13 命を狙われた
「では、制限時間は20分。開始だ!」
同じ問題だし、別に20分もいらないんだけどな……
というか、周りからの視線がすごい。
ギルドリーダー室は、まぁまぁ広くて300人ほどの別の村のギルドリーダーたちが俺の様子を見ている。
中には魚人やオーガやエルフ、ドラゴンまでいるが、まぁ大半は人間のようだ。
ーー2分後。
「ハンさん、終わりました」
18分もあまると、流石に暇なので、ねむたくなるが、大人300人の前で爆睡は流石に失礼だ。
「ら、ライナ。冗談は良くないぞ」
「いえ、本当です。解答用紙見ますか?」
「う、うむ……これは!!……ロイ、学者たちを集めてくれ」
「わ、わかりました!」
周りがとても騒がしくなっている。魔力を使い切ったので、右目の光は消えたはずだが。
ロイが戻って来ると、後続に学者とおぼしき人が5人ぐらいやって来て、そのうち、1番偉そう(なんかひげが長いので、なんとなく。)な人が喋り始めた。
「お、おぬし、本当に1人でこれを解いたのか?
最後から2つの問題は、学者やを除くと、SSランクの冒険者しか解ける者はいないはずだ。それに、SSランクの冒険者はまだこの世界には竜王フユカ様、賢者グライア様、剣聖カミカゼ様……この3人しか、いないはず。その問題をいともたやすく解くとは何者だ?ステータスを見せてみよ」
「すいません、魔力がありません」
「アン、魔力渡せるか?」
「はい、できますよ。ライナちゃん、手を」
俺は魔力をもらい、「ステータス表示」を使った。
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ライナ 女(2000)
職業:魔法剣士
レベル:1(最大:1000)
体力:14(最大:14)
魔力:0(最大:1998)
攻撃力:15
防御力:8
素早さ:17
知力:12
魔法:ステータス表示、雷操、不老不死、
朱雷……
特殊能力等:自害転生、朱眼
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遠くの方で声がした。
「私たちの繁栄には邪魔な存在……」
「潰そう」
「炎弾……」
「水槍!」
謎の2人が言い放ったとたん、俺の目の前には炎の球と、鋭い水の槍が飛んで来ていた。
さすがに、このステータスでは避けきれないな。全力で跳んでも瀕死は免れない……
おそらく、この威力を簡単に放てるということは、レベル200ぐらいだろう。
「危ないっ!!」
「ぬぅん!!」
俺が跳ぼうとした直前、ハンとロイが前に立って、魔法を弾いてくれた。
「総員!戦闘開始だ!」
一気に周りのギルドリーダーの目つきが変わり、魔法を使用しようとするものや、魔法を放った2人に向かって走り出すものがいた。
「……さすがにこの人数はしんどい」
「アレで逃げよう」
「……わかりました」
「霧隠魔法陣、展開!」
2人のうち、右に立っていた方がそう言うと、辺りが濃い霧に包まれた。
「な、なんだ!?この霧は!」
「……今!」
「よし」
霧が晴れると、ギルドリーダー室の壁には外に繋がる穴が開いていて、もう2人の姿はなかった。
「くそっ!!逃げられたか!ライナ、怪我はないか?」
「は、はい。助けてもらってありがとうございます。魔法が使えれば……少しはーー」
「今は気にすんな。おまえの実力は筆記試験だけで充分だ。正直、学者でも解けないような問題を解いたのはすごいことだ」
「ハンリーダー!怪我人はいません!全員無傷です!」
「よし!あの2人の作戦会議をはじめるぞ!」