黄昏
短編2作目です。
「久しぶりだね、夕。」
黄昏、赤々と燃える様な陽が彼女を照らしていた。
「陽菜、何でここに…?」
彼女は、俺が知っている陽菜だった。真っ黒くて長い髪、少し垂れ下がった目に緑色のヘアピンを制服につけている。
「あのね、私、ずっとここに夕と来たかったんだ〜。素敵な場所でしょ?」
そう言って太陽を見つめる陽菜の身体は、
透けていた。
「陽菜、聞いていいか?」
ん〜?と、いつもの調子で陽菜はこちらを見ずに答えた。
俺は全身から汗が止まらず息が詰まりそうな感覚だった。
「なんで、なんで死んだりなんかしたんだ?なんかなんか悩んでいたのか?なら、なんでなにも言ってくれなかったんだ?」
すごい早口で、しかも陽菜の顔を見ることが出来なかった。
「あれ?夕は知らないの?」
陽菜はおどけた様に答えた。そして言葉を紡ぐ。
「なんかねぇ、周りの人は私が車に飛び込んだように見えたらしいんだけど、別に自分だって死のうと思ったわけじゃないよ。
例えばさ、目の前に車に轢かれそうな子どもがいたらどうする?」
陽菜は少し息つぎをして、
「私ってさ、後先考えないようなバカだから、その時「この子を助けよう」ってしか思ってなくて。」
恥ずかしげに語る陽菜を俺は見れなかった。
「そうか、そんな事が…。」
「ごめんね、もっと話したいけどもうお別れだ。」
その言葉でやっと顔を上げた。もう太陽は沈みかけていた。そして、陽菜も消えかかっていた。
「待って!消えないで!」
「私が居れるのは夕陽が沈むまで。もう会うことはないわ。」
「そんな、やっと会えたのに。」
「泣かないで。私、夕が泣いてる顔見たくない。」
「「ありがとう」」
その言葉を最後に、陽菜は消え、夕陽が沈んだ。
黄昏の不思議なお話し。
黄昏、読んでいただきありがとうございます。
連載中の方はテストが終わったら投稿しようと思います!
私は小学校の二階から見る夕陽がすごく好きで、この話はその様子を思い出して書きました。
それに、黄昏って昼と夜をつなぐ所でもあるので故人と出会える場所なのかな〜、と思います。
改めて、つたない文章と内容ではありますが、読んでいただいてありがとうございました。
誤字や何か気になったことがあったら、教えていただけるとうれしいです。