嫉妬
「ずっとそばにいて欲しい」
付き合ってる人に、そして、そうしているつもりだった人に
そんなことを言われて私はとまどっていた
学校の帰り、部活も休みで、予備校まで時間があったから
一緒に、お気に入りの雑貨屋とスポーツ店に行って
飲み物を買って公園で飲んでいた
日曜のこと、ほんとはいろいろ話さなきゃいけない
そう思いながらも、なかなか言い出せないでいた
どこまで話を聞いていたのか
というよりも本当に話を聞いていたのか
もしかして他のことで怒ってるのではないか
そもそも彼をにらみつけたのは私のせいなのか
私には何も感じさせないというのに・・・
そんな考えが堂々巡りをして口にだせなかった
夕方の公園は騒がしい
遊具のあちこちに小学生が固まって遊んだりふざけあったりしている
ボールを蹴って走り回る子供たちもいる
夕飯の前のひとときなのだろう
この子達のように、私はあんまり遊べていなかったな、と思う
中学受験こそしなかったが
学校が終わると、小学4年くらいから塾には通っていたし、
その前だって、いろいろな習い事に行っていた
今でもあまり暇な時間はない
何もない日は嬉しくて同じ境遇の友達と遊ぶ予定を入れたり
本を読んだり、お菓子を作ったりする
でないと時間をもてあましてしまう・・・
「私もそうしたいと思ってるよ」
「そうかな?そんなふうにあんまり感じないんだ」
「どうして」
不思議に思う、今は自由な時間をかなり彼と会うことにつぎ込んでいると思う
毎日、必ず彼の顔をみて、話したいと思う
一緒にいれば手をつなぎたいと思うし、もっとそばにいたいと思う
なのに、どうしてそうこの人はそう思っているんだろう・・・
「僕が君を見ているほど、君は僕をみていない
僕を見ていると思えるときもあるよ
でもそう思っていても、またすぐにどこかを見ている君をみつけてしまう
君の顔を見ると、目の前にあるものじゃなくて、何か他のことを考えてるのがわかるんだ
僕はちがう
君がそばにいる時だけじゃない
君のいない時も
町で君の好きそうなものをみつけたり、面白いことがあったりしたら、
いつも、君の顔が浮かんで、このことを話したいって思う
でもそばに君はいなくて
大抵、君は誰か他の奴らとずっと一緒にいるんだ」
「・・・」
「・・・それが・・・すごく苦しいんだ」
その日、私は予備校へ行かなかった
行けなかった・・・だってそんな風にすがるみたいにされたら
とてもできない・・・
ずっと公園に一緒にいた
でもこの雰囲気が重苦しくて何も話せない
彼の言った通りではないけれど、私は別のことを考えていた
予備校の授業のこと、みんなが心配してるんじゃないか、とか
この場合は仕方がない
授業が終わったぐらいの時間に携帯が複数回、鳴る
誰からかもわかってる
でもどういったらいいのか、彼を目の前にして話せなくて
電話にはでない
そのうちメールがなった
受信先をみて返信する
『ごめん、近くの公園にいる、大丈夫、また明日学校でね』
と入力して送信ボタンを押す
「それだよ」
彼がそういった
「えっ」
私はとまどった
あきらかに彼は怒ってる
「一緒にでかけていても、いつも友達からメールが来て返事をしている
そしていつも君は何かを見つけたら誰かにメールしている
相手が僕じゃないんだよ
いつもあいつらなんだ」
「だって、それは心配して・・・」
「いつもそばにいるやつがいないからだよ
いつもじゃれてる奴がいないからだろう」
・・・やっぱり聞いてたのか・・・




