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別離

もう公園は真っ暗で小学生もみんな引き払っていた

彼の声だけが静かに響く

私たちはベンツに座っていた



「僕から君を好きになったから

だから、君の気持ちがうまくつかめないのは仕方ない気もしてた


でも時々辛かったんだ


君の友達に対する態度はぼくに対するのとは全然違う

一緒にいても自分が違うってことがわかるんだ」


彼がまっすぐに私を見る



「言葉だけじゃない、そのときの態度、体の反応、時に目の動きだけで

相手のことを理解するし、会話する


一緒にいても、少ない言葉や、その表情で

僕が訳がわからないうちに会話が始まって終わってしまう

そういうのいくつも見てきたよ


すごく疎外されてる感じがしていた」


そんなこと気づかなかった

私は彼が私のことを見てくれていたのがすごく嬉しかった

でも、そんなふうに悲しい気持ちにさせていたとは思っても見なかった・・・



「でもそれは僕が男だからだって思ってた

だから君の女友達ほどわかり合えないんだろう

どうしても距離が開いてしまうんだろうって


でも、彼とは違ったんだよね

いつもじゃれてたって、本屋でその先輩が言ってた

彼氏になるのが当然みたいにいった


ああそうだって思い当たったんだよ

最近はそうでもなかったけど

君は以前、彼と目立って仲が良かったって」


悔しそうな顔で言う


「そして、今でもずっと側にいるんだって

いつも君は彼のことも気にかけてるって・・・

他人のふりしてたって

なんかあったらすぐに心配してやって来るんだろう

僕があいつをにらんだら

すぐに心配そうな目つきになってたよ

君に何かあったんじゃないかってね



どんなに君が好きでも

他の男にスポイルされてるのを見るのは・・・」


彼の言葉をさえぎる



「・・・わっわたしは、あなたのことが好きだと思う

でも、いままでの自分を否定するなんてできないよ

中学からずっとずっと仲間で一緒になんでも頑張ってきた

・・・それをあなたが好きだからといって断ち切れない」


声がうわずる

私はこの人をずっと傷つけていたんだ

私が甘い気持ちに浸っているときも

この人はどこかで悩んでたんだ・・・



「せっ先輩の話だって・・・聞いてくれたら・・・話した」


「聞こうと思ったよ、でも君はあの時、目をあわそうとしなかった、僕に聞かれたくないって顔してるのに、聞けるわけないだろ?」


・・・でも、誰かにはこのことも相談できたんだよね、そうつぶやくと


「ごめん、自分が情けないよ・・・だからもうこれでやめよう・・・これ以上自分のこと嫌いになりたくないから」


「えっ」


「最後に君に意地悪なこと言った、ごめん・・・」


そういうと彼は公園を出て行った


・・・今、私は別れ話をされたんだ

あっけない幕切れに

何も考えられなくなった・・・


ベンチに座ったまま、空を見上げる

ため息・・・ためいき・・・

なんどついてもつきたりないくらいだ

しばらく目をつぶる


わたしは彼のことわかろうとしてたのかな

彼に大切されてぽおっとなって

恋に恋してたのかな

それが間違ってたのかな

自分からは何の努力もしないで・・・

だから彼を傷つけることになってしまったのかな・・・


今追いかけたら、そしてあなただけと一緒にずっといるから

といえば彼は思い直してくれるのだろうか

でもそんなことが私にできるわけがない




向こうから人が走ってくる足音

軽い息遣い・・・ああ・・・彼だ

中学のときからこの走る音、ずっと横で聞いてきた足音

ふっと力が抜ける


目を開ける


「・・・なんでここに来たの」


男か女かわからなくさせる中性的な目

私を落ち着かせたり、惑わしたりする目


こいつのせいで別れたようなもんなのか・・・

責任、少しは感じてよね

ほっとしたせいか意地悪な事を考えてしまう


・・・嘘、心配してくれたんだよね・・・


「一応な、あいつが逆上したらやばいなって思って、おまえ、あいつよりは力ないだろ?」


まあ、余計な世話だったかなというと

息を整えてから、隣の席に座る



「・・・あいつがさ・・・お前とつきあいたいって聞いたとき、

話きいてたら、あいつはお前のこと

全然わかってなかった・・・

あいつの話すおまえのイメージが全く違うんだ

なんか夢見てるって感じでさ」


「・・・正体うんぬんの話ね」


「だから、すぐ幻滅して捨てられるかと思ってたんだけど」


目の前にあった小石を蹴る


なんてひどい男だ

じゃあ止めてよ最初の段階で・・・


「実際のおまえがイメージが違ってるのに気づいてもあいつ楽しそうだったんだよ

逆におまえを改めて発見したって感じで嬉しそうでさ

どんどん深みにはまってくのがおれからもみえたよ」



「・・・」


「でも、お前はそういう感じじゃなかった

おれらと一緒にいるときのほうが無理がないっていうか

それはそうだろうけど

あいつとは合わないのに無理してるって感じだった」



無理してるなんて思ってなかった



「あいつ、いいやつだし、おまえがもっと器用ならうまくいったと思うよ

悪いやつじゃないし

おまえのこと大切にしてたし

おまえにもったいないくらいカッコいいしな」


「なんで別れたってわかるのよ」


「顔にでてるだろ、はっきりと」


そういいながら、私の顔をのぞきこんだ

ほらって、いって頭をなぜる

もうすっかり大きくなった手

いつからこの手は私を庇護するものになったのだろう


「でも・・・まあ・・・ほっとしたかな・・・

さびしかったよ・・・このままどこかへ行ってしまいそうで・・・」


私は・・・私はどうなのだろう・・・なんて、問わなくてもわかってるくせに・・・


「私も・・・さびしかった」


そういうと

「今日は正直だな」っていって笑う


笑った顔も久しぶりに見るな・・・そう思ったら・・・

私の心の奥のどこかで鍵がガチャって開いた気がした

これって・・・


彼の顔が近づいて


「さびしかった・・・」


彼の両手が私の顔に伸びた




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