33 記憶がおかしい
「「なっ……!」」
届くはずのない、太陽の光。
そして、存在しか知られていなかった伝説(?)の生物。
周りには、魚人やら、人魚やら、海を連想させるような生き物が沢山いて、非常に賑わっていた。
ちなみに、さっき言ってた伝説の生物と言うのは、魚人やら、人魚やらのことだ。
しかも、ここは村なんかじゃなくて、もう、一つの王国のようなものに近い。
というか、村の中心あたりにお城みたいなのが見えるし。
何故か、魔法の影響なのか、この村だけ水が全くなく、恐らく真上から見たら水がない所がドーム型になっているのだろう。
「ライナ様、ワタシたちはなんか……こう、すごいところに来てしまったようです」
「うん、そうだね……」
「リアが行ってた海底の村って、ここであってるよね?」
「……ここであってるはずです。それにしても、なんで太陽の光が差していたり、ここだけ水がないのでしょうーー」
そんな時、後ろから誰かが話かけてきた。
「人間か?……14年ぶりだな。あの事件以来かーーって、ライナか!?」
「はい、そうですけどーーって、リアっ!?」
なんと、後ろから話かけてきたのはリアだったのだ。
「それにしても、なんでリアはここにいるの?バカンスを楽しんでたんじゃ……」
「それはこっちのセリフだ!あと、バカンスは終えて仕事に戻ってた所だ!我も忙しいのだ!」
「じゃあなんで海の魔物を収めてる方がこんな所に?」
「それは……まぁ、部下に仕事を丸投げーー休憩時間だ!」
いや、思いっきり部下に仕事を丸投げしてきてるだろ……。
「と、とにかく!ライナたちはなんでここにいるのだ?」
あ、話戻した!
「え?ここに行けって言ったのあなたでしょ?ついさっき、傷だらけで私の家に来て、魔方陣と詠唱が書かれた紙だけ渡して、意識を失って……。それで、今に至るわけだよ?」
「ついさっき?我がここに戻ってきたのは2日前だぞ?傷なら、もう癒えてるし、そんな紙を渡した覚えもないぞ」
なんで!?リアの記憶が壊れちゃった!!
「カズサ、私何かおかしかった?」
「いえ、ライナ様が言ってることは、全部本当です。リアさん、もう少し思い出してみてください」
もはや、「もう少し」の領域ではない気がする。
「お前ら、何を言っている?……いや、もしかしたら、アレのせいかもしれんな」
「……アレって?何かあるの?」
「まぁ、心当たりはある。お前らの言ってることが本当なら、まずはこの海底の村の歴史から言わないとならん。少し長くなるが、いいか?」
「うん、まぁいいよね?」
「はい、ワタシも知りたいです!」
「まず、この海底村ができたのは、約1000年前。当時、何があったか知っておるか?」
1000年前?何かあったっけ?
「はい、賢者グライアが行方不明になった同じ年に、謎の大爆発で島が五つほど消し飛んだという話ですよね?」
「そうだ。そして、その爆心地がここ。海底の村なのだ」
「でも、なんで呼吸できるんですか?あと、光が差し込んでいるのも……」
「ある学者によると、爆発は賢者グライアによるもので、転生説、暴走説、自爆説などが挙げられている。この3ついずれも、魔力の放出が伴う。……賢者グライアが最強と呼ばれていた理由を知っているか?」
そうだったんだ……。「転生説」が正しいな。
最強と呼ばれていた理由って、確かステータスじゃなかったよな……。
「はい。ステータスでは、竜王様や、剣聖様の方が高かったはずですが、その魔法適正の多さ故に最強と呼ばれていたはずです。確か、全ての魔法を使えたと……」
あ、これ、転生したのそのうちバレそうじゃないか!?
「その通りだ。ところでライナ、さっきから気まずそうな顔をしているが、どうした?」
「わわ、私?別にそんな顔してないよ!」
これ、バレても大丈夫じゃないよね……?
「まぁ、いいのだ。話を続けるのだ」