11 ギルド加盟試験②えぐい魔法
一か八かで、一個目を試すか。
「さぁ、かかってこい」
「お手柔らかにお願いします」
そういって俺は走り出し、カイへの距離を詰める。
現段階での雷操魔法の射程は、魔力消費を全部しても、せいぜい30メートルほど。
さすがに、全部使っては後が大変なので、そんなことはしない。
とりあえず、一撃入ればいい。
カイへたどり着くまで、おおよそ3秒。
剣を振り上げながら、向かっていく。
まず一撃目。
地面を蹴って大きく跳び、カイの脳天目指して剣を振り下ろす。これはもちろんフェイントだ。
向かってくる刃にわざと跳ね返させ、剣を離す。ついでに、顔にむかってくる刃も避ける。
さすがに、カイも6歳児に避けられるとは思っていないだろう。
そして剣を離したと同時に雷操魔法を展開してゼロ距離で放ち試験に合格という流れだったのだがーーそうもいかなかった。
ーービビビッ!!という音が右のほうから聞こえた。
というか、右目が赤い光と音を放っていた。
そして、右目の光はものすごい速度で右手と集まった。
俺の右手には、膨大な魔力が集中していて、制御不能になり、右手の赤い閃光は明後日の方向に向かってとんでいった。
やがてそれは巨大な龍のごとく空を暴れまわり、見えなくなったところで消滅したようだ。
唐突すぎるあまりのできごとに、俺は目をつぶってしまっていた。
目を開けると、地面には気絶して白目をむいたカイと、数匹の焼き焦げた鳥、あと、山がなくなっていた。
もう一度言うが、目を開けたら山がなくなっていた。
カンナ村は、周りを山に囲まれた盆地で、魔物や他種族にもあまり攻め込まれず、平和的な地形の、人口1000人ぐらいの小さな村だ。
そのカンナ村周辺の山が1つ、まるごとえぐりとられていたのだ。
前世でこの威力の魔法はいくらでも放てたが、まず、根本的な知力が違う。
「知力:12」このステータスで山が吹き飛ぶということは、レベルが1000になった時は、マジで世界滅亡するのでは?
そんなことを考えていると、頭がクラクラしてきた。
俺は2000年の歴史上初、転生以外で意識を失った。
○
「ら、ライナちゃん?ライナちゃん?」
「あぅ……ん」
目が覚めたようだ。
「カンナ村ギルドの医務室です。魔法を放った瞬間、倒れこんで慌てて医務室に運びました。大丈夫ですか?」
「あ、えぇ。まぁ」
「それと、試験の結果ですが、聞きますか?」
「お願いします」
「ライナちゃんの結果は、30点満点中、120点です……おめでとうございます……そ、それより、さっきの魔法は一体何ですか?村中が騒ぎになっていますよ……一応、合格なのですが、ギルド本部が、ステータスの確認をしたいとのことなので、一度見せてもらってもいいですか?」
「わかりましたーーあれ?発動しないです……」
「もしかして、さっきの魔法で全て魔力を使用してしまいましたか?でしたら、私の魔力を1お分けしますね」
俺はアンさんから魔力を受け取って、言われた通り、俺は「ステータス表示」を、使用する。
というか、点数オーバーしすぎだろ。
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ライナ 女(2000)
職業:魔法剣士
レベル:1(最大:1000)
体力:14(最大:14)
魔力:0(最大:1998)
攻撃力:15
防御力:8
素早さ:17
知力:12
魔法:ステータス表示、雷操、不老不死、
朱雷……
特殊能力等:自害転生、朱眼
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魔力が……0になってる。
「朱眼」の雷操の極大魔法ってもしかして、新しく追加された、「朱雷」というやつか。
それにしても、レベル1でこれってやばいだろ……
あ、職業が魔法剣士になってるな。
「え」
「タイム!」
別に時操魔法を使ったわけではないが、アンさんが止まった。