17 逆襲された
大量の討伐証明部位と共に、俺は馬車へ乗り込んでカンナ村へ向かった。
「戻りましたー!」
「えぇぇ!もう終わったんですか!?」
「討伐証明部位を持ってきました。サイズとかはイマイチわからなかったので、適当ですが受注したクエストの分はあると思います」
「はい……確認します」
「えっと、おばけクラゲが五匹と、スカルフィッシュが十匹とーー」
およそ5分後。
「ライナちゃん、クエスト全てクリアです!こちらの爪などは、シン村のお土産ですよね?」
「いえ、自分で倒ーーせずに、買ったものです!」
危なっ……
「……怪しいですね。ステータス見せてもらってもいいですか?」
「み、見せないとダメですか?」
「ダメです。見せてください」
「わ、わかりました……」
ステータス誤魔化すなら、光操魔法ぐらいしか……
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ライナ 女(2000)
職業:魔法剣士
レベル:52(最大:1000)
体力:122(最大:122)
魔力:1747(最大:1998)
攻撃力:95
防御力:81
素早さ:113
知力:210
魔法:ステータス表示、雷操、光操、風操、火操、不老不死……
特殊能力等:自害転生、朱眼
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「え?ライナちゃーー」
「……」
はい、詰んだ。レベル上がりすぎだろ。
というか、光操魔法あるし!!
「誤解です!さっきまでは本当にレベル1でした!!」
「もう、なんか大人としての自信を失いました。見た目って一体……」
「じゃあ、さっきの爪の話は嘘ですか?」
「すみません、嘘です。海に向かって強めに電気加えたら、色々浮き上がってきたので、持って帰ってきてしまいました」
「この爪……A級モンスターのオトヒメガメですよ!?どんな威力の魔法使ったんですか……」
「まぁ、魔力を雷操に250ほど乗せて放ったらーー」
「250って……やばすぎませんか?というか、その魔力はどこからーー」
その後もアンさんの尋問を受け続け、日が暮れた。
「いいですか?アンさん、この事は絶対に誰にも言わないでください」
「わかりました、ライナさん」
もうこの際、さん付けでもいいか。
「もう夜なんで、帰ります」
「お、お疲れ様です!!!」
なんか日本の部活みたいだな……
家に着くと、疲れたのですぐに眠ってしまった。
○
「おはようライナ、気分はどうだ?」
朝起きると、俺は暗い部屋で魔法でガチガチにしばられていた。
「え?」
しかも、話しかけてきた声の主は、ラウアーー現世での実の父だった。
一体どういうことだ?
「おい、ライナ、信じたくはないがお前レベル52らしいな」
ば、バレてるー!!
しかも、アイナまでいる。
「いや、そんなことないよ」
一応、誤魔化しておく。
「と、とぼけるな!!」
勢いよく言い放ったのは、カイだった。
「お前、俺と戦った時に加減していただろう!わかっているぞ!」
「違う!あの時はーー」
「貴様ぁぁぁぁ!」
カイが突然、剣を振り下ろしてきた。魔法で縛られているが、身をねじって避ける。
その太刀筋はとても荒々しく、冷静さのかけらもなかった。
このままでは戦えないな。
ステータス表示をした時の「魔法:……」の部分は、ステータス表示の魔法陣にルーン文字で「魔法」と打ち込めば表示される。
一応、その中には解呪魔法があった。
「解呪」は、相手によって魔力消費量が違うが、相手のデバフを解除できる。もちろん、俺にまとわりついている、魔法の縄も外すことができる。
「解呪!」
俺は魔法の縄をほどき、戦闘に突入する。
部屋が暗くてほとんど視界が確保されていないな。
こんな時に使用するのは、「光操」だ。別に目くらまし専用というわけではなく、普通の攻撃手段にもなるが、今回は前者として使用する。
「目潰しだ!」
「「「うぁっ!」」」
一瞬のうちに部屋は光につつまれ、俺が部屋を脱出するのに十分な時間を稼いだ。
部屋の壁を壊し、俺は、ギルドに向かった。
レベル52なので、だいぶ移動も楽なようだ。