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急展開

「でさ、この年明けからNYなんだ」


「えっ」


私は目をみはった


しばらく言葉がでなかった・・・でも嬉しそうな顔をしてる彼を見てると「おめでとう」って言葉を言わなきゃいけないんだって、まず気づいて



「良かったね、いずれは向こうでっていってたもんね」



そうだ、就職したときから、海外赴任希望だったんだ




「うん、まあ、どこまでやれるか、わかんないけどな」



聞きたくないけど、聞かずにはいられないことを、きく



「どのくらい行くの?」



彼は目の前のグラスに残ったビールを飲み干して

そして、私をまっすぐ見る



「2年」



2年・・・2年も会えないんだ・・・うそ・・・

目の前が暗くなった気がした



確かに、毎日一緒だった学生時代に比べて、会社に入ってからは

会える回数なんてほんとに減ってきてたけど


それでも、今だって会いたいと思えば連絡できたし

何もしなくても、学生時代の友達からの飲み会でも顔を合わせたこともしばしばあった



でも、海の向こうなんて・・・時差もあるから気楽に電話なんてできない・・・ましてや今日みたいに今から会おうなんて気楽に誘うこともできない・・・



再び、私は言葉がでなくなってしまった

お祝いの言葉をこんな気持ちのまま言えないし

でもひきとめたいと思う気持ちを表すこともできない

こぼれようとする涙を止められなくなるのも時間の問題だ



「店・・・出ようか」


「うん・・・」


席を立って隣に立った彼は優しい顔で、私の頭をなぜると先に出口のほうに向かった


店を出て、駅に向かう道のりも電車の中でも私たちは黙ったままか、

もしくは転勤とは全然違う話をしていた


駅からの帰り道、私を家まで送っていく


今ここで別れるのが急に寂しくなって

周りが暗い夜道だからわからないだろう、と涙を音をたてず静かに流す


でもしばらくすると我慢しきれず、嗚咽が出てきて・・・



そんな私の様子に彼が立ち止まって

合わせて止まってしまった私の顔を見て・・・



「俺、わがままかな」


「わがまま・・・いっつも先になんでも決めちゃって・・・」



つい、本音がこぼれてしまう



「信じられないよ、今だって・・・ずっと会えなくなってたのに・・・もっ・・・もっと会えない・・・ひどいよ・・・」



言いがかりだって、わかってる

彼のしたいことは彼が自由に決めていいことだ



でも私の気持ちもとめられなくて

その場に立ち尽くしたまま涙がボロボロこぼれてしまう



「泣くなよ」

うろたえた声で言う



彼の手がゆっくりと私の背中に回されて

ぎゅって抱きしめられた




そして、涙が止まらない私の頭にキスを落としていく・・・いつかの時みたいに・・・



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