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3話 初めての終りそして始まり

前の話のあらすじ

ウサギと遭遇戦に入る主人公。

彼はそこで初めて生き物を殺しその重さを実感するのであった。

※1/25 最後の部分の表現を若干修正しました。

※2/3  表記ミスを修正しました。

 日が落ちすっかり周囲は暗くなっている。

吸収することに集中していたため、時間は分からないが深夜と言っていい時間帯だろう。

月と星の明かりだけが周囲を照らす。


「?」


 そんな時間であるにもかかわらず一向に眠気が来ないのだ。

日中の出来事や転生等の出来事を考えても十二分に疲労しているのに。

もしかすると転生したのがスライムである事に関係するのかもしれない。

 これはチャンスなのか……?。

夜であれば先ほどのウサギのように昼間活動するタイプのモンスターは寝ているだろう。

それに先ほどのウサギ殺しはショックが大きかった。

このショックを克服する為にも早急に、もう一度ウサギを殺さなければならない。

どっかの誰かが言っていた。

「今晩一晩は我慢しなさい。 そうすれば、この次はこらえるのが楽になる。 そして、その次はもっと楽になる。」

 だから今晩一晩我慢してウサギの巣を一つ出来れば二つ潰そう。

そうして続けて行けばいずれモンスターを倒すことに気負う必要は無くなるはずだ。



 このままうずくまって居たい、泥のように溶けていたいという感情を理性で押し殺し地面を這いずり回る。

颯爽と歩めるのであれば格好も着くのだろうが何分この体は不定形。

見栄えが悪いのは致し方ないだろう。

地面に目を凝らし穴が無いか注意深く探しながら森を行く。

目を凝らすのは良いのだがこれは本当に目なのだろうか?

そんな事を考えながら一時間ほど経った頃だろうか、野球ボール大の穴を発見した。


 体を窄めて太めの蛇の様な形になった俺は巣穴の中へと体を沈めて行った。

暗い。

穴の中であることに加え自分の体でその入り口を塞いでしまっている為ほぼ何も見えない。

見えないながらもズリズリと体を這わせて巣の中を進む。

だがこれではどこに相手がいるかさっぱり分からない。

一歩間違えればこちらが奇襲を食らってもおかしくない状況だ。

 思い出したのは昼間の戦闘。

確か相手のステータスを確認できたはずだ。

ならばステータスの確認で相手の位置も大まかに分かるのではないか?

そう思い視界のすみにあるメニューからステータスを選ぶ。



種族 スライム/Lv1 50/100

職業 旅人/Lv1   59/100

体力=16

魔力=16

筋力=6

頑丈=8

器用=6

敏捷=5

知力=121

想像力=131

精神力=17



スキル


管理者権限/Lv1  50/5000

???

???

吸収/Lv1     62/100

アイテムボックス=10


「?」

 レベル表記の横に新しい表記が増えている。

これは……経験値的な物だろうか?

体力の現在値も減少した際に表記されていたことを考えると、経験値が入ったことで新たな表記が生まれたと見るのが妥当に思える。

なんにせよ今気にすることでは無い。

相手が眠っているとしてもここは敵地。

いつ相手が眼を覚まし反撃を食らうか、逃げられるか分からないのだ。

 気分を切り替え周囲に意識を向ける。



種族 ウサギ/Lv1  

職業 旅人/Lv1  72/100


体力=6

魔力=2

筋力=2

頑丈=3

器用=2

敏捷=7

知力=1

想像力=1

精神力=2


スキル

アイテムボックス  1/10



種族 ウサギ/Lv2 26/100

職業 なし


体力=6

魔力=1

筋力=2

頑丈=3

器用=1

敏捷=7

知力=1

想像力=1

精神力=1



 ビンゴだ。

しかも二羽。

昼間のウサギは一羽でこの二羽よりもステータスが低かった。

しかし今いる場所は穴倉の中。

唯一の逃げ場は自分の体が塞いでいるし、戦おうにもスピードを生かせる程の広さは無い。

勝ちを確信し歩みを進める。

 暗闇の中にうっすらとだがウサギのシルエットが浮かび上がる。

自分の目が暗闇に慣れてきたこともあるだろう。

 そのまま勢いをつけて一気呵成に二羽のウサギに襲い掛かる!

衝撃に驚いたのかウサギが目をさましもがきはじめるがもう遅い。

スライムの体で全身を覆い口や鼻、耳といった場所から侵入していく。

昼間は窒息死させるしかないと思い込んでいたが、耳から侵入して直接脳を破壊してやれば即座に相手を無力化できるだろう。

勢いよく耳から侵入しそのまま手当たり次第に器官を破壊していく。

するとショックで動けなくなったのかウサギの動きが緩やかになった。

それをいいことに吸収を始める。

今回は二体同時なので意識の集中が難しかったが、時間がかかっても問題は無いのでゆっくりと吸収させてもらう事にする。


 昼間と同様にウサギが冷たくなっていくがそれに対する動揺はやはり小さくなっていた。

むしろ経験値が入り強くなれるという喜びがある分、抵抗感はかなり小さくなったと言っていいだろう。

強くなると言えば昼間のウサギと今回のウサギにはステータスに大分差が有った。

レベルが高い方のウサギであればステータスに差が有るのはむしろ当然だ。

しかし同じレベル1のウサギまでステータスが高く、むしろレベル2のウサギよりも高かったように思う。

確かめるべくもう一度ウサギに意識を向ける。



種族 ウサギ/Lv1

職業 旅人/Lv1  72/100


体力=2/6

魔力=0/2

筋力=2

頑丈=3

器用=2

敏捷=7

知力=1

想像力=1

精神力=2


スキル


アイテムボックス  1/10



種族 ウサギ/Lv2

職業 なし


体力=1/6

魔力=0/1

筋力=2

頑丈=3

器用=1

敏捷=7

知力=1

想像力=1

精神力=1



 幸いまだどちらも死体になっていないようでステータスが確認できた。

やはりレベル1の筈のウサギの方がステータスが高い。

個体差で済ませることもできるが他に何か違いが有るように思えるのだ。

両者のステータスを比べると最大の違いは「職業 旅人/Lv1」の有無とアイテムボックスの有無。

恐らくこのステータスの差は「職業 旅人/Lv1」による補正だろう。

アイテムボックスの有無についても職業に付随したものではないか。

また興味深いのが、「職業 旅人」には経験値が入っているにもかかわらずウサギ自身には経験値が入って居ない点だ。

そういえば自分にも旅人の職業があったなと思い確認してみる。



種族 スライム/Lv1 50/100

職業 旅人/Lv1   59/100


スキル


管理者権限/Lv1  50/5000

???

???

吸収/Lv1     67/100

アイテムボックス=10


 やはり自分自身の経験値と職業・スキルの経験値が噛み合っていない。

これは恐らくだが自分自身のレベルと、職業やスキルは経験値が入る基準が異なるのだろう。

そして吸収スキルは使用することで経験値が入る事、「職業 旅人/Lv1」は戦闘以外でも経験値が入るであろうことが推察できる。

またアイテムボックスの表記がウサギと自分の物で異なる点も気になる。

自分のアイテムボックスは「アイテムボックス=10」表記なのに対し、ウサギのアイテムボックスは「アイテムボックス  1/10」。

アイテムボックスに何かを入れた覚えは無いし、ウサギの表記にしても「=10」表記が消えている以上経験値とは考えづらい。

恐らくだがアイテムボックスの容量を表し、何かが入ると「1/10」のように表記が変わるのではないだろうか。



「テッテレー♪」


 そんな事を考えていると唐突に意識に小さなファンファーレの様な物が鳴る。

気付けばウサギの吸収も終わっていたようで、もうどこにもウサギの姿は無い。

その代わりと言ってはなんだが残されていた物が有った。

意識を向けると「フレイム・ホーンベアーの角」と表示された。

というか大きすぎて若干体からはみ出してしまっている。

アイテムボックスにしまおうと意識を向けると、フレイム・ホーンベアーの角は光になって体内に吸収された。


種族 スライム/Lv2 55/200

職業 旅人/Lv2   59/200

体力=19

魔力=19

筋力=8

頑丈=10

器用=7

敏捷=6

知力=121

想像力=131

精神力=19



スキル


管理者権限/Lv1  155/5000

???

???

吸収/Lv2     80/200

アイテムボックス 1/10


 確認の意味で自分に意識を向けるとだいぶステータスが変わっている。

やはりアイテムボックスの表記は推測通りだった。

それに加え先ほどのファンファーレはレベルアップの物だったようで、知力と想像力以外のステータスが1から3程上昇している。

吸収スキルと旅人もレベルが2になって効果が上がって……ると良いなぁ。

アイテムボックスの上限も上がると思ったのだが。

ただこうしてステータスを上げていけば安全性は増すはずだ。

……人間になれるかどうかは全く目途が立たないけれど(泣)。

4話は1/30日午前八時投稿予定です。

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