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裏切られたので企んでみた

ひっさしぶりに投稿してます。

お話忘れてるひと多いと思う。ごめんね。

「……まっさかなあ……奴が裏切るとは。作戦のうち10289がボツだボツ。ま、加えて言うならあいつを敵に回した場合っていう条件も付け足して、452387通りの計画が台無しになったわけだが——」

ヤシロさん見た目眼帯ショタなのにやべえな。そんだけ計画を考えてたってことか?


「ま、バタフライエフェクトまで計算し尽くしておいたから、みんな心して時間通りに動けよ。俺が立てる計画が当たる確率は99.999%だ。……予言当たりすぎてチビんなよ」

「ヤシロさん残りのパーセンテージは?」

「はっ、それこそ神のみぞ知る、だ。俺ァ神じゃねぇんでな」


俺たちはその計画書を手に取ると、ちらりとその宗教団体の目的を確認してヤシロさんに視線を向けた。


「なあ。これって、ホントなのか?その、……超能力者以外の人間を殺すって……」

「何をもってそうしたかは不明だが、まあ、少なくともな。お前が気絶してる間に、縁のやつがバカ九音から聞いてきたらしい」


まじか。

信憑性はあるな。


「そして目的も、だいたい掴めた。シュリたそから聞いた話とビンゴ。つまり奴らの目的は『神の降臨』だけではなく、それに伴い起こる『現人類』の淘汰。すなわち超能力者以外が存在しない世界の創造だ。人類全体の強制進化。俺も誰も困らねえが、唯一困るとすりゃ、お前だ桐葉」

「……家族も、奈々香も、あの能天気バカどもも、か」


俺を除けば、メンバー全員普通の人間とはほぼ関わりを持たないようにしている。話をするのであれ、話しかけられるのであれ、いずれにせよ俺以外のここにいるメンバーは超能力のせいで、他人との関わりを絶たねばならない。

と言うことは、これが起きたところで問題はない、という気持ちらしい。


「だいたい俺は社会なんざ崩壊するくらいどうでもいいと思ってんだ。今回の軸はお前だろ?」


ヤシロさんの冷たい視線に、俺はちょっとだけ頬を掻いたものの、答えは決まっている。

「……とりあえず、社会がとか、人類全体がどうなるとか、俺にはわけわかんねぇし……でも、まあ、家族とか、知り合いが死ぬっていうのはマジ無いっす。っていうわけなんで、俺のわがまま、聞いてもらっていいでしょうか」


お願いします、と頭を下げる。


返事がない。返ってこない。


顔を恐る恐る上げる。みゆちゃんが途端に、汚い音を立てて噴き出した。女の子、いや、女の人が立てちゃいけない音だよなそれ俺にはわかるぞ。

「ふぶっ、全くなんて顔してるのよ。ふぐぶぅ」

……笑いすぎじゃないか?


ツボに入ったみゆちゃんを押しのけて、縁が腕を組みながら仁王立ちした。

「そうだぞ、桐葉。お前がそういえば、われわれはいかなことでも成し遂げられる。なぜならわれわれにとって仲間とは家族だからだ。お前が思っているよりもずっとその絆は深い。まあ今回裏切り者が出たわけだがな」

「最後で台無しにするそのスタンス嫌いじゃないです!」


俺の絶叫に縁の容赦ないしなりの入ったローキックが炸裂した。痛い。だが俺の心は何か満たされた思いでいっぱいである。


「んで、だ。ヤシロさん、俺たちはどうしたらいいんですか?」

「まずあの例の薬を使って成った超能力者、もはや超能力者の数から言えばだが、女神とやらに適合する人間はいっぱいいるはずだ。けど、それをしない。ってこたぁ、何かお前に求める要素があるはずだ」

「俺に、求める要素?腕っ節?」

「明らかにいらねぇな。むしろ能力の内容って方が、自然だ。お前のバチバチ能力が何か女神に対してプラスに働くとか……ただその点でも他にも候補がいるはずだがあえてお前を狙ってきてる。……不思議だな」


まあ、確かに。

「女神ってんだから、神と雷をかけたり?」

「イヤ可能性としてはなくはねぇけどな。その理論で言えば崇拝対象に火をおいてる宗教もあるんだ。こないだこっぴどくやられたのは、その火だろ?」

「まあ……じゃ、なんで俺のことばっか狙うんですかね。」

「さあ?女神の降臨に際しての何かを満たしている、ってコトだろう。女神なのに男に降ろすというとこも引っかかるが」


そうだ。

その、『降臨』ってとこに引っかかる。


「要は、イタコみたいなものってコトだろ?でもイタコって結局する人の意識があるわけじゃん。あー、なんていったらいいかな、女神ゼロは人間に超能力を与えた。そしてその能力を『完璧に』使いこなせるとしたら、能力側から俺を侵食できるわけで……」


ぴたりと時が止まった。


「なるほど。今のは、なかなかつじつまが合うな。人間を動かしているのは脳における電気信号だ。意識もまたそこに生まれる。もしかすると、桐葉がそれを使いこなせれば、人間の洗脳を行える能力、と言い換えることもできるな」

縁のことばに、皆がまた苦い顔になる。


俺がもし女神の降臨を受けたとすると、女神は超能力の支配権を持っていた場合、能力をのっとられて、ついでに電気信号の塊で出来上がっている俺の体ものっとれるわけだ。最悪の場合、俺をのっとった女神が超能力者を次々と洗脳して、殺戮パレードと。


「ただ、希望は消えたわけじゃねえ。女神の降臨に際しては何かしらの手続きが、それも時間がかかるものが必要だと予測される。縁たちが捕らえられている間のことも、桐葉、お前を連れ去ろうとしたことも含めてだ。ってなわけで、桐葉。オトリ作戦だ」

「……は?って俺か!?」

「お前以外にいないだろ。縁、いざと言うときのためについていけ。身代わりだ」

「良かろう」


何がなんだかわからないが、とりあえず捕まればいいってことか?縁を身代わりって、俺をかばわせるって事か?

脳みそがぐらぐらしてきそうだ。

「そして、向こうのやつに情報を話せ。シュナ、お前は潜入してたってことにしろ。赤の君(よすが)を裏切るわけじゃねえ、安心しろ。そして縁と桐葉を引き渡せ。俺と美遊(みゆう)で迎えに行く。それまで儀式を引き伸ばせ。中央まで何があっても一日はかかる。別ルートで筋肉馬鹿を向かわせるから、陽動にはなるだろう。いいか、それまで、何があってもお前たちはゼロを降ろさせるな」


ちょっと、待て。


俺のわがままが原因で、縁をまた、身代わりにしているのか?


「……これが、そんなに勝算の高い作戦なのか?」

「ああ。お前だけだと、頭が悪いから早々にゼロの入れ物になりそうだ。あとはシュナの手綱がほしい。迎えに行くのも、櫻子たちは駄目だ。これは単に場所が割れているであろうここを預けられるのが櫻子たちだけだからってだけだ。もしそれ以外の手を取れば、最悪人類ごとほぼ滅びるだろうな」

「人類ごと、ね。……あーあ、俺、ごくごく普通の一般人だったのに、そっから超能力者になって、今は世界の命運を握ってるんです、ってか?やぁってらんねーよ」


ばったりと芝生の上に倒れこんでみる。やわらかい草の中に、ちくちくとしたとげを感じた。ふと忘れていた可能性に思い至って、勢い良く体を起こした。


「……ヤシロさん。あと、ひとつだけ、可能性があるんだけどさ」

「あん?」


それを聞いたヤシロさんの顔色は、すこぶる悪くなった。俺はちょっとだけ笑って、それから縁の懐にあるものを入れておいて貰えるように頼んだ。ちなみに俺は持ちたくない。

「悪魔の発想だろ、そんなん。アニメの見すぎってぐれえには」

「わーってるって。保険だよ」


そう、ただの保険だ。

相手は女神(自称)だし、かけられるならなんだってかければいい。

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