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第三十九話 合流

 ワイバーンを包む火柱を見てから2日後の朝。

 オイゲン達は、ようやく其の場所まで辿り着くことが出来た。


「な・・・・・・・・・・・・・・」


 驚きの表情で固まり、言葉が出なくなったクロードは、オイゲンに顔を向けて口をパクパクしている。

 一生懸命身振り手振りで何かを伝えようとするが、言葉が出てこない。

 クロードが先に慌てふためいてくれた為、ビアーチェとジモンは何とか平静を保てたようだ。


 人間、自分より先に誰かがパニクルと己は冷静になるのかもしれない。

 かく言うオイゲンでさえ、クロードがこんな風にならなければ慌てていただろう。


「オイゲン、この惨状はいったい・・・さすがに此れは」


 ビアーチェは手近にあった、黒く焦げた塊を触っている。

 こうなる前は、このルート荒野で幅を利かせていたであろうギガースの成れの果てを。

 ビアーチェが少し触るだけで、音も無く塵となって形を無くす元ギガースの塊。

 崩れ行く塵を眺めながら、ビアーチェの顔は緊張と恐怖に引き攣る。 


「・・・・・・・・・」


 ジモンも廻りの塊を慎重に確認している。

 確認しつつジモンは時折、魔物の持っていたであろう武器を見つけては手に取っている。

 だが、その武器もまた灰となって崩れていった。

 

 オイゲンは此の場の惨状を目の当たりにしながら、ふとドルドナ森林の事を思い出す。

 PTメンバーは違えども、あの時も此処と同じ様な風景を見ていた。

 人知を超えた魔物と人の戦いの後。

 此処も、あの時と同じ匂いがする。


 そして、オイゲンはどこかでまた、あの子達と出会えるのではないかと思ってしまった。

 アドルフがあの子達を見つけ、掛けた言葉に凹んでいる姿が脳裏に蘇る。

 自分達から離れて、遠くで子供達を心配するアドルフの何ともいえない顔が・・・

 何故そんな事を思い出すのか?


 予感、それとも既視感からくる不毛な妄想か?

 オイゲンは首を左右に振り、思い出した事を振り払う。

 在り得ない事だ、此処にあの子達がいるはずも無いのだから。

 意識を集中して、再度オイゲンは辺りに危険が無いか観察する。


 注意深く観察している横では、相変わらずクロードが忙しなく動いている。

 顔は口を開けてポカーンとしたまま、身振りだけで話すので、何を言っているか解らない。

 執拗に何かを伝えてこようとするも、ただウザイだけにしか感じない。


 そんなクロードに怒声が飛ぶ。


「いい加減に正気に戻りぃや!!クロード!」


 痺れを切らしたのは以外にもビアーチェだった。

 聖職者に有るまじき形相と野蛮な口調で、クロードにビンタの連打を咬ましている。

 ビアーチェは見た目とその職業から、清楚で大人しく見られがちだが、芯は結構ジャジャ馬なのかもしれない。


 ビンタでようやく正気に戻ったクロードは、目を白黒させながらビアーチェに反論している。


「おま!行き成り殴るなよ!」


「アホか!五月蝿いねん!だまっとけや!」


「っな!お前そんなに口悪っかったのか?!幻滅するわ~」


「あああん?それがどないした?私が聖女とでも思ったか!?」


 余程クロードの行動にイラついていたようだ。

 ビアーチェは肩で大きく息をしながら、更に怒りを増していた。


 更なるビンタの凶行に及ぼうとしているビアーチェ。

 立ち直り、応酬しようとするクロード。

 放っておくと際限なく言い争いそうなので、オイゲンは仕方なく止めに入る。


「これこれ、もう良いじゃろうビアーチェよ。それにクロードよ、いい加減止めぬか・・・それよりもクロードよ、何が言いたいかはっきりしてくれるかの~~そうすれば此の不毛な言い争いも収まるもんじゃて」


「おう!!そうだった!!オイゲン、あっちに何か屋根っぽいのが見えるんだよ!んで、そこに誰かいるようなんだよ」


「屋根じゃと?建物があるのか?」


「おうよ!見えねーかな?あるんだけどなー。俺こう見えても目は良い方なんだぜ」


 クロードは炭化した魔物の広がる空き地の奥を、額に手を翳し見詰めている。

 確信しきって自信に満ちた表情から、クロードの言葉は真実だと告げている。

 確かに彼は優男だが、嘘は言わない男でもあるのだ。

 

 さっきまで喧嘩腰だったビアーチェも、クロードの言葉に我を取り戻した。

 彼女もまた、クロードの真似をして空き地の奥を見ている。


 必死に見ようとビアーチェも目を凝らすが、一向に見えないらしい。

 ン~~~と言いながら、爪先立ちしながらウネウネとしている。

 オイゲンもクロードの見る先を、見詰めるも何も見えない。


「・・・・・・・・・・・」


 すると、何時の間にか戻ってきたジモンが、ハルバードの先端をクロードの見る先に指し示ている。

 どうやらジモンにも見えるらしい。


「ジモンよ、お主にも見えるのじゃな」


 オイゲンが確認すると頷くジモン。


「え~見えないけどな~、本当?ジモン」


 クロードに放ったガサツな言葉は何処へやら。

 ビアーチェは何時もの言葉遣いに戻って、訝しげにジモンに聞いていた。

 何時ものビアーチェに戻ってはいるものの、あの顔と罵声は記憶に新しい。


 この子は地があっちなのかと、オイゲンは心のメモにそっと記載しておいた。


「おいおい、俺とジモンが見えてるんだ間違いないぜ!」


 ジモンまでもが見えている事に、クロードは更に自信たっぷりに言い放つ。

 鼻歌まで歌って、超機嫌だ。


「やっぱ俺って冴えてる~オイゲン、どのみち確認ししとかなきゃならし行くっきゃないよな」


「うむ、そうじゃの。ゆっくり近付いていこうかの。相手に気取られぬように」


「あいよ~」


「はい」


「・・・」


 PTメンバーの了解を取り、オイゲン達は炭化した魔物の塊の中、クロードの見た屋根を目指して進んで行った。

 徐々に進むにつれて、如何に多くの魔物が屠られたかが解ってきた。

 見渡しただけでも100体以上はあると思っていたが、折り重なったり灰の山になったりしているものも含めると200体、いや300は居たのではないかと思われる。


 しかも、今目の前には所々炭化して腐敗したワイバーンの死体がある。

 魔物を300体屠るだけでも脅威の戦闘結果なのに、ワイバーンまでも倒しているのだ。

 いったいどんなつわものがいるのかと、内心で驚嘆するオイゲンであった。


 ワイバーンの死体を越えると、ようやくオイゲンとビアーチェにも屋根らしき建造物が見えた。

 クロードは小声で『な?あったろ』と独り呟いていた。

 流石にクロードも、ここで調子良く声を出さない所はBランク冒険者と言う事か。

 だが、独り言を言う時点でやはりクロードなのだろうと、オイゲンは呆れていた。


「・・・・・・・・」


 ジモンは無言で建造物の一角を指差す。

 オイゲンが目を凝らして見詰めると、確かに誰かが居るように見える。

 ビアーチェも、オイゲン同様確認出来たようだ。


 暫く注視していると、人影は警戒するように動き出し此方を向いたではないか。

 オイゲン達の正確な場所までは把握していなさそうだが、確実に存在は掴まれてたようだ。

 

「拙いな・・・見付かってしもうておる」


「っち!あっちからは見えてないようだが、かなり索敵に長けてやがるようだ」


「どうしますオイゲン。見たところ魔物では無いようですが」


 オイゲン達は声を上げず、身振りで会話していた。

 もちろん、今の言葉は脳内変換である。

 冒険者としてPTを組む時に、声を出さずに会話できるよう、ある程度の手話がある。

 それを使って会話しているのだ。


 オイゲンは更に考えこんでからもう一度、建造物に居る人影を凝視する。

 人影は此方に向いたまま微動だにせず、大きな剣を下段に構えて臨戦態勢を取っていた。

 ここまで警戒されると、一悶着しないと接触出来ないかと悩んでいると、人影の後ろから更にもう1人現れた。


 もう1つの人影が、大きな剣を構える人影の後ろから弓を構えたのが解った。

 ふと、オイゲンはさっき頭を過ぎった光景が思い起こされる。

 もしや!

 オイゲンは、クロードに向って手早く手を動かす。


「あの2人の特徴を教えてくれ!」


 オイゲンの緊張した顔に、事の性急さを飲み込み、クロードは2つの人影を凝視する。


「1人は女、ドレスのような鎧を着て耳に特徴・・・いや獣人だ。大剣を構えている。もう1人は、これも女。軽装で弓を構えている・・・あの耳は・・・エルフか?」


 クロードの報告に、オイゲンは驚きを隠せない。

 もう一度人影の方を向き、何やら複雑な顔をしているオイゲン。

 それをを見たクロードもビアーチェも困惑する。

 こんなに顔に感情が出ているオイゲンを見たのは初めてだった。


 クロードはオイゲンの表情から、人影を尚一層注視している。

 ビアーチェは不思議そうにオイゲンを見ていた。

 ジモンは・・・どうやら人影の装備に釘付けのようだ。


「わしが1人でいってみるわい」


 手話ではなく声を出した事に驚く一同。

 そんな一同の驚きも気にせず、オイゲンは立ち上がりゆっくりと人影に向かって言った。


「ま!待てよオイゲン!!」


「そうよ!オイゲンいきなりどうしたの?!」


 ついついクロードとビアーチェの二人も、声を上げてしまっていた。

 2人が声を上げてハッとするも、時既に遅く人影に気付かれてしまっていた。


 相手の反応がどう出るか?

 2人は咄嗟に戦闘態勢になりながら、事態の成り行きに備えている。

 ジモンはただ人影を見詰めていたが・・・

 

 オイゲンが近付くに連れ、人影が徐に話し合うように見えた。

 どんどん距離の縮まるオイゲンと人影。

 どうなる事かと緊張が走る、


 お互いに顔の見える距離まで近付いた双方だったが、人影から警戒心が急速に薄れていくのが解った。

 そして、オイゲンと人影が重なると人影がオイゲンに抱きつき泣き声をあげ出したのだ。


 突然の邂逅に戸惑うクロード達。

 どうしたら良いか迷っていると、オイゲンが遠くからクロードとビアーチェ、ジモンに手招きをしているのが解った。

 3人は不思議な成り行きに顔を見合わせながらも、ゾロゾロと建造物に居るオイゲンと人影に合流していった。


 やがて、屋根状の建造物の一角に集合するオイゲン達。

 そこで、どうやらオイゲンの知り合いだった人影のイリスとセフィリアを紹介される。


「皆、このエルフの子がわしの弟子でイリスじゃ。そしてこっちの獣人がイリスの妹のセフィリアじゃよ。安心せい、2人ともわしの知り合いで冒険者じゃ」


 オイゲンに紹介され、丁寧に頭を下げるイリスとセフィリア。

 クロード達もまた、同じ様にお辞儀をして自らを紹介していった。


「臨時でオイゲンとPTを組んでいるクロードだ、よろしくな」


「同じく仲間のビアーチェよ。回復担当しているわ」


「・・・・・・・」


 手だけを上げるジモン。

 イリストセフィリアは、ジモンの態度に理解を示しつつも何と返せば良いか迷っているようだ。

 見かねたオイゲンが変わりにジモンを紹介する。


「PT仲間のジモンじゃ。ドワーフゆえ無口なんじゃよ」


「はあ・・・」


 どこか得心いかないイリスとセフィリアだが種族の特長ならと無理やり納得していた。


 一通り面識が持てた所で、イリスとセフィリアは建造物の近くに一同を案内する。

 少し窪みのある場所に、オイゲン達を誘った。


 窪みに到着すると、そこには得も言われぬ何かが居た。

 その物体を確認して、オイゲン達は驚愕の声を上げる。


「なん・・・じゃ・・・此れは?」


「うげ・・・キモ」


「なやこれ!なんや!!えええ??!」


「・・・・・」


 彼等が見たもの、それは全身に渡って肉と内臓が見える人のような塊だった。

 しかも、其の塊は生きているらしく、人としての形を取り戻そうと再生と崩壊を繰り返しているのだ。

 溶けた肉が盛り上がり、人の指になったかと思うとまた溶けて無くなる。

 顔らしき場所から眼球が浮き上がるも、直ぐに肉の中に無くなりまた浮いてくる。


 ありとあらゆる場所がこうした再生と崩壊を繰り返し、血と腐敗した汁が滴っている。

 そんな異様な塊に、イリストセフィリアは泣きそうな顔をして抱きついた。

 自らが汚れる事を厭わず、躊躇無く抱く付く姿にオイゲンは確信した。


 だが、抱きつきながら愛おしそうに肉の塊を触るイリスとセフィリアの姿は、傍目に異常さを感じさせる。

 思わずクロードとビアーチェが呻き声を上げたのも仕方が無いあろう。

 そんな2人に、特にイリスが目を吊り上げて睨む。

 セフィリアは睨む事をせず、ただ黙々と肉の塊に涙を落としているのだった。


 クロードはたじろぎ、ビアーチェは複雑な顔をする。

 オイゲンはそんな2人を宥めるように柔和な顔をして尋ねた。


「イリス、セフィリア。それはまさかラルスなのかの?」


「はい・・・」


「・・・・・・」


 オイゲンの問い掛けに答える、イリスとセフィリア。

 オイゲンは答えを聞き、肉の塊に目を落とす。


 これがラルスなのか??

 何故こんな事に?

 そもそも此れは生きておるのか??

 

 オイゲンはラルスと言われる塊と、此処で見た惨状を考える。

 ここで戦闘があったのは確かだ。

 そして、ラルスがこんなになるまでに何かをしたのだろう。

 その辺の事をイリスに聞く事にする。


「イリスや、此れはラルスがしでかした事かの?」


「はい、私達を守る為に魔物を倒しました・・・でもその結果・・・ラルスはラルスは・・・自らを犠牲にして・・・」


 イリスの言葉で全てが理解できた。

 やはりこの魔物達を倒し、ワイバーンを屠ったのはラルスのようだ。

 しかも、どうやってかは解らないが天孤のときと同じくなにやら特殊なスキルを使ったに違いないと。

 その結果が目の前の異様な出来事であると。


 2人を守る為にラルスは其の身をこのような姿にしてしまっている。

 オイゲンにはザームエルの依頼がある。

 だが、その目的を達成する為にこの子達を見捨てて行く事が出来無かった。

 何よりも、思い出されたアドルフの顔がオイゲンをそうさるのだ。


「実はの、ここの惨状を見た時にアドルフがわしの頭に出てきよったんじゃわい・・・死んでもおぬし達を助けろと、心配しておるのかもの知れんの~~」


「え!?そうなんですか」


「アーおっちゃんが??」


「ああ、そうじゃよ。じゃから此れはあ奴が引き合わせたのかも知れん~何とか力になれとな」


「力に・・・ですか」


「ああ、そうじゃ」


 イリスとセフィリアが縋るような目でオイゲンとクロード達を見詰めている。

 オイゲンは良いとしても、クロード達はどうだろうか?

 

 オイゲンの決定を確認するべくクロード達を見ると、皆一様に頷いた。

 その様子に、一縷の望みを持ったのかイリスとセフィリアが立ち上がり頭を下げる。


「どうか、ラルスを元に戻してください・・・お願いします。オイゲンさん・・・皆さん・・・」


「お願いします。お兄を助けてください・・・」


 オイゲンは頷き、クロード達に向き合う。

 その中で、オイゲンはビアーチェに目配せをしてラルスの方に行くよう促す。

 オイゲンの視線で『解ったわ』とビアーチェが進み出てラルスの様態を看る。

 看終わるとイリスに向って、ラルスへの対処を相談し始めた。


「えっと、イリス?私は司祭の位に一応あります。神聖魔法もLV8ですが僧侶系よりは多少高難易の回復魔法が使えます。貴方がしていない回復魔法をまずは試してみましょう」


「えっと、はい。ありがとう御座います。でも、ラルスには私の回復魔法が効かなかったんですが・・・」


「では、今までにしたラルスへの回復過程を聞かせてくれますか?」


「はい」


 ビアーチェは、イリスとセフィリアに今までの経緯を含めて、ラルスに施した回復方法を全て聞いていた。

 時折質問したり、イリスに実際回復させたりしてラルスの様態を観察している。


 オイゲンは、なにか良い方法はないか。

 はたまた彼女達の所為で気づく事はないかと、魔法使いの視点で見ている。

 

 クロードとジモンは辺りの警戒をしながら、食事の準備や野営の場所作りに余念が無い。

 たまにジモンがイリスやセフィリアの装備をチラ見しているが、それはドワーフ故の探究心だと説明しておいた。


 流れを把握し、イリスとセフィリアの行動を理解したビアーチェは、大凡出切る事が限られた事を悟る。

 正直イリスの神聖魔法LVは高い。

 ビアーチェですら適わないと思う程に、高魔力な神聖魔法を屈指している。


 そうなると、ビアーチェが出せる案は司祭系にある高難易度の回復か蘇生魔法しかない。

 これは、イリスもまだ取得していなかったので試す価値はあると踏んだのだ。


「解ったわ。じゃあイリスの知らない【エクストラヒール】をまずは試してみましょう」


「はい」


 ビアーチェは徐に、ラルスに向って【エクストラヒール】を掛ける。

 見る見る光に包まれ、其の体を光らせるラルス。

 イリスの知る【ヒール】と違い、全身に隈なく光の粒子が纏わりついている。

 しかも感じる魔力は絶大で、【ヒール】の数倍はありそうだ。


 この強力な癒しなら、ラルスの体が元に戻るかもしれないと期待させるに十分だった。

 ビアーチェの【エクストラヒール】はラルス包みその力を行使しようとした瞬間。


「え?なんで・・・」


 全身を包んでいた【エクストラヒール】が弾かれ、その魔力を掻き消す。

 まるで回復を拒むように、【エクストラヒール】が効かなかった。


「っく!」


 ビアーチェが必死に【エクストラヒール】を再度かけるも結果は同じだ。

 イリスもセフィリアも、一瞬期待したかに見えたが、また意気消沈している。


「まだまだ!」


 こうなったら思いつく回復を試すまで。

 ビアーチェは【エクストラヒール】に代り【ユニヴァースヒール】や蘇生魔法の【リヴァイヴァル】まで繰り出すも効果は無かった。


「どういう事??」


 あらゆる回復魔法が効かない事に困惑しているビアーチェ。

 そこに、何か気付いたかのようにオイゲンが言葉を掛ける。


「これは外からの魔力を受け付けておらぬな」


「え?そんな筈無いでしょ、魔法を受け付けないなんて・・・」


「じゃが、現実魔力はラルスの体に届いておらぬ。これでは手出しできんの」


 オイゲンの言葉通り、ラルスは魔法を弾いているのだ。

 

「じゃあ、どうすればいいの・・・」


「お兄・・・」


 イリストセフィリアは更に落胆している。

 オイゲンも眉間に皺を寄せ考え込む。

 ラルスを元に戻すことが出来るのか?

 此の疑問に、イリスとセフィリアは不安を増していた。

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