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第五話 奴隷の労働は?

 外に出て、農作業の労働に借り出されている。

 正直、大の大人と変らない労働量は子供にはキツイ。

 肉体を強化していなかったらバテて倒れるくらいだろう。

 これをイリスがしていたかと思うと、彼女を凄いと素直に思った。


「小僧!こっちだ、この辺の雑草を抜いて廻れ」


 奴隷を監督する下男に言われ、畑の雑草を抜きに掛かる。

 収穫を待つ野菜がチラホラ見える中、無心に草を抜く。


「お前は、向こうの果樹園に行って収穫の手伝いをしろ!」


 絶え間なく響く指示。

 従う奴隷は皆一様に疲れている。

 そりゃ朝からずっと動き詰めで、休む間も無く働き続ければそうなるだろう。

 

 草を抜きながらイリスを探す。

 彼女は遠くで収穫した果物を選別して、選り分ける作業をしていた。

 力仕事ではないが、立ちっ放しで延々と単純作業を繰り返すのは苦痛だろう。

 足には靴も無い。


 今晩もまた癒してあげないと。

 そう思い、今度はセフィリアを心配する。

 彼女もまた、部屋に1人で過ごす日々を送っている。

 何時も一緒だった俺とイリスがい無い寂しさはどれ程だろうか。


 早くこの状況を脱する策を考えないと。

 草を抜きつつ、俺は空を見上げる。


「「ただいま~」」


「お帰り~~♪」


 一日の労働を終え、部屋に帰ると待っていたかのようにセフィリアが俺とイリスに抱きついてきた。


「寂しかったでしょ?」


「うん・・・お姉とお兄がいないと寂しい・・・」


「そっか~じゃ、今から寝るまでは一緒にいようね」


「うん♪」


「セフィリーももうちょっとでお外だからね。良く我慢してるわよ偉い偉い」


「うん♪お姉♪」


 セフィリアは昼間の寂しさを紛らわすように俺とイリスに纏わり付く。

 親達も、そんな俺達を気遣ってか、出来るだけ子供同士でいさせてくれる。


「じゃあ、お土産ね」


「おおお!お土産♪」


 セフィリアは目を輝かせて俺を見詰める。

 【アルキメイト】で作った石飾りを差し出す。


「今日は此れね」


「ふおおお!お花の石~~」


「フフフ、セフィリーったら♪」


「喜んでるねイリス姉」


「そうねラルス、でも良くもまあ毎日色々考えるね」


「そりゃあ可愛い妹のためじゃない」


「フフ、そうね」


「ところでイリス姉も後でね」


「え・・・うん・・・あ・・後でね」


 ちょっと照れながら、俺の提案に従うイリス。

 いや照れられると、俺も恥かしくなるよ。

 単純に体を癒すだけなんだけど、どうも最近イリスが照れるのが気になる。

 もしかして思春期というやつだろうか?


 まあ、男の子に足を触らせるのは恥かしいのかもしれないな。

 俺としても疚しい気持ちはないので、イリスに変な感情を与えてい無いとは思うけど。


「ねね!セフィリー今日も頑張ったよ♪」


「お?そっか、見れないのは残念だけど筋も良いしセフィリーは強くなるだろうね~」


「おおおお!セフィリー強くなる♪ってっや!」


 セフィリアは俺に向って剣術の型を見せてくれた。

 居残りとなったセフィリーには、獣人の闘争本能を利用して剣術の鍛錬を課したのだ。

 体を動かし、戦う真似事をする事でセフィリアは寂しさを紛らわられるように。


「女の子に剣術なんて、ラルスも可笑しなことをさせるのね」


「いや~イリス姉だって、此処出るまでは一緒に魔力を練って遊んでいたじゃない」


「そうね~でも呪文がないから私は、魔力を確認するまでしか出来なかったけどね」


「そっかーまあ仕方がないよね」


 まだ3人が一緒に過ごしていた時を思い出す。

 楽しかった・・・

 あの光景が俺には忘れられない。

 優しいイリス、お転婆で可愛いセフィリア。

 2人とも無邪気に遊んでいた光景を。


「さ、今日は何を話そうかな?」


「シンデレラ!」


「ぶっ、本当に好きだな」


「私も好きよラルス」


「イリスもセフィリーも、もう覚えたんじゃない?」


「それでも聞きたいの~♪」


「私も聞かせて」


「解ったよ、じゃあ座って」


 俺は小さな頃から聞かせているシンデレラの話をする。

 小さい頃に、暇だったのでイリスに御伽噺をしたのが切欠だ。

 本もなければ、話し相手も俺達しかい無い。

 そんな中で、俺の語る話は十分に2人を楽しませることができた。


 アラビアンナイトに千夜一夜、竹取物語など知っている事は毎晩聞かせた。

 そんな中で彼女達のお気に入りは、シンデレラと七羽の白鳥。

 どれも苦労した末に報われる話だ。


 奴隷の身であることを理解しているのだろう。

 彼女達は、話に耳を傾けながら物語の主人公に自分を重ねているように目を閉じている。


 そこには、この状況から脱する夢を見る子供の姿があった。

 俺は言い知れぬ理不尽に怒覚えるが、それを胸に隠し、話を続けた。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 また月日が経ち、セフィリアも労働に借り出された。

 もう、あの部屋には誰もい無い。


 照りつける太陽に厭味を言いつつ、今日は畑の拡張をしている。

 手付かずの大地を耕し、石を退ける作業。

 大きな物は予め取り除いているので、地中に埋まっているものを除去するのだ。

 鍬を振り掘り起こし、石を取り除きまた鍬を振るう。


 石を選り分けながら、【鑑定】により鉄鉱石がないか確認もしている。

 鉄鉱石があれば【アルキメイト】でナイフ位は出来そうだからだ。

 俺は幾つかの奴隷解放手段を考え、そのための準備もしている。


 1つはこの世界の契約通り、自分を買い戻す方法。

 お金を貯めて、文字通り自分を自分で買い取るのだ。

 だが、問題が有る。

 お金を稼ぐ方法が現時点で無い。

 もし仮にお金を稼げたとしても、奴隷の身で売買が出来るかどうか。

 更に、所有物である俺達が自分の財産を増やしても問題ないかと言う点だ。

 主が知らないところで、理由も出所もわからないお金を奴隷が大量に持っていることは、主に不信感を持たせる。

 盗んだ金品ではないかと疑われて、最悪は投獄の可能性がある。


 もう1つは主が死ぬ事。

 もろん奴隷が主を傷つける事はできないが、不慮の事故なら可能性がある。

 その場合、主の死により自動的に奴隷契約が一時破棄となる。

 ただ、相続者がいる場合は再度契約されてしまうので直ぐに解放とはならない。


 後、俺自身が主を殺害する方法も取れるが、犯罪者になってしまうのが問題だ。

 一応正式な奴隷契約をしてい無いため、主に背く行為に制限が無い。

 その為、俺には主殺害の可能性が残されている。


 どうやって見分けるかは解らないが、何故か犯罪は体に記録されるそうで、調べられると解ってしまうらしい。

 主を殺すという方法は、これから人生を歩む上で非常に厄介だ。


 今のところ自力で、正式に解放される手段は此れしかない。

 運良く誰か良い主に買われたら別だが、今のところ他力本願過ぎて期待が持てない。


 こんなにも奴隷の身分と言うのが足枷になるとは思っても見なかった。

 前世でシュミレーションしてきたが、やはり何か切欠になる事件でも無ければおいそれとは行かない。


 俺は、ただ自分を鍛える事と、仕事をこなす事しか出来ない。

 だから、来るべき切欠に向かって準備だけはしている。


 後8年を切ってしまっている。

 己の無力さを呪わずにはいれない。


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