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コツコツコツって駅のほうから靴音がして

私たちはパッと離れた


泣きはらした顔を見せるのが恥ずかしい

片手で涙をぬぐっていたら

彼が空いていたほうの手をつないで微笑んだ

そのまま2人で、私の家の方へ歩き出す


「酔っ払い」


「今日はそんなに飲んでないよ」


「そうだっけ?じゃあ、弱くなったんじゃないの」


「・・・そうかもな」


照れくささをぶっきらぼうな言葉で隠す

2人で何度も歩いた私の家までの道のり

また並んで歩き出す


帰り着くまで転勤の話はしなかった

とりとめのない話をして

気持ちを向けないようにしてたんだと思う



門扉につくと

私はじゃあ、という目で彼をみた


「ありがとう」


「・・・手を離したくないな」


彼はするっとそういうと

ゆっくりと、もう片方の手もつなぐ


覆うもののなくなった私の顔をみて


「すげぇ顔、変わんねぇな、泣いた後は」


って薄く笑う


「もうっ」

って振り払おうとするもなかなか力が入っていてできない・・・







最初の彼女と別れて、落ち込む姿が見えなくなった頃から

彼はまたいろんな人からアプローチを受けてるみたいだった

女友達つながりの横の情報から伝え聞いたところだと


「失恋したばっかりでどうもそういう気持ちになれない」


と断ってることが多かったみたいだけど、

それでも、逃げ切れないことも多いのか、わりとひんぱんに女の子に

休み時間や、放課後につかまっていた


拉致された後、部活の友達やクラスメイトと

「あのまま、どっかに行っちゃうんじゃない?」

って笑ってたけど、相変わらず、授業や部活にはちゃんと出てたし、予備校に遅れることもなかったから、なんとか対処して帰ってきてたんだろう

やれやれという感じで友人の隣の席に戻る彼の背中をみやる


愛想いいしなぁ、如才ないし、勘違いさせてるってこともあるんじゃない?

ある意味女の天敵なんじゃ・・・と思っていたら


視線を感じたのか私のことが話題に上ってたのか、後ろを振り返るから目が合った


「・・・何?」

つい、きつい目で見てしまう


そんな私をまじまじ見て

「お前・・・同じ女だよな」

とつくづく感心したようにいう


「・・・何かと比べてるわけ?」


「うん」


素直なヤツ、でもかなり私に失礼なセリフじゃない?


今の彼のセリフに反応するように隣に座っていたやっぱり部活仲間の友達が言う



「女だと思ってるやつもいるんじゃないの?」



ちょっと、そういうの、男同士だけの時に話してよ

本人目の前にしていう話じゃないし


「ああ、あれな」

そういいながら、ちらっとみやると

つまらなさそうな顔をして前を向いた



「あれな」ということはあの話、知ってるんだ・・・

隣にいたやっぱり部活仲間の女友達を見る


「違うって、私じゃなくて、流れてるんだって、そういうのが・・・」



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