1 マイペースな転生担当
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何故か肌の感触がある。
声だって出せる。
しかし、何も見えない。真っ暗なのだ。
「目が見えないな……ここが病院だとすると、それらしい音は何もないし、第一……生きてるのか?俺が今立っているのもおかしいな」
一体、どうなっているんだ。
「ハァッハァッ……ハァッハァッ……」
荒々しい息と共に足音が近づいてくる。
「急いで正解でした!安心しましたよ……またゼウス様に懲役800年食らうところでした……」
「誰だっ!?」
「申し遅れました。わたくし、神界からきました、第3宇宙転生担当のシンファです。第3宇宙と言うのは、神界での数えかたで、先程まで貴方がいた空間です。ちなみに、第1宇宙から、第11宇宙までありますね〜」
「……と、とりあえず、状況把握できていないので、説明してくれますか?」
まずは状況把握が最優先だ。
「そうですね〜。貴方は死にました」
「はい。って、おい!!え?あ、うん?でも、俺まだ生きてるぞ?」
「正確にはまだ死んでません。この空間の仕様です」
なるほど。
訳がわからんな。
「つまり、どういうことですか?」
「この時空間は、雷覇さんが住んでいる下界と天界又は魔界……俗に言う天国と地獄の間らへんにある三途の川……と、下界の狭間ですね〜」
名前を知ってることに関しては別に気にしない。まぁ、自称神なんだからそれぐらいは知っているだろう。
あと、よくわからなかったので表にしてもらった。
神界(第6宇宙のことらしい)
天界(天国)&魔界(地獄)
上界(閻魔大王がいる。)
中界(三途の河がある。)
現在地(転界というらしい)
下界(人間)
そういえば、何も見えなかった。
「じゃあ、この転界を明るくするのは可能ですか?」
「はい!じゃあ、目つむっててください」
よし、これでやっと周りが確認できる。
そして、目を開けーーられなかった。
眩しすぎる。
とにかく眩しい。
「違う!違う!もっと普通な感じで!」
「注文が多いですね……転生させて早く戻らないとゼウス様から時間凍結魔法かけられます……とりあえず、いきまーす……」
流石に2回目は行けるはず。
転生って聞こえたが、多分気のせいだろう。
「はーい、もう大丈夫ですよ」
目を開けると、そこには女神(?)がいた。
腰までかかる黄色の髪と、真っ白な目。ちょっと垂れ目。
まぁ口調と外観が一致しているので別に違和感はない。
周りの風景は真っ白で、扉とか、そういった類いのものは何もなく、ただ真っ白だ。
「ここが転界……」
「はい、そうです〜。あまり時間も残っていないので、早速転生について話させていただきますね」
転生、マジだった!!
なんてマイペースな神様なんだ……。
「まず、雷覇さんにはこちらの転生ルーレットを回していただき、このルーレットであたったものに転生します。では早速」
頭上50メートルくらいから、なにか降ってきて、床に落ちた。
ーールーレットだ。
というか、50メートル落下して、よく壊れないな……
よく見たら、1つ1つの範囲がめちゃく小さいし、中にはミジンコとか、キリンとか、有名人の名前とか、色々書いてある。
「雷覇さん!転生ポイントカードをお渡しします!一回転生するごとにどんどん溜まっていきます。とりあえず、今回分おしておきましたので。99回転生して、100回目の人生をスタートした時に転生ボーナスがありますので!あ、ちなみに自殺した場合はその人生を一からやり直すことになりますので、注意してください」
「は、はい。わかりました……」
「では、早速ルーレットを回してください!……げ。まずい、時間が……」
「じ、じゃあ、いきます!」
ーー結果は……
「織田信長ですね!2度目の人生、楽しんできてください。では、いってらっしゃい……」
そうシンファさんが言った瞬間、俺は意識を失って、その場に倒れこんだ。