16 ギルド加盟試験④適度な本気
ここまでは順調に進んでいるな。
前回の失敗を生かし、今は6歳の幼女という見た目なので、問題は時間ギリギリまでゆっくり解けば怪しまれずに済むだろう。
あと、最後の2問は解いたらダメだったな。
20分後。
「試験終了です!2枚とも回収しますので、こちらにください」
「はい、お願いします」
「筆記試験お疲れ様でした。次は実技試験となるのでついてきてください。
○
外に出て、俺は一本の剣を渡されると、アンさんが喋り始めた。
「早速ですが、実技試験の概要を説明します。ライナちゃんには、この方と戦ってもらいます」
アンさんがそう言うと、カイが出てきた。
「この方は、私と同じ、ギルド職員のカイさんです!この人に攻撃を一撃でも入れれたら、実技試験は合格です。もちろん、魔法でも構いません。制限時間は10分です。ライナさ……ちゃん、心の準備はいいですか?」
「はい」
「では、試験開始!」
「さぁ、かかってこい」
「お手柔らかにお願いします」
このセリフは一緒だな。
そういって俺は走り出し、カイへの距離を詰めながら、ステータス表示を一瞬だけ使用する。
これは、朱雷が発動するのを防ぐためだ。
とりあえず、一撃入ればいい。
一気に加速して、カイの喉元を切りにいく。
レベル20でも、さすがにレベル1の女の子の攻撃は避けれる。
予想の通り俺の剣は避けられた。
だがーー
ばちっ
「何っ!?」
「私の勝ちですね。カイさん」
「し、試験終了です!」
「確かに避けたはずだが……」
そう、カイは俺が電流を流したことには気づいていない。
木製の剣なので、電流で当たった時と同じような振動を与えれば、さすがにレベル20の人ではわからない。
これで、魔法が使えることもばれずに済む。
十分後。
「結果発表をします!ライナちゃんの合計点数は……30点中24点です!」
「ということは?」
「合格です!おめでとうございます!」
よし。全て順調に進んでいるな。
「ギルド本部に現在のステータスを報告しますか?」
「いえ、結構です」
もう用は済んだので、家に帰ることにした。
「ただいま」
「おかえり、ライナ」
「おかえりなさい」
とりあえず、今の両親とのコミュニケーションはする。
父親がラウア、母親がアイナというらしい。一応貴族なので、家は中々でかいのだが、村の外観に一致していない。
「ふぅ、1日目終了!」
俺は自分の部屋に入ると、すぐベットに潜り込んだ。
○
翌日。
「いってきます!」
「いってらっしゃい」
親と挨拶を交わし、ギルドに向かう。
「こんにちはー!ライナです」
「あ、ライナちゃん。今日はクエストを受けにきたのかな?」
「はい。依頼はどれくらい受けられますか?」
「レベルは今いくつですか?安全の為、嘘はつかないでください」
「1です」
「わかりました。ライナちゃんは今冒険者ランクはEなので、Eランクのクエストを受けられます。Dランクへの昇格はーー」
この世界では、
レベル1から10までがEランク、
レベル11から30までがDランク、
レベル31から50までがCランク、
レベル51から100までがBランク、
レベル101から300までがAランク、
レベル301から499までがSランク、
レベル500以降はSSランクになっているらしい。
「じゃあ、これとこれと……あと、この3つもお願いします。一度受けられるクエストに数の制限はないですよね?」
「はい。でも、こんなに受けてしまって大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
「では、馬車を手配します。少々お待ちください」
普通のモンスターなら、その辺にシンボルエンカウント(的な)しているので、倒せばいいけど、動き回らないといけないので、めんどくさい。
なので、すぐに終わる海でのクエストにした。
雷操魔法を使えば、一瞬だ。
「シン村へ到着しました。馬車の手配をする時はシン村のギルドへーー」
「すぐ終わるので、少しだけ待ってください」
十分後。
「終わりましたー!」
大量の討伐証明部位と共に、俺は馬車へ乗り込んでカンナ村へ向かった。