うるさいヒロイン
俺は今牢屋に閉じ込められている。
どうしよう、あの時ちょっかいを出さなきゃ良かった。
「どうしたの?」
彼女はレイン、12歳らしい。
俺と同じ牢屋に入れられているんだが、思春期の男女を同じ場所に閉じ込めるとか盗賊ども頭おかしいんじゃねーの⁉
「いや、何でもないよ」
よし! 脱走しよう!
レインに手伝ってもらうか。
「レイン、脱走を手伝ってくれないか?」
「あのね、出会たばっかりの人にそんなに慣れなれらしく話しかけたりするもんじゃないよ?」
こいつさっき俺に慣れなれしく話しかけてただろ!
うーむ、どうもこいつは理不尽らしい。
「えーと、じゃあレインさん、脱走を手伝ってください!」
「よろしい! 手伝ってやろう!」
こいつを殴ってやりたい。
「それで? どうやって脱走するの?」
「あ、すまん。 考えてなかった」
「はあああーーー⁉ あんた、自分から言っといて何にも考えてなかったの⁉」
「うっせーよ! 今から考えるから黙ってろ!」
「分かったわよ、じゃあ明日までに考えてよね」
「へいへい、じゃあもう夜遅いし寝よーぜ」
「うん、お休み~」
正直言って、脱走できる気がしないんだが。
第8話に続く