12 ギルド加盟試験③ギルド本部に行った
「え」
「タイム!」
別に時操魔法を使ったわけではないが、アンさんが止まった。
「アンさん、このステータスは絶対に口外しないでください。2000歳とかバレたら、もはや私は信仰の対象になってしまいます」
「わわわ、わかりました!ですが…もう無理だと思います」
「え?どういうことですか?」
「ライナさん……周り……」
「あ……」
完全に、やらかした。
俺とアンさんは、ギルド職員のカイを含めた総勢15人ほどの冒険者たちに囲まれていた。
「え、えーっと、皆さん?この事は秘密でお願いしまーー」
「ライナちゃんに、かんぱーーーい!」
「「「かんぱーーーい!」」」
えぇぇ。
ギルドは、クエストカウンターの横の部屋が、酒場みたいになっていて、そこから男たちがやってきて、宴を始めたのだ。
意味がわからない。
「え?俺2000歳すよ?な、なんで……」
動揺しすぎて口調までおかしくなってしまった。
「いいんだよ、見た目が6歳だし」
「それなー」
「可愛いから、許す」
「ごもっともだ」
ーーそして宴は夜まで続いた。
ちなみに俺は、2000歳だが、体は6歳なので、お酒が飲めないらしく、オレンジジュースで我慢していた。
「皆さーん!そろそろお開きにしませんか?夜も遅いですし……」
アンさんが言った。
現在の時刻は、多分12時ほどだ。
アンさんの呼びかけで、冒険者たちがぞろぞろと帰っていく。
俺とカイとアンさんだけ残ったところで、アンさんが話しかけてきた。
「ライナちゃん、明日ギルド本部から話があるみたいで、本部に行くことになるけどいいですか?」
「はい。構いません」
○
翌日。
俺は昨日の通り、ギルドに向かうべく家のドアを開けると、なんか馬車が止まっていた。
「ライナちゃーん!こっちですよー!」
馬車からアンさんが言った。
「え、えーと、これは?」
「ギルド本部がある、ゼード州グライア村行きの馬車です」
ん?グライア?
前世でたくさん聞いたことがある名前だな…
偶然、地名が一緒になったらしい。
馬車の中でアンさんが「グライア村のギルドは、昔からあった強制収容所の跡地を改装したものらしいですよ。ちなみにグライア村という地名は、伝説として語り継がれている、グライアという方に由来したそうですよ」と、言っていたが強制収容所なんて、前世ではいくらでもあったし、グライアという名前もいくらでもあっただろう。
○
カイや、アンさんと喋っているうちに、ギルド本部へ到着したようだ。
「ようこそ、グライア村ギルドへ。ギルド職員の案内役のロイです。早速ですが、ギルドリーダーの元へ案内させていただきます」
俺たちはロイについていくと、建物の中の1番奥の大きな部屋に案内された。
「ここがギルドリーダー室です」
ロイが扉を開け、中に入ると、周りには強そうな魔法使いや、剣士がたくさんいた。
「ようこそ。グライア村ギルドリーダーのハンだ。よろしく。ちなみに俺はアンの兄だ」
確かに、顔がちょっとにている。
ロイが二枚の紙を渡してくると、ハンが喋り始めた。
「今日は、カンナ村ギルドから試験の報告を受けたが、あまりにも点数が高かったので、筆記の再試験と、ステータス確認をさせてもらう。何か質問はあるか?」
「特にないです」
「では、制限時間は20分。開始だ!」