29 冴えない大人たちのリベンジ
「待って!あなたたち何者!?」
「俺たち3人、通りすがりの冒険者です」
いやいや、絶対違うだろ。
覆面してるし、アンさん担いでるし。
「あの、嘘ですよね?」
「……コホン。俺はカイっ!」
「俺はラウアっ!」
「私はアンナっ!」
「「「3人合わせて、ラウア盗賊団っ!」」」
「……?」
「どうだ!怖気付いて声もでないだろう!なんせ俺たちは世界的に有名ーー」
「ママー、この人たち誰ー?」
「ナツナたちの記憶にもない」
「ワタシも知らないです……」
「うーん、誰だっけ?でも、なんか聞いたことあるような、ないような……」
「すみません、とりあえずアンさんを返していただけますかね?」
「お、俺たちはラウア盗ーー」
「アンさん返してくださいね?」
「いちいち気に触る言い方だな……。まぁいい。所詮は女の村人だ。俺たちに勝てる訳がない」
「じゃあ、私たちが勝てばいいってこと?」
「そういうことだ」
カイとか言ってた奴がそういった時には俺は「瞬間移動」を使い、3人の真ん中に現れ、すぐにアンさんを回収してデコピンの風圧で吹っ飛ばした。
多分、相手の魔力を見た感じ、レベルは20ぐらいだ。
「何っ!?」
「うーん、たいしたことなかったね」
「フン、何をほざく?隙間風だろう」
そう言って3人がカズサたちの方に向かっていく。
というか、本気でそう思ってるのか。
「ライナ様ーー」
「いいよ。好きにして」
「では、いきます」
カズサが巨大な炎の塊を作り出し、3人にぶつける。
「あ、しまった。カズサ、殺してないよね!?」
「いや、当てる直前に気絶していたので、止めました」
「よかった……。ってあれ?この顔……」
カズサがギリギリで止めたこともあってか、覆面が焦げて顔が丸出しになっている。
覗き込んでみると、そこには見覚えのある顔が3つあった。
「あー、なるほどね。そういうことね」
「あー、確かに。そうみたいですね。おじいちゃんがドジったようです」
「あぁ、確かこんなのいたねぇ」という雰囲気たが、要するに、この3人組は数年前に俺が捕まえた、ラウア盗賊団だったということだ。
今まで前村長の家で監視されていたのが、逃げ出したらしい。
「縛りあげてまた前村長の家に届ける?」
「うーん、心配なので、ライナさんが魔法で何かこう、悪さをしないようにすればいいのでは?」
「それができれば苦労しないって。改心するような人たちならまだしも、この人たち根っからのアホだから、無理」
残念ながら、永続的に洗脳する魔法はない。
「じゃあ、ギルド本部に送りつければいいんじゃない?」
「ナツナもそれに賛成する」
「じゃあ、アンさん、そういうことでいい?」
「そうですね。ギルドリーダーは、まだ兄が務めているので、直談判すればなんとかなると思います」
ギルド本部へアンさんが交渉しに行き、数日後。
「ちょっと向こうで会議もあったので、時間がかかってしまいました……。二つ報告があるんですが、会議の話か、あの3人の話か、どちらがいいですか?」
会議?なんのことだろう。
まぁ、3人の方から聞くか。
「じゃあ、先に3人の方で」
「えーと、ラウア盗賊団の3人ですが、無事にギルド本部で預かってもらうことになりました!」
「さすがアンさん!」
「次にギルド本部での会議……というよりは、発表になるのですがーー」
アンさんが俺の方を見てから言った。
「数年前、海な魔物がほとんど全滅しましたよね?」
「あー!アキア知ってる!他にも南国の山が凍ったり、ある海域で風が吹き荒れて、島が飛んでいったりしたこと?」
「ナツナたちは、飛ばされた島にその時いた。幸い、無人島だったから怪我人はいなかったみたい」
それにしても、その二つが気になるな……。
俺の魔法と何か関係があるのだろうか?
「そう、それについてなんですが、なんと、海の魔物の討伐許可が下りました!!」
おぉ!
「じゃあカズサ、この前運動不足って言ってたけど、行ってみる?」
「はい!是非行きましょう!」
「アキアも!」
「ナツナも」
「では、クエスト一覧をどうぞ!」