」

「そうだが、どうかしたのか?」

「結界で閉じ込める!」

人間の作る結界は、魔物には効かない。

つまり、エルフには効果があるのだ。



俺は脱獄犯のエルフの周りに結界を作り出して、出れなくした。

「……らぁっ!」

相手が声と同時に、腰に下げていた二本の剣を抜刀し、そのまま目の前を交差するように切る。



ただの斬撃なら結界が破壊される心配はあまりない。

ただし、威力が結界の吸収量を超えてしまうと、結界は消滅してしまう。



振られた剣の軌道に沿って、魔法が同時に発動する。

いわゆる、飛ぶ斬撃だ。



放たれた斬撃は、易々と結界を切断した後も威力が止むことはなく、村の方に飛んで行った。



爆風と、砂埃を巻き上げ、飛んで行った斬撃は、村に二筋の亀裂を残した。

その亀裂は、斬撃が放たれた位置から、300メートルも離れた所まで続いていて、その凄まじい威力を物語っていた。



「あ、あんなのモロに食らったら、真っ二つなのだ」

「うん、さすがにやばいな……。カズサとエイレーネは、少し下がってて。斬撃が飛んできたら、魔法で軌道をずらすか、避けるかして。私はリアと、この人を食い止める」

「わかりました。エイレーネさんは、戦えるのですか?」

「軌道をずらすぐらいなら、なんとかできると思います」

「心強いです!」



「……そこの2人、名乗れ」

「我はリヴァイアサンだ。リアとでも呼べ。海の魔物を統べているのだ」

「私はライナ。他は……別にないかな。あなたは誰なの?」



「アタシはカミカゼ=ラシルフィードだ。剣聖とよばれている。お前、ライナと言ったな。その魔力……どこかで見たことある気がするが、気のせいか?」

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