1-4 街でショッピング
次の日、朝日が出てタケルの顔を照らす。
『うぅ、眩しい…』
タケルは布団の中に潜りまた寝ようとする。
『タケル様起きてください。朝ですよ。いつまで寝てるんですか』
だれだ、自分の睡眠を妨げようとするのは。
『あともうちょっとだけ……』
『もうそんな子どものようなこと言ってないで起きなさい!』
くそー煩すぎて眠れん。
ってかあれは夢じゃなかったのか。
昨日の出来事が夢だったらどんなによかったかことか。
不服を漏らしながらも仕方なしベッドから起きあがる。
『タケル様おはようございます。朝食にしますか?お風呂にしますか?それとも、わ・た・し♡』
『じゃ、顔を洗って朝食にする。』
『ちょっとノリ悪いですよ?ここはわたしを選んでフラグを立てるところです。』
『いや、意味がわからないから。』
朝っぱらから夫婦がやりそうなシチュエーションを披露されてもどうしたらいいかわからんし、だいたい見た目は剣なのに発情するわけがない。
そんなコントをしながら、朝食を食べに下のロビーにいく。
いま泊まってる宿は前から借りていたところで、いつも朝食付きで頼んでいるのである。
『おはようございます。』
『はい、おはよう』
宿屋の主人に挨拶をする。
『朝食はパンとご飯どっちにする?』
『うーん、パンでお願いします。』
迷ったがパンにした。
朝食はこんがり焼けたトーストにベーコンと目玉焼きが乗っていて、空腹のいまの自分はかぶりつく。
目玉焼きはいい感じに焼けていて中からトローりと卵の黄身が出てきて、パンとベーコンが見事に絡みあって食欲を掻き立てる。
朝食を食べひと息つく。
コーヒーを飲みながら朝を堪能する。
『そうしていると本当におじさんみたいに見えますね。』
なんて失礼な、この至福のひと時の良さがわからないとは。
わたしを連れていけーっとキャリーが煩く言うので仕方なく下まで持って降りたのだが、部屋に置いてこればよかったかな?
そんな思案をしているとキャリーが話しかけてくる。
『それで今日はどうします?個人的にはそろそろ次の街にいってみたいのですが』
『うーん、そうだなぁ防具とかも新調しようとも考えたけどキャリー(聖剣)の恩恵もあるし、しばらくはいらないかな。まぁ食糧と回復アイテムの補充とかはしないといけないし、ちょっと市場と雑貨屋にはいこうと思ってる。』
『おぉー、また市場にいけるのですね。』
キャリーが興味深々って感じで話しかける。
きっと顔があるとしたら目を輝かせてるに違いない。
『うん、じゃ一休息が済んだら部屋に戻っていく準備でもするか。』
『はーい♪』
キャリーは元気よく返事をする。
そして部屋に戻り準備をする。
市場にいくと朝から大賑わいで、店の人が自分の獲ってきた魚や果物、別国の産物や製品とかを客たちに売り込む。
自分の方にも獲れたての大きな魚をススメてきたりしたが、日持ちしないので丁重にお断りした。
とりあえず買ったものは干し肉に干し魚、果物で作ったジャムにパンを購入した。
そのあと雑貨屋に移動する。
そして雑貨屋に向かってる途中。
『タケル様、あれは何をしているのですか?』
見ると檻が二つあり、そこには首輪と足枷がついた女性と男性がいた。
みんな虚ろな目をして体躯座りしている。
檻の外にには警備員みたいなのとデップリとした商人らしき人がいる。
『あれは奴隷だね。あぁしてここに売れに来たんだろうね。隣にいるのは奴隷商人かな。』
『奴隷ってあの奴隷ですか?』
『どんな奴隷なのかわかんないけど、キャリーが思っている奴隷で合ってると思うよ。』
『なんて愚かな、人が人を使うなんてバカげているわ。』
『まぁ気持ちはわからないわけではないけど一応この国で認められているものだし、昔に比べれば理不尽なまでの扱いはなくなってるはずだよ』
昔は主人の命令は絶対って感じだったけど、命や健康を害する命令は法律で禁止されている。
『うぅー、納得いかないわ』
ブーブー文句を言うキャリー。
あまり関わりたくないのでスキル、気配隠蔽を使って通り過ぎようとする。
通り過ぎようと間近くまで来たとき檻の中で1人すごい浮いてる存在があったので思わず見てしまう。
彼女は白い肌に整った顔、まるでお人形さんのような可愛いらしい見た目で。そして白い髪の上にちょこんと猫耳らしきものがあるじゃないか。
猫人族??
そうこの世界には獣人やエルフといった異民族が住んでいるのである。
そして人種族ではそういった異民族を捕らえては奴隷にして売り捌いているらしい。
でも最近はそういった異民族狩りに規制がかかってるはずなんだが。
奴隷になる一般的な理由としてはそのものが犯罪を犯したか、親とかに売られたか、飢えに苦しみ自から奴隷になったかである。
そうまじまじと見ていると白猫さん(タケル命名)がこちらを見つめる。
あれ?いまはスキル発動中だから気づかれないはずなんだけど。実際他の者には気づかれていない。
いやー、たまたまこっちに顔を向けてるだけだよね?っと思いつつもつぶらな瞳でこちらを見ていると、バレているような気がしてならない。
基本変なことに巻き込まれるのが嫌いなタケルは早足でその場を抜けようとする。
そして奴隷商たちがいる場からだいぶ離れたあとふと振り返るとやっぱりあの白猫さんは自分の方を見つめていた。