表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/41

26 ドラゴン娘

「ワタシは、その人たちに会ってみたいです!」

「わ、わかった。何とかする……」

「え?何をですか?」

「いや、何でもないです」



とりあえず、家に帰る事にした。



「ライナ様、どんな方たちなんでしょうね?」

途中で期待した顔のカズサが聞いてきた。

「うーん、分かんないなぁ」

正直、本当に分からない。

前世でカンナ村に卵を預けた時に、「名前は、お任せで」って言って旅に出てしまったので年齢はおろか、性別までわからない。



こんっこんっ。



家のドアをノックする音が聞こえた。

「すみませーん!ライナさんはいますかー?」

あれ?アンさんの声かな?



「ワタシ出まーー」

「いや、念のため私がでる」



ドアを開けると、やはりアンさんが立っていたが、その後ろには10歳ぐらいの女の子が二人立っていた。

「はーい、ってあれ?アンさんじゃん……」

「なんかその反応痛いですね……。あ、そんな事より、先程も紹介した、アキアさんとナツナです」



「幼女万歳!」って自分が言われた時はまぁまぁ嫌がっていたが、逆に考えると結構言いたくなるな。

もっとも、この可愛い二人が自分の娘たちだと知った以上、「可愛い」という感情と、「終わった(いろんな意味で)」という感情が渦巻いて訳がわからない。



「はじめまして!アキアっていいます!」

「はじめまして、アキアの妹のナツナと言います。突然すみません、ライナさんってーー」

「「強いの!?」」

「え?あ、いや、その……」

アキアは、勢いがあって、おてんばな感じ。

逆にナツナは、真面目で、落ち着いた感じ。

というか、アキアとナツナが目をキラキラさせている。



「はい!そうです!超強いです!」

か、カズサぁぁぁぁ!



ちょっと嬉しそうな顔でナツナが言った。

「ち、ちょっと話を聞いてもらえますか?」



とりあえず、俺たちはアンさんも一緒に中へ入った。



「……ナツナたちは賢者グライアと竜王フユカの間に生まれた、双子のドラゴンの子供」

はい、知ってます……あとまぁ、ツノ生えてるし、少しフユカの面影もあるかな?



「アキアたちが生まれる前に、もうパパとママはいなくて……」

急に悲しい話になった!

あと、その件は本当にごめん!



「ナツナたちが生まれてからは、カンナ村で育ってきた……しかしドラゴンだから村を守ってきたのはナツナたちで、誰も守ってくれる、親……という存在がなかった」

「そこで、自分より強い人を探していて、各地を旅したり、竜の里で休憩したりしていたけど、なかなか見つからなくて、一度カンナ村に戻ってみたらライナさんがいたってわけなの!」



「だ、だからライナさん……」

「「アキア(ナツナ)と勝負して!」」

「……もし負けたら、どうなる?」

「アキアたちはもう一度旅にでるよ」

「……勝ったら?」

「まだ、わからない」



というわけで、俺はギルドの広場で戦うことにした。

「じゃあ、いくよ!」

「……!」

2人がドラゴン形態になる。

昔、同じようなシーンを見たことがあるような……



「ケガしたら可愛そうだな……ここは様子見で睡眠魔法をーー」

と言ったとたん、とても太い何かが横から飛んできて、そのまま空へ吹っ飛ばされた。



「ライナ様!」

ステータスのお陰で、ダメージはないけど、防御魔法を使わない限り、衝撃はそのまま伝わってくる。



「……しかし、どうしたものか」

村の結界はだいぶ大きいのだが、それを貫通するほど吹っ飛ばされた。どうやら俺に当たった尻尾には何か、魔法が使われていたようだ。

このまま止まる様子がないので、一度「風操」で、体制を立て直す。



全く他人ならまだしも、娘たちとなると結構戦いづらい。

いや、そもそも戦っていいのか?



と思っていたら、今度は火のブレスが飛んできた。

すかさず打ち消すべく、魔法を展開ーーしていたら、ブレスが届かずに、目の前で止まった……

というより、結界の境界線で止まった。



結界はドーム型になっているので、炎のブレスはみるみる広がっていく。



「このままじゃ村が危ない!」

そう言って俺は「魔法破壊」を使用し、結界を破壊する。

魔力消費がとても多いし、とても扱いづらい魔法だけど、自分の魔力も含んだ結界だし、今のステータスなら発動できるだろう。



結界はどんどん消滅していき、同時に炎のブレスも飛んできた。



俺は魔法で相殺し、舞い上がってくるドラゴンに爆弾を投げつける。

爆弾と言っても、カズサとミヅサを倒したあの即席の魔法だ。

今のところ多分「朱雷」を除けば一番強い魔法だし、ドラゴンを撃ち落とすには十分の威力だ。



娘たちを傷つける形になってしまったが、このまま逃げ続けてもキリがないし、忘れていたが、ドラゴンには睡眠魔法などは一切効かない。



大きな爆音と共に、アキアとナツナにダメージが入り、ドラゴン形態が解除され、そのまま落下していく。

さすがにこれ以上ダメージを入れると死んでしまうので、落下のダメージも一応防がなければならない。



「カズサ!お願い、受け止めて!」

今から落下する2人に追いついて助けるのは「風操」の機動力では無理だ。



「分かりました!」

カズサが魔族化し、落ちてくる2人をしっかりと空中で受け止めた。



「ふぅ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ