15 自害転生
「今から、「2人の殺人鬼」の、討伐を出発する!!全員、準備はいいか!?……行くぞ!」
そう言ってハンが勢いよく玄関から、外に飛び出すーーと、そこにはあの2人がいた。
「っ!?」
「わざわざ出迎え……」
「探す手間が省けた。作戦は大成功」
どうやら俺たちは罠にかかってしまっていたみたいだ。
「援護する……」
「了解!」
青い目の方がものすごい勢いで攻めてくる。
すでに周りは蹴散らされていて、ロイが応戦している。少し押され気味だ。
「はぁっ!!」
赤い目の方から、とても大きな炎が飛んでくる。
「おらぁっ!ライナ、下がってろ!」
ハンの剣の一振りで、炎は引き裂かれたが彼は2発目の攻撃に備えるのが遅れていた。
引き裂かれた炎の奥から、もう一度炎が現れ、今度はハンに直撃した。
「ぐぁぁっ!」
ーーこの20人ほどのパーティで主力のハンとロイはほとんど戦闘不能で、俺も一週間分の魔力しかないしまともに戦っても10秒はもたないな……
「「次はお前だ」」
「逃げろ!」
どんどん2人が近づいてくる。
「うっ……!」
俺は何もできないまま、2人の殺人鬼に引き裂かれてしまった。
「いい様……」
「よし、いこう!」
あの2人が去っていった。
大量出血でどんどん意識がうすれていっている。
俺はある能力を思い出す。
「自害転生」……あまりやりたくない方法だが、今生き残るには、これしかない。
自害転生は、出落ちライフを送っていた時に、試したことがある。自殺をすると、その人生を全てやり直せるというものだ。もちろん、記憶は引き継がれる。
残り少ない力を振り絞って俺は腰についている護身用の剣を鞘から取り出し、自分に深く突き刺した。
そして俺は意識を失ない、深い眠りについた。
○
「よし!成功だ!」
目が覚めると、100回目に転生した時と同じベットの上にいた。自害転生は成功したようだ。
あの2人は私がステータス表示をした瞬間襲いかかってきた。
多分、事の発端は「朱雷」だな。あれがなければ、あんな事にはならなかったはず。
しかも、現世の冒険者たちはあの2人には太刀打ちできない。急襲されれば、ギルド本部は壊滅状態になるな。
ここは大人しく、カンナ村でレベルを上げるしかないか……
ーーそうして、俺の101回目の人生が始まった。
前回同様、ギルドに加盟しに行くのだが、一つやらなければいけない事がある。
朱雷を使用不可にすることだ。そうすれば雷操魔法は普通に使えるだろうし、加盟も簡単だな。
じゃあ、早速ギルドに向かうか。
「おはよございます!カンナ村ギルドへようこそ!」
「おはようございます!」
「えーと、お嬢さん?お名前は?今おいくつかな?」
「6歳のライナです。ギルドに加盟しにきました!」
これも前回同様、「ハハッ、まだ早いぞ、嬢ちゃん」とか、「俺がパーティ組んでやるぜ?」とか、「可愛いっ!!将来結婚してくれ!」とか、「幼女万歳!」など言われた。
これ、何度も言われるの、ちょっと嫌かも……
「ライナちゃんは、15歳以下なので少し試験がありますがよろしいですか?」
「はい、お願いします」
「あ、申し遅れました、私、カンナ村ギルドを運営してます、ギルド職員のアンです。試験頑張ってください!」
「ありがとうございます」
俺はアンさんに奥の部屋に連れていかれた。
そして、アンさんから2枚の紙が渡された。
「それでは、試験の概要を説明します。試験は筆記20分、実技が約10分ほどで終了します。15歳ほどの点数が取れれば合格なので、少し難しいかもしれませんが、上からの命令なので、仕方ないです。では、筆記試験を開始します。答えは全て解答用紙に記入してください。では、試験開ーー」
「質問、いいですか?」
「ど、どうぞ?」
「15歳ほどの点数って、どのくらいなんですか?」
「うーん……多分、最初の6問と、後2問ぐらいあっていれば、合格だと思います。質問はもうよろしいですか?」
「はい」
「では、試験開始です!」
ここまでは順調に進んでいるな。