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一撃の破壊力!こうかは ばつぐんすぎて しにそうだ…

さっき気づいた。

前に考えた江礼九音と登場人物の戸谷九音が混じってた。

マジですいません直したよ。直ってなかったら教えてください。

「ま、唐突に伺って申し訳ねーな。俺としては実に骨のありそうな奴だったから……だがまさか兄妹でそういう関係とは。あ、子供さえいなきゃ俺は反対しないから」

とんでもないことを口走りながら、中城さん……いやもうヤシロさんでいいか。ヤシロさんはニヤついている。


「兄貴なんかえっらい風評被害受けてるんだけど」

「軽口だろ。俺は妹に興奮する性癖はないぞ?たとえ素っ裸でも」

「兄貴が襲いかかってきたりしたら局部をもぎる自信あるぞ?」

「ヒェッ」


二人の声が重なった。どうやらヤシロさんも、きちんと男らしい。


「で?これが上司ィ?」

「ガン飛ばすな」

「あー、とりあえず自己紹介な。俺はさっき名乗ったとおり、中城な。眼帯は気にするな。怪我がひどくてな」

「あの、中城さん。えと、いきなりいかがしてこんな夜中にお越しで?」

「敬語とか使わなくていいし、ヤシロでいいぞ。苗字はたまに自分でも噛むから。あ、俺がここにきたのは、辞令を渡そうと思ってさあ」


じれい、というのが辞令と結びつくまでにいささか時間がかかった。俺は目を白黒させながら、一枚の紙を受け取った。


「……本日付で、新田桐葉を、戸谷九音のパートナー……と、するぅ?」

「ああ。すぐにでも出せそうなら出すべきだ。まあ、いささかの訓練はいるが」

「ちょ、ちょっと待て兄貴。訓練ってもしかしなくても肉体的訓練だよな?十分危ないだろうが、やっぱりやめろ」

「うるせぇペチャパイ」

「誰がまな板だ鯉に見立ててあらいで食うぞ」


ぎゃんすかやっているのを見ながら、俺はベッドの上で頭を抱えた。

えーまじであれと組むの無理じゃね?

本人がいないとそれなりに冷静にやってけそうな気がするが、顔を合わせると胃がムカムカしてきて頭に血が上りやすくなる。非常に、非常に相性は悪いと言わざるを得ない。


「あの」

「なんだ?」

俺が紙を渡すと、そのまま不思議そうな表情で受け取って、それから首をかしげた。

「俺、あれと組むのだけは、生理的に無理。無理。あれだったら鶏とか犬と組んだ方がマシ」

「そんなにやな奴だったかあいつ?個別に会ったけど相性は悪くなさそうだったぞ?」

「いや……その、相性っていうか、そりが合わないっていうか。あ、生理的に無理?」

「でももう決定しちゃった」


てへ、と舌を出されて殺意が湧いた。


「……まあいいですよいいですけど。連携とか仲良しとか色々できてなくても気にしないでください。ってか梨花なんでさっきからお兄ちゃんの大胸筋をモミモミしてるんだよやめろ」

「兄貴がバイト辞めるまでやめない」

さわさわもみもみと案外しつこい。これが一番上の兄貴なら、肘鉄容赦なく突き込んでんだが、面倒なことに攻撃力はそれなりなのだが耐久力は比較的薄い。


「いや、これにはめんどくせー事情があんだよ。オニイチャン、永久就職に決まってるぞ?アホでもバカでも大学行けなくても、稼ぎはするし。将来安泰だから。あと危ないって言っても怪我のいくつかだけだし」

「怪我ってどれくらい?」

「骨折未満?」


その瞬間梨花はぽかんと口を開けて、ベッドからすすす、と降りた。

「大丈夫だったわごめん兄貴騒ぎすぎた。うっわはっず、話しかけんな」


バタン、と扉が閉まった。


「……これがツンデレって奴?」

「あー……通常運転?ツンデレ属性はない。つか、骨折を許容範囲としたことに驚いてよ俺は一般的常識人ですからごまかされないからな」

「骨折何回くらい?」

「……まあ、鎖骨肋骨指先の骨あたりは十何回か。あとはヒビくらいかね」


だいぶいってんなおい、という言葉も戴いた。

常識が狂ってしまったのも奈々香のアホのせいだ。明日朝イチでスカート捲ってやる。


「んじゃ、俺の通達は以上。あ、明日から訓練始めっから、学校の校門前で戸谷を待たせとく」

「わかりゃしたー。じゃあ、俺は寝る。おやすみ!」

「おぉ、おやすみ」

どぅるん、と影の中に滑り込むように消えた。驚きで俺の目が冴え切って、眠れなくなった。






「おはようございます。そして半径1メートル以内に入ってくるな」

「初っ端からぶっ飛ばしたこと言うんじゃねぇよ。お前が日本から消えろ」

「冗談言わないでくださいよ。僕の北半球です」

「そっちが俺の地球に入ってくんな」

「バカ言わないでください。僕の住む太陽系に許可なく住み込むなんて」

「は?んじゃ俺の宇宙だよ消えろ」

「お前が消えろ」


「朝っぱらから漫才しないでよ鬱陶しいわね」

「とぉ!」

「きゃああああああ!?」


奈々香のスカートをめくり上げてやったら、短パンが見えた。色気のかけらもなくて俺の精神がしんどい。

「何すんのよ!?」

「漫才なんかしてねーよ。あと個人的な恨み」

「そんなことでスカートめくらないでよ!」

「短パンはいてんだろ、いいじゃん」

「よくないわよバカバカバカ!!」


顔を真っ赤にして恥じらうと、俺の腹を一発どついて去っていった。痛いがまあ、耐えられなくはない。

いや、痛いは痛い。だが、なんというか。


「弱くなったな」


前の脳天まで痺れるような鋭さは、全くない。俺はため息をついて、鞄を開ける。

男女の体の作りからいえば、これは普通だろと言われるかもしれない。けれど、俺の中での強さはそういうことじゃなかった。奈々香は、とても弱くなって、女の子らしくなってしまった。


残念ながらも。


対応に、反応に困る。

俺の知る奈々香は、強烈で鮮烈で、苛烈で暴力的で、それでいて涙もろく情に厚い、そんな人間だった。

男でも女でもなかった。


子供ってのは素晴らしいものだ。男でも女でもないものでいられた。


要するに俺は勝手に奈々香に憧れて勝手に失望しているのだから、褒められたもんじゃないってことはわかっている。


「ふぁああ、ねみ」

「おや?ハッスルしたのかい?」

「うっせぇ、してねーよ。妹からの急襲とバイト先の上司から連絡があってな」

「……聞きましたか」


隣から唸るような怨嗟の声が聞こえた。

全く同感だ。


「今正直なところ、あなたを消せば組まなくて良くなるんじゃないかと思っています」

「あ゛?襟首ひっつかんで校庭に落とすぞもやし野郎」

「あぁ怖い怖い野蛮ですね。僕はもっと綺麗な手口を選びますよ」

「ねえねえ突き落とすなら僕にしてよキリちゃん」

カオスな状況の中、俺はふうっと息を吐いた。とりあえず……寝るか。


午後の授業が終わり、放課後になって校門のところへ行くと、イライラしたように地面を爪先でえぐりながら、戸谷がこちらをにらんだ。

「遅いですよ」

「悪いとお前に謝るくらいならパンツ一枚で町内一周できるから」

「……非常に同意したいところですが、行きますよ」


着いたのは、ごみ収集所の近くにある、倉庫街。なんというか、馴染みのある感じの場所なので緊張感はないけど、こういう場所に政府が秘密基地作ってると思うと今後迂闊に踏み込めなくなりそうだ。

「ここが、最大の大きさのある訓練場です。今日は一面だけ借りて、僕と模擬戦を行ってもらいます」

「模擬戦?」


このムカつく面をぶっ飛ばせばいいの?

なーんだ簡単じゃん。


「回復をできる人が待機しています。あなたの惨めな骨折くらいは、まあなんとかできますよ?」

「まさに骨折り損のくたびれもうけじゃねーか。せめてお前の能力が分かれば——」

「教えるとお思いで?」

「デスヨネー」

ま、俺の最大限の実力をぶつけても問題ない相手として、このナヨもやしが選ばれたんだろう。三日目のもやしみたいなヒョロさでよくもまあ。


「一方的にあなたをボコボコにしたかったのですよね、楽しみです」

「性根が腐ってんのかー、こりゃ廃棄処分だな」

倉庫の中へ入ると、地下へ続く扉があった。俺はその下へと降りてきて、そのでかさに動きを止める。


スタジアム超えてる。


奥の方に二人組の人影が見えた。一つはふわっふわの長い髪を腿あたりまで伸ばしている小学生。だよな?今度こそそうだよな?

もう一人は黒髪ロングのアルカイックスマイルのおっぱいでかいお姉さん。すっごいスタイル良い。


「いやっほーーー!!やっほやっほ、アタシセナ。あなたを治すんだっけ?今日は治療するからよろしく。とりあえず友達ゲットだぜいぃええええええぐぼっ」

「落ち着きなさいセナ。……申し訳ありませんね、私は西園(にしぞの) 櫻子(さくらこ)と申します」

「ぅあった!?痛い痛い櫻子ちゃん!」

微笑みが見事で、俺はそのアイアンクローの素早さに驚きつつ自己紹介する。

元気っ子と、それを抑えるリード付きか。


「さて、じゃ、やり合いましょうか」

戸谷の手に現れたのは、一本のなんとも言えない普通のペン。

サインペンってあるだろ?あれだよ。


「それでは、いざ尋常に……勝負開始!」

手を振り下ろされた瞬間、俺は自然な姿から二、三歩歩いて、最後の一歩を力強く踏み出した。

にこやかな笑いが眼前に迫り、俺はねじ込むように腹に掌底をぶち込んだ。ぐにゃりと手の中でねじれる肉の感触に、思わず笑みがこぼれる。軽く吹っ飛ばしてからは追撃で……。


二、三メートルは吹っ飛んで、そこからピクピク痙攣したまま動かない。


「……ん?」

「あれ?」

「ぁ……ぁがっ」


生きてはいるみたいだ。

「治療するのねー、くーちゃん起きやがれオルァああああ!!」

セナがおでこに光るチョップを打ち込んだ。その瞬間戸谷の手足がびくんと波打ち、そして上半身がぐばっと引き起こされた。

「……ッ!!」

「ハハハザマァねぇな気絶してやんの。プークスクス」

「……気絶、していたんですか?この僕が?」

「この僕ちゃんがな?」


憮然とした表情で、「信じられない」と言いながら、頭を左右に振った。まあ、見た感じ俺は微妙なラインだろう。鍛えているようには見えないとたまに言われるが、着痩せするタイプだから仕方がない。


「……ここまでとは、思っていませんでした。まさか気絶させられるとは。すでに超能力を使いこなしていたのですね」

「いや超能力じゃなくて素の身体能力だけど……」

「は?冗談もほどほどにしてくださいよ。一般人がそんなことできるわけないでしょう?」

「いえいえ、そうとも限りませんよ。私たちが見た限りでは、能力の発動は一切関知しませんでした。これは正真正銘の身体能力です」

「ほれみろ」

「な、な、な……納得いきません!再勝負を申し込みます!」


次は俺も相手も準備時間を与えられてぶつかった。


俺をボコボコにして満足そうにしていて、ひどく腹が立った。




2018.05.17©︎あじふらい

ちなみに江礼九音はガチファンタジーでガチサバイバルする予定だった子。

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