表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/41

31 リヴァイアサンさん

3人に魔法をかけた後、俺は全力で海に雷を叩きつけた。



「……誰だ。我の眠りを妨げるものは……」

「あれ?カズサ、なんか言った?」

「いえ、ワタシは何もーー」

カズサがそう言った途端に海から体長300メートルほどのとても大きな海蛇が飛び出てきた。



「……我の名はリヴァイアサン。もう一度問う。我の眠りを妨げたのは誰だ!?」

早速来た!

やっぱり、SSランクなことだけあって、でかいし、さっきの雷は倒せなかったらしい。



「カズサ、今なら倒せるんじゃない?」

「うーん、まぁ、やってみます」



「じゃあ海蛇さん。あなたを起こしたのは、この子です」

「リヴァイアサンだ!……わかった。お前か。我を怒らした代償は高くつくぞ!」

「の、望むところだっ!……と、言ってます」

「いや、ワタシーー」

早速、リヴァイアサンの攻撃が来る。



その攻撃方法だが、魔法や物理攻撃というよりは、地形利用に近い。

俺たちの眼前には、街を飲み込むほど大きな津波が迫っていた。



「カズサは、魔族化して2人と空へ避難して!私は津波を食い止める」

魔法の水なら、結界で食い止められるが、自然の水なのでどうしようもない。



走りながら「地操」で、村の周りを円形に土の壁で囲い、水を食い止める。



「……ほう、少しはやるようだな」

「カズサ、悪いけど、あなたじゃ勝てない。土の防壁の上に立って、津波が来たら火で蒸発させて、村を守って!」

「わかりました!アキアちゃんたちはーー」

「アキアたちは、ドラゴンになれば火のブレスを使えるよ!」

カズサに抱えられている2人がドラゴン形態になる。



「じゃあ海蛇さん、悪いけど倒させてもらうよ!」

「リヴァイアサンだ!……圧倒的な力の差を見せてやる!」

そう言ってリヴァイアサンがまた津波を放ってくる。

さっきより大規模なようだ。カズサたちなら、大丈夫だろう。



俺は思いっきり空へ飛んで、リヴァイアサンと同じ目線の所で止まる。

「……風操魔法まで使えるのか。お前、一体何者だ?」

「通りすがりの冒険者……。とでも名乗っておこうかな」



「雷操」を手に付与しながら、リヴァイアサンの方に向かっていく。

ちなみに素手なのは、使える武器が何もないからだ。



雷属性を纏ったパンチがリヴァイアサンの額に直撃する。

「ぐっ……!」

バランスを崩したリヴァイアサンは、そのまま倒れていくーーと思いきや、倒れそうな体制で大きな口を開いて魔法を展開する。



「無の洗礼」。高位の魔族が使用する、「魔法破壊」の上位互換のような魔法だ。

「魔法破壊」は、破壊する対象の魔方陣の仕組みと、組み込まれている魔力量がわからないと効果はないし、同じ無属性の魔法にしか効果はないが、「無の洗礼」は、仕組みや魔力量、属性問わず全ての魔法を無効化できる魔法だ。



そして、「無の洗礼」が直撃し、使っていた魔法が全て無効化されて無防備のまま海へ落下する。



数秒遅れて、水のレーザーが数十本飛んでくる。

「無の洗礼」の効果で魔法が使用できないのでそのまま食らってしまった。

多分、普通の人なら即死コンボだろう。



「痛っ……」

落下する途中、「無の洗礼」の効果が切れたのでもう一度、空中で体制を立て直す。



「今のは効いたよ……」

「お前……本当に人間か?」

「失礼な!人間だよ!第一、何だと思っーー」

言い切る前に、またリヴァイアサンが「無の洗礼」を放ってくる。



吹っ飛ばされたおかげで多少の距離は取れているので、今回は当たる直前に「瞬間移動」を使って回避することができたーーが、ここで油断していた俺がダメだった。



2発目が飛んできたのだ。

「瞬間移動」を再使用するには多少のタイムラグがあるので、避けられずに当たってしまった。

そしてもう一度水のレーザーが直撃し、今度は地面に叩きつけられる。



「あー!もー!それ禁止!使うなっ!」

「そんなこと言われてもな……」

「でも、魔力消費は大きいんじゃない?疲れが顔に出てるよ」

「……それはお互い様だ。そろそろ決めさせてもらおうか」

「そうだね。私もそろそろ本気を出すことにするよ」

そう言って俺は「火操」をリヴァイアサンに向かって放つ。

ただし、威力が小さすぎて相手には絶対効果はない。



リヴァイアサンはそれに気づかず、4回目の「無の洗礼」を放つ。



リヴァイアサンの「無の洗礼」が当たる寸前、放った火の玉がリヴァイアサンまで届いた。



凄まじい音、光、熱がリヴァイアサンから放出される。

いや、正確にはリヴァイアサンの周りから放出されたと言った方が正しいな。



ボロボロになって倒れながらリヴァイアサンが言った。

「お……ま……え……なに……を……」

「まぁ、自業自得だね」



「ライナ様ー!!」

魔族化したカズサが飛んできた。



「今の爆発は一体……そ、それより、大丈夫ですか!?相当な攻撃を食らっているように見えたんですが……」

「私は大丈夫だよ。今の爆発は、カズサやアキアたちの時にも使ったのと仕組みは一緒だよ。まぁ、威力は本気だけど」



「もしかして、最初に雷操魔法を使った時から準備していたんですか?」

「そうだね。雷を海に打った瞬間、巨大な魔力反応があったから、一応準備しておいて正解だったみたい。



要するに、「無の洗礼」をあまり回避できなかったのは、「風操」で周りの空気を集めるのに集中していたからで、もし十分に空気が集められていなかったら、そのまま水のレーザーを食らって死んでいたということだ。



「まぁ、討伐は終わったことだし、ツノか何か、証明になるものを持って帰ーー」

「あれ?ライナ様、海にリヴァイアサンがいません!そのかわり、誰か人が浮いているようです!先程の爆発に巻き込まれてしまったのでしょうか……」

だとしたら、大変だ!



「リヴァイアサンは、後で探そう!今はその人の救助を!」

「わかりました!すぐに行ってきます!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ