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第三十五話 危険な帰路

 ルート荒野4日目。

 2日目に出会ったトロールは、あれから数度遭遇した。

 トロールの行動は、単体で動く習性からか、手間取るものの倒せない相手ではなくなっていた。


 それに、トロールに対して有効な対処法を発見したのも良かった。

 アイテムBOXに放り込んでいた、生地を染める為の染色が役に立ったのだ。

 

 見えないなら見える様にすれば良い。

 どこぞの受け売りのような事を考え、試しに気配のする場所に向って投げつけて見た。

 運よく当たると、トロールに色が付着し、場所が特定できるようになったのだ。

 外す事も多いが、セフィリアに投げさせれば、数回の試行で色が付けられるまでになっていた。


 其処で、急遽防犯グッツよろしく、ペイントボールを【アルキメイト】で作成し、皆に配る。

 染料の飛び散る範囲は小さいが、それでも有効な手段として今は十分だ。

 後は、弱点の火属性攻撃を仕掛けることで、トロールを屠っている。

 【9尾鬼炎三連】への魔力の込め方も少なくし、初回の失敗をしないよう心掛けてもいる。

 

 奥に進むにつれ、トロール以外の異形な魔物と遭遇し出す。


 全身粘土で覆われ、至る所にひび割れがある肌を持つ人面犬の『デザートドッグ』

 頭部が2つあり、前後が解らないミミズの様な『アンフィスバエナ』

 体は蜥蜴で、鋏をも持ち、足と尻尾が蠍の姿をした『セルケルト』

 足の無い骸骨が、ローブを被った姿のまま浮いている『レイス』

 腹と手足は人の姿で、残りは真っ赤な鱗に覆われた、4足歩行の蜥蜴の様な『レッドリザードマン』


 思い描く魔物のイメージから、斜め上の姿をした砂漠の生き物達。

 異形故か、スキルもドルドナ森林で出あったものより種類も数も豊富だ。

 特殊なスキルも、持っている率も高く【ラーニング】には打って付だった。


 そんな異形の魔物との交戦を繰り返し、今日2度目の新しい魔物を見つける。

 1種目は蛇の胴体に、鶏の足と羽と鶏冠を付けた『バジリスク』だった。 

 石化能力を持ち、体当たりを主に攻撃してくるので【3尾水鏡】を使って石化を防ぎながら、イリスの弓と俺の投擲で仕留めた。

 時間は掛かるが、石化されたら回復する手段が取れるか心配だったからだ。


 そして、問題の2種目だが。

 胸と体は人の女性の姿をし、身体は蛇のようなウロコで覆われ、猫の前肢と後肢を持つ『ラミアー』だ。

 『ラミア』は、一般的に普通、人間の上半身に蛇の下半身を想像するのではないだろうか?

 なのに、目の前にいるのは全く違った生き物で『ラミアー』と語尾を伸ばす点から違う種類の『ラミア』なのかもしれない。


 元々『ラミア』も『ラミアー』も同じ魔物を指していたと思うが、異世界なので違う種類の魔物の呼称だと思いたい。

 だって、『ラミア』って元々は美しい豊穣の女神だったし、魔物化しても綺麗な女性の上半身をした姿で描かれる事が多い。

 だから信じたいんですよ、俺的には。

 可愛い顔した裸のラミアがいて欲しいと・・・

 なのに目の前の『ラミアー』ときたら顔が怖いし姿も動物気味で可愛くない!!

 なんでだよ……

 せめて胸が女性らしいオッパーイなのが救いかなっと下心でみようとすると。


 俺の邪な考えを見抜いてか、イリスによって現在俺は目隠しされている。


 いいもんが見えねー……


 イリスが後ろから俺の目を、その細くしなやかな手で覆っているのだ。

 まだ、ラミアーは俺達に気付いてないようなので良いが、この反応は過剰すぎるだろう・・・


「見ちゃダメ!ラルスは此の魔物は見ないの!!」


 必死に目隠しをすると言うことは、多分胸が女性創造の通り良いものなのだろう。完璧に露出していると憶測できる・・・パイ乙が。

 この手をほんの少しずらせば見えるだろう。見たい、いやぜひ拝みたい!!

 でも、そんな事してては危険極まりない。

 主に手で俺の顔を隠している人物的にだが、見たい。

 ちょっとお伺いを立てるのもいいかもしれない。

 相手は魔物だし、問題ないという方向性で進めれば拝めるかも。

 ここは攻めてみるべきだろう。


「で、でもねイリス姉。魔物だし、初めて遭遇するし、危険だよ?目隠しとってくれないかな?」


「ダメ!!ラルスには早いの!!」


 う~~~ん無理か。

 それにしても初めてって……

 イリスの胸なら、毎朝布越しに見てるんだけど・・・

 最近じゃあ、セフィリアの胸もかなり際どく見えているんだけど、その辺は無視なのかな?


「お姉~諦めなよ~相手は魔物でしょ?いいじゃん別に」


「ダメなものはダメ!!お・・・女の子の胸をラルスが見るのは・・・その・・・初めては・・・その・・・」


「あはぁ~~ん♪始めては私ってか?お姉♪」


「そ!!そんな事は無いもん!!」


「じゃあ良いじゃん~魔物なんだから~カウントしない方向で」


「・・・解った・・・こ、此れは魔物だから胸じゃない!だからラルスも見る間も無く直ぐに倒してしまう事!!良いわね!!」


「解ったよ・・・イリス姉」


「良かったねお兄♪お姉の許可が出たから存分に拝むと良いよ♪」


「ちょ、ちょっと~見ないで倒すのよ!」


「ヘイヘイ~お兄~だってさ~」


「ああ、出来るだけ早く倒す事にするよ」


 緊張感も薄れる遣り取りの後、俺達はラミアーに近付く。

 ラミアーを【鑑定】で見詰めていると、後ろから嫌な視線を感じた。

 イリスが俺を睨みつけ、怒りを露にしている。


「見るなって言ったのに・・・」


 うん、後ろは見なかったことにしよう。


 【名 前】ラミアー

 【L V】25

 【H P】510/510

 【M P】300/300

 【状態値】S25/V26/I30/P1/A28/L25

 【スキル】水魔法LV7・魅了・毒牙


 ふむ、またも魔法持ちか。

 荒野の魔物は、以外に魔法持ちが多かった。

 お陰で魔法が【ラーニング】出来て非常に有り難いのだが、戦闘が梃子摺るので面倒だ。


「お兄、もしかしてまた魔法持ち?」


「ああ、コイツは水魔法だな、しかもLV7だ」」


「うへ~レッドリザードマンは火魔法だし、レイスもそう。デザートドックなんかあんな不気味な形して土魔法持ってたしね~トロールが可愛く見えてきちゃうよ」


「そうだな、今回も慎重にいくぞ。俺がラミアーを引き付けるから、イリスは後方で支援。セフィリアは隙を見て攻撃だ」


「「OK]」


「いくぞ!」


 ラミアーに向って、俺が真っ先に姿を現そうと立ち上がると。


「やっぱり、堂々と胸見たいの?」


 っと行く気が萎える言葉が掛かる。


「いやいや、そうでは無くってね」


「・・・・・・」


「イリス姉?」


 イリスは、俯いたまま真剣に何か考えている。

 そして意を決したように顔を上げ、俺を元気よく送り出してくれた…と思う?


「こ、今晩・・・ラルスが好きな、良いもの見せてあげるから・・・直ぐに倒すのよ」


 イリスの言葉に、俺とセフィリアは顔を見合わせて苦笑する。

 多分アレだなっと、2人には解っていた。

 思い詰めると、トンでもない行動を起す前科がある。

 つまり思いつめ過ぎて暴走しだしたのだ。

 アレとはイリスの暴挙の事を指す。


 だからこそ、セフィリアには目配せする。

 『俺は見ないつもりだから、セシリーよ!止めてくれよ』っと。


 するとセフィリアは頷き、笑顔を見せてくれた、良い笑顔だな~うん。

 解ってくれたと思ってたのに・・・

 其の笑顔は解っていない替りに違うことを実行するときの、セフィリア独特の小悪魔的笑顔だった。

 その笑顔から、俺の期待は裏切られる事を悟った。


「お兄~ふふ。覚悟しておいてね~お姉だけには負けないよ?私も良いものも、見せて・あ・げ・る♡」


「ちょ、おま!」


「ほら、先行っちゃうよ?お兄が盾になってくれないとセシリー困っちゃう~」


 などといって、本当に先に歩き出すので、俺は慌ててラミアーの目の前に出た。

 最近のセフィリアは、どうも挑発的な行動が多い気がする。

 12歳なのに・・・何故こうなった?

 イリスに負けじと良いものを見せると言うことは、お前も胸か!胸を見せる気か!!

 全く張り合って仕方がないと思うのに。

 

 そんなセフィリアの対抗心に面食らったのかイリスはイリスで、かつて無いほど真剣な顔をしている。

 どんだけ思いつめつるのかと…


 それから、思いつめていたいリスは何かを決心したのか堂々と立ち上が支援する為に神聖魔法を詠唱する。

 あまりにも気合が感じられすぎて、めっちゃ怖いです。

 イリスの覚悟を決めた顔は、軍神アテナの如く神々しい。

 だからこそ、その決意が見て取れる分、夜は本気なのだろう・・・

 いや、そこまでせんでもええや~んっと似非関西弁で突っ込みたい。


 もうこの現状に俺は諦めつつ気持ちを切り替えて、ラミアーと対峙することにした。

 退治した途端に、頭に浮かぶは【魅了】のスキル。

 どうやら俺たちに気づいたラミアーが、【魅了】により仲間割れを誘うのつもりらしい。


 俺は、直ぐに3つのスキルを同時発動する。

 結構【ラーニング】スキルも溜まったので、天狐戦でのアレをするつもりだ。

 此処からは、天孤と対峙した時の感覚を思い出し、尾スキルを上げていく算段だ。


 【3尾水鏡】を唱え、右手には【水魔法LV7】、そして左手にはアンフィスバエナから【ラーニング】できた【超硬化】。

 そしてそれら3つを同時に放つと、新たなる名前が浮かび上がる。


 【3尾符水銀鏡】


 符水は神のお札を意味し、銀鏡はそのまま鏡の反射面を作る。

 つまり、とても強い防御スキルとなった、のかな?


 ラミアーと俺の間に水銀のような幕が現れ、ラミアーからの何かを遮る手応えを感じた。

 面白い事に、最初は銀膜だったのに、展開すると透明になるのだ。

 銀幕で相手が見えず、ラミアーを見失う事が無くなり安心する。


 ラミアーは何度も見えない何かを発し続けているが、膜に当たって効き目が無い。

 【魅了】を防いでいる俺に、ラミアーは必死な形相でムキになっている。

 顔が女性なだけに、もの凄く罪悪感が出る。

 俺が何か悪い事したかと、錯覚してしまいそうだ。

 体は見るに耐えない姿だけどね……


 俺がラミアーを引き付ける事に成功したので、後は話し合った通り行動するだけだ。

 セフィリアが飛び出し、イリスが支援をする。


 ラミアーは、セフィリアの大剣に切り込まれ、イリスの風魔法【ウィンドスラッシュ】に切り裂かれる。

 止めとばかりに、俺が合成尾スキルを放つ。

 【2尾岩弾】を唱え、右手に【突進】、左手に【土魔法LV7】。

 そして浮かぶ新たなるスキル名。


 【2尾岩尖砲弾】


 大きく尖った氷柱のような岩が表れた。

 狙いを定め、一気に放つと大きな爆音と共に戦闘は直ぐに決着した。

 一瞬にして岩が消えたかと思うと、次の瞬間には頭を吹き飛ばされたラミアーの姿と、其の向こうに在った岩山から濛々と上がる煙が見えた。


 余りにも一瞬の出来事に、切り掛かっていたセフィリアも、支援していたイリスも、2人揃って目を丸くし、口を大きく開けて固まっている。

 放った俺ですらポカンとしていて、事態を飲み込めていない。


 暫く固まっていた3人だが、セフィリアが先に立ち直ったようだ。


「お、お兄・・・またやっちゃった?つか胸見たいので張り切ってる??」


 俺を見ながら呆れるセフィリア。


「ハァ~~~~~~~~~」


 大きな溜息と共にイリスは情けない様な声を出す。


「ラルス~幾らこの後の私達のご褒美が嬉しいからって、そんなに張り切って攻撃しなくっても・・・・」


 いや、イリスさん。

 そういう風に捉えないでくれ!!

 俺は、2人がパイ乙の為に必死になったと誤解しているようだ。


「いや、スキル強化をしているだけで、浮かれていた訳じゃ無いんだよ!?」


「ほっほ~~~~本当かな~~~お兄~~~」


「ハァ~~~~~~~~~~~嘘は良くないわよ、ラルス。さっきの魔物の胸でさえ頑見してたじゃない」


「ち!ちがう!俺はあんなの見たくも無い!見るならもっと普通女性のが見たいよ!!」


 俺は誤解を解くべく必死に弁明するも、どうやら藪蛇だったようだ。


「げ!マジもんかよお兄・・・まあ朝もアレだしね。仕方ないかー」


「そうね、その・・・そんなに見たいのね・・・うん・・・そっか♪」


 えっとー


「ごめんなさい」


 俺は誤解されたまま戦闘を終了した。

 イリスとセフィリアに生暖かい目で見られながら、ラミアーの体から必要そうなものを剥ぎ取る。


 ルート荒野での狩りは、素材確保が難しい。

 トロールは焼いてしまうので何も残らないし、他の魔物も牙か皮位だ。

 鬣や尻尾、甲殻の一部など、使えそうなものは出来るだけ剥ぎ取り、アイテムBOXに収納している。

 そうでもしないと、何も取るものが無いからだ。


 剥ぎ取り作業は、正直グロいが、ぶっちゃけ森で散々やったことなので、今更なんとも思わない。

 その辺はイリスもセフィリアも慣れているので、乙女の様な悲鳴は聞かれない。

 3人とも必要な事だと、淡々とこなしている。


 剥ぎ取りも終え、確認したLVから、此の辺りからルート荒野の中心部と判断する。

 LV25のラミアーも現れたし、間違いないだろう。

 俺達は此処を中心に、魔物を探し幾度かの戦闘を経験する事にした。


 その後幾度かの戦闘を勝利し、剥ぎ取りをする。

 気付けば辺りは暗くなり、ボチボチ野営の準備となる。


 最初に考えていた日数も消化したので、此処からは引き返すつもりだ。

 明日には来た道を戻って、一旦キリエに戻らないと。

 足しげく通う為にも、英気を養い再度挑戦するほうが良い。

 体にも心にも負担が少ないだろうから。


 最後の野営を準備し、食事を済ませて寝ることにする。

 テントを張り、見張りを交代して夜を過ごす。


 もちろん食事の後、イリスとセフィリアが真剣な顔で俺に胸を見せようとした事は無かった。

 うん、無かった。

 そうしようとしたけど、何とか止めさせて見て無いから無かったのだ。

 そう、無かったたら無かった。

 見えかけた胸の先の淡いピンク色のものなんて見てないよ?

 ハッハハハハハ、見てないし~


 嬉しい、ゴホン。

 静かな食事の後は終身となる。

 まあ、夜の間に2度ほど夜襲も受けたが取り立てて問題なく撃退する。

 以外に夜の荒野は静かで、森に比べると夜行性の魔物が少ないのかもしれない。


 無事朝を向かえ、3人で朝食を済ませると帰り支度をする。

 荷物をアイテムBOXにしまいこみ、装備を確認して出発する。

 暫く来た道を戻って歩いていると、セフィリアが何かに気付いた。


「お兄、あっちからすっごく魔物の匂いが固まってる気がする」


「どの位だ?」


「ん~数も種類も桁違い・・・なんだろう・・・とても数を特定でき無いほど、魔物が集まっている感じ。」


「セシリー、このまま帰るとして問題はありそうか?」


「ん~何個か小さな魔物の塊が、大きな塊の周りに点在してるかな?それらが動き回っているから見付かるとヤバイかな。小さいのでも10体以上はある気がする」


「そうか、ならそいつらに見付からない様に避けて帰るしかないか」


「ラルス・・・大丈夫かしら・・・」


「大丈夫さ、何かあっても必ず守る!だから安心してくれイリス姉」


「うん・・・何も無いと良いけど・・・」


 俺達はセフィリアの誘導にしたがって、来た道をはずれ迂回して帰路を急ぐ。

 だが、迂回して魔物の集団から遠ざかってっているにも拘らず、俺の不安は募る。


 ふと、上空を見上げると遠くに1羽の鳥が飛んでいた。

 何気なく見ていると、俺の頭にスキル名が浮かぶ。


 【千里眼】


 拙い!

 アレは魔物だったのか!

 直ぐに【鑑定】して確認すると『ハーピー』と見える。


「イリス姉!セシリー見付かった!!」


 俺が叫ぶと、セフィリアも驚愕の声を上げる。


「お姉!お兄!魔物の集団が、こっちに向ってくる!あっちからも!こっちからも!!」


「っく!魔物のいない方角はないか!!」


 暫し辺りを嗅ぎ回り、道を探すセフィリア。


「あ!こっち!こっちに行くと、一箇所魔物が出入りして無い空間がある!」


 俺達は、セフィリアを先頭に走り出した。

 魔物が出入りして無いと言う事は、何か遮蔽物があるのかもしれない。


 魔物に狙われながら、セフィリアの目指す場所にひた走る。

 走り続けると、確かに荒野の中に、何も無い空間が空けている。

 近付くにつれ、空間の中に屋根らしき建造物が見え出す。


「あれは・・・」


「お姉!お兄!あそこ!」


 セフィリアの指差す先には、屋根の一部の様に見える建造物だ。

 もしかするとあの中に空間があり、魔物の目を眩ませれるのかもしれない。

 屋根の一部に穴が空いていて、人一人は通れる大きさだ。


 俺達は迫る魔物を気にせず、一気に穴に入ろうとした。

 入ろうとして、入れなかった。


「な!」


「ラルス!入れないわ!」


 見えない壁があるのか、穴に手前で押し戻される。

 振り返るもまだ、魔物の姿は見えないが、四方から迫ってきていることは確かだ。

 俺ですら感じれるほどに、魔物の気配がビンビン肌に突き刺さる。


「ダメだ!囲まれるよ!」


 セフィリアの悲痛な声が俺達を絶望させる。

 穴に入るのを諦め、屋根を背に追いついた魔物の大群を見渡す。


「こ・・・こんなに・・・」


「お兄、お兄、どうしようどうしよう・・・」


 2人の狼狽はもっともだった。

 何せ、見渡す限りの魔物の山。

 小さな集団も、集まれば大群だ。

 しかも、囲みの後ろにはセフィリアの言っていた大きな魔物の塊も来ている。

 見えるだけでも、魔物の数はざっと200体はいそうだ。


「セフィリア!イリスを守れ!、イリス!回復に専念しろ!」


 俺は、2人を背に庇い一歩前に出て魔物の大群の前に立ちはだかる。

 既に数え切れないほどのスキルが頭に浮かぶ。

 此の大群相手に、俺はイリスとセフィリアを守り切らなければならない。


「9尾鬼炎三連!!」


 先制から全開でぶっ放す。

 これが魔物の大群との戦闘開始の合図となる。

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