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7話 情報整理

本日2話目の投稿です。

6話は精神的に重い描写を含むためそういった表現が苦手な方はこちらからお読みいただいて問題ありません。

重めの描写が気にならない方は前話も合わせてお楽しみいただけると幸いです。


 ウサギの一家を殲滅した俺は、戦闘中に上がったレベルを確認する。


種族 スライム/Lv3 20/300

職業 旅人/Lv3   27/300

体力=22

魔力=22

筋力=11

頑丈=13

器用=10

敏捷=9

知力=121

想像力=131

精神力=22



スキル


管理者権限/Lv1  320/5000

???

???

吸収/Lv3      98/300

アイテムボックス   5/10


「?」

 ステータスが思った以上に伸びている。

体力魔力の伸びは前回同様だが、筋力や頑丈といった数値がこれまで「職業 旅人」の補正と思われる分を除けば1づつしか上がっていなかったのが2上がっているのだ。

これはどういう事か。

考えられるのは二通り。

一つはレベルアップ時に上昇する数値が一定でない場合。

もう一つはスキル欄にある二つの「???」が関係している場合だ。

前者に関しては、ウサギのステータスを見る限りは否定して良い気がする。

後者に関しては自分以外のスライムに遭遇したことが無いため今の所検証不可能だ。

これは今後の検証課題として留めておこう。

 さらにアイテムボックスの数値が「5/10」となっている事にも気付く。

今晩アイテムボックスに放り込んだのは、蛇・子ウサギ五羽・ウサギ二羽。

個体数毎に数字をカウントするなら「9/10」となっていなければならないし、種類ごとに纏まっているならば「4/10」となっているはずだ。

種類は四種でその内個体数が二なのはウサギだけなので、ウサギが別カウントになっているのが推察できる。

後はなぜウサギが別カウントなのかだが、可能性としてはレベル差に依るものか職業の違いによるものだろう。

確認ついでにアイテムボックスを意識する。


アイテムボックス  10


フレイム・ホーンベアーの角

バイトスネークの死体

子ウサギの死体   5

ウサギ(Lv3)の死体

ウサギ(Lv4・乳母)の死体


 やはりウサギが別個にカウントされていた。

表記を見る限りはレベル・職業両方が判定基準になっているようだ。

確認を終えた俺はバイトスネークを取り出し吸収を開始する。



 吸収しながらバイトスネークとの戦闘を思い返す。

巣から出た後の行動が不可解だったのだ。

巣から出た段階でのバイトスネークは、「状態異常 満腹」となる程に腹が満たされていた。

その点を鑑みれば、あの段階でこちらを狙ってくる理由は無い筈なのだ。

襲えば反撃されるのは自明の理で、腹が満たされている以上それはどう見ても無用のリスクだ。

 無用のリスクと言えば初日に出会ったウサギの行動も今にして思えば不可解だ。

後の戦闘で実感したが、ウサギは一度スライムの体に取り込まれてしまえば為す術がない。

その上攻撃方法は精々が加速をつけての体当たりか、小さな口で噛みつくしか無いのだからどう見ても勝てない。

ステータスから見てもウサギの方が素早いのだから、あの場合は逃亡こそが正しい行動だった筈。

にも関わらずウサギはまるで親の仇でも見つけたかのように烈火のごとく襲い掛かってきた。

 バイトスネーク・ウサギの行動、どちらも野生動物のそれとは言い難い。

考え込む事数分。


 ふと転生前の女神の言葉が思い出される。

「瘴気に汚染された生物の討伐をして頂きます。そちらの価値観に直すとモンスターというのが最も近いでしょうか。」

たしかこんなことを言っていた筈だ。

 転生した直後はパニック状態で気にも留めて居なかったが、これは無視できない。

奴らがこちらを狂ったように襲ってきたのは相手がモンスターだからだろう。

仮説ではあるが恐らく瘴気に汚染された生物は何らかの手段で「瘴気に汚染されていない者」を識別し、それに対し攻撃的な行動を取るようになるのだ。

そう考えればバイトスネークの行動もウサギの行動もむしろ自然な物に思える。

 というか女神、説明足りなさ過ぎだろう。

神ともあろう者が人間の都合に斟酌する必要が無いというのは分かるが、あまりにもこれは酷すぎだ。

そもそも自分の能力や相手の情報、置かれた環境が分からなければ戦術の立てようもない。

もし自分の様な人間が同じ手法で送り込まれていたら、もう死んでいてもおかしくない。

というか俺が生き残ったのも単に運が良かっただけだ。

せっかく送り込んだ転生者にそうそう簡単に死なれてしまっては仕事も捗らないだろうし、もう少し説明責任を果たした方が良いのではないだろうか。


 その後もしばらく鬱々と愚痴って居るとバイトスネークの吸収が終わった。

頭を切り替えステータスを確認する。


種族 スライム/Lv3 164/300

職業 旅人/Lv3   171/300

体力=22

魔力=22

筋力=11

頑丈=13

器用=10

敏捷=9

知力=121

想像力=131

精神力=22



スキル


管理者権限/Lv1  464/5000

???

???

吸収/Lv3     254/300

アイテムボックス   4/10


 やはり戦闘では無くその身まで吸収した方が経験値の入りが多いようだ。

続けてアイテムボックスから子ウサギとウサギを取り出し吸収を始める。


 そして今後の方針に頭を切り替える。

アイテムボックスに獲物を格納できる以上吸収は今いる巣のような場所で一度にまとめて行う方が効率がよさそうだ。

第一安全性が段違い。

今までの経験上吸収しながら動き回るのは困難だし、無理に動こうとすればせっかくの獲物をどこかに落としかねない。

吸収そのものにもそれなりに集中力を要するし、何より周囲に意識を向けていては効率が落ちる。

 今まで無頓着に外で吸収をしていたがあれでモンスターに見つからなかったのは相当に運が良かっただけなのだ。

もし途中で襲われていたら、そう思うだけで身震いする。

 今後日中は鳥類や遭遇した小動物との戦闘に費やし、残った死体は探索の効率が落ちる夜間にまとめて吸収するべきだ。

その際今まで同様ウサギやモグラなどの巣穴を襲撃できれば尚良しだ。

 今のステータスを見れば中型以上の動物とも戦闘できそうだが無理は禁物。

死ねばそこで終りな以上、自分から危険を冒す必要は無い。

何せこの仕事、つまりモンスターの殲滅には期限が無い。

スライムに寿命が有るかは、まったく分からないがコツコツと積み重ねて行けばいいのだ。

焦る必要は無い。

サラリーマンとして働いていた前世の様に納期やノルマに追われることは無いのだ。

ゆっくりと自分のペースで殺って行けばいい。

スローライフとは間違っても言えないが、水分と食糧確保や衛生環境に気を遣わなくていいし環境の割には気楽に行ける。

 そういえば今日闘ったバイトスネークのステータスにこんな記載が有ったはずだ。

スキル


赤外線視      Lv10 MAX!

ビッグマウス(物理)Lv10 MAX!


 これを鑑みるとスキルの類はレベル10が上限だろう。

あの時は「ビッグマウス(物理)」のインパクトが大きかったからスルーしてしまったがこれは有力な情報じゃないかと思う。

取りあえず今は吸収スキルLv10を目標に頑張ろう。

職業や自分自身のレベル上限がどの程度かは分からないが小さくても目標が見つかるとやる気の維持が楽に成るものだ。

 

「テッテレー♪」

 そうひとりごちているとマヌケなファンファーレが頭に響く。

どうも思った以上に時間が経っていたらしい。



種族 スライム/Lv4 114/400

職業 旅人/Lv4   121/400

体力=25

魔力=25

筋力=13

頑丈=15

器用=12

敏捷=11

知力=121

想像力=131

精神力=24



スキル


管理者権限/Lv1  714/5000

???

???

吸収/Lv4     224/400

アイテムボックス   1/10


 おお!

前回のレベルアップで予測はできていたが、一桁のステータスが無くなると見栄えが違う。

筋力値もいつぞやのハンターオウルを超え、最も低い数値の敏捷でもウサギのそれを超えている。

勿論体を動かす練習をしなければ相応のスピードでは動けないんだろうがそれでもこれは励みになる。

 厳しい現実に気付いてはしまったが、やはりレベルアップの喜びの方が大きい。

モンスターがなんだ。

モンスターがこちらを狙うならむしろ探す手間が省けていいじゃないか。

 

 気分が盛り上がった俺は新たな獲物を探しに巣穴を後にした。

お読みいただきありがとうございます。

評価・ブックマーク・感想等お待ちしております。

どうしても書きたい短編がある為次回更新予定は2/13とさせていただきます。

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