末路
改稿中の為、文章の落差が激しいです (;゜Д゜)!
残酷な描写があるのでご注意を
◆蠱毒◆
動物を使った呪術の一種。「器の中に多数の虫を入れて互いに食い合わせ、最後に生き残った最も生命力の強い一匹を用いて呪いをする」という術式が知られる。
◆◆◆◆
この世界、アースには魔素と呼ばれる力と、個人の技能と魔道具を駆使して日々を生きている。
魔素は万物に宿り、進化の可能性、奇跡の素とも言える物質。生物は是れを一定以上摂取、蓄積すると器が強化され、進化する事が出来る。
経口摂食や呼吸などから魔素を体に溜め込む事もできるが微々たるものでしかない。
最も効率的に魔素を吸収する方法は大量に魔素を蓄えている個体を破壊、殺傷すること…つまり高純度の魔素を蓄えている魔石を破壊、摂食するか人間、魔物を殺すことが有効である。
弱肉強食なこの世界で他者の魔素を喰らい合い自身の器と魔力を高める様は、正しく蠱毒であった。
◆
この世界は蠱毒の坩堝の中の様に様々な魔力を持った者たちが殺し合いに明け暮れ魔力を熟成し強化してく、魔素に取り憑かれた者は闘争本能を刺激される少量の魔素なら薬になるが、器に入りきらない程の多量の魔力が一度に取り込めば、猛毒、劇薬になり、魔物に変わるり、ひどければ紫色の怨念の様な気を放つ凶悪な悪魔に変わってしまう。
「だが、抜け道がある。」
「僕のこと?」
私はそうだと答え、飛龍の背に捕まっているベルゼを見る。
盗賊団に襲撃されるであろう村に私、ベルゼ、ゼノン、ミタータの四人で飛竜にのって向かっているのだが、飛んでいる間にこの世界の事をお登りさんの新入りにレクチャーしていたのだが、この子は知らないだけであって決して頭の悪い子では無く、聡明な子であることが理解できた。
やはりいい拾い物だな。
「魔石を体内に埋め込み、魔霧、魔塵を使って体内に少しずつ蓄積させた純粋培養に育てれば魔物にならず、魔物の力を宿した強力な戦士になる。」
「随分、詳しいね? 研究所の奴等は極秘に実験していたはずだけど?」
少年の表情に疑心が浮かぶが、私は其れを晴らすように答える。
「フフフ、昔、知り合いに君と同じ境遇の人がいたからね。」
「……え?」
「だから君が放っておけないのかな?」
大義の為に、人として自分を捨て、世界中の恨みを買われても、それでもその世界を救うために、礎となって消えたあの男のように。
『お嬢! 集落から3リーグ《約3キロ》離れた所に例の盗賊団が向かっているよ!』
耳飾りに細工した通信魔石から本拠地にいるアルマの【念話】が音声になった盗賊団の襲来を知らせる。
今、彼女の手元にあるであろう【遠見の水晶玉】に込められたスキル【未来視】と【千里眼】がその集団を補足しているのだろう。
「今、私も目視で補足した……ここからだと、普通の商業団にしか見えないな。」
『私らを警戒してんだろうさ、あんたの悪名も大分、この国に轟いてきたね。』
ケラケラとアルマが笑う。
むぅ、仕方がないとは言え、清く正しく、真面目に世の為、引いては私のために働いしているのに、この悪評はどうにかしないとな…
「ルー……」
「ん?なんだい? ベルゼ?」
「奴隷商以外は好きにしていいんだな?」
「……盗賊を討伐した証拠として首か手首は残しておくんだぞ? 新入り君?」
言われるまでも無いとベルゼは目で答え、空高く飛んでいる飛龍の上から飛び降りた。
◆◆
side 商人に偽装した盗賊
俺らが商人に偽装した理由は騎士団はもとより、各集落に必ず配備されている冒険者、ハンターで構成され得る【駐屯兵団】を油断させ、奇襲を仕掛ける為だが最大の理由は近年、その名を轟かせる【白い悪魔】率いる集団を警戒しての頭と奴隷商の策だった。
構成員が大量殺戮犯や国家反逆者等の表沙汰には出来ない者や社会的に存在を抹消された者たちで構成され、民衆ではなく、悪を成して財を得る盗賊、一部の悪徳十字教団、貴族、商人を標的に人知れず残忍な手法で殺してしまうのだ。
先日も地下下水道で鋭利な刃物で五体をバラバラされた惨殺体
押しつぶされ、挽肉の様に潰された血だまり。
その首謀者が【白い悪魔】であるという目撃情報も盗賊たちは聞き及んでいた。
仕事の前に縁起の悪い事を聞かされ、俺たちの士気は下がった。
当然だ。
すぐ近くで白い悪魔の目撃例が出たのだ。
ひとつ間違えれば、俺たちがその惨殺体になったのかと思うと、とても人事には思えない。
それでも以前から予定を組んでいた仕事だったこと、つるんでいる奴隷商が何人か攫った奴隷を融通すること、仕事の後の護衛の代金を弾んだことで、下がった士気を上げ、一応、警戒の為に堅気の商人に扮装して目的の人里離れた片田舎に向かっていたのだが、予定外の事が起きた。
進行方向にいつの間にか一人の白髪のガキ(男)が出やがった。
街道も整備されてないこんな田舎に一人でいるという事は目的の住人だろう。
よく見れば片田舎に住んでいるにしては顔も整っているソッチの趣味は無いが、奴隷商からすれば掘り出し物だろう。
気を良くしてあのガキを捕まえろと命令しやがる。
目的地にはまだ少し距離があるし、人目も無い、ガキに警戒心を持たれないように距離を詰めて近づき村まで送ろうか?と仲間の一人が声を掛けようとしたまではよかった…
予定通りに、駐屯兵団に、商品に偽装して荷馬車に詰め込んだ武器を持った仲間たちが、奇襲し、村を襲い男を奴隷にし、女を襲い、自身の欲望を満たし、金品を巻き上げ、酒を浴びる程、飲む。
騎士団や白い悪魔の活動が厳しく、警戒していたため、何年かご無沙汰だった為、恐怖を押し殺し、抑圧されていた為、ソッチの趣味を持った仲間が下卑た表情をする。
女と違い、男なら味見をしても商品価値が下がらない為に、仕事の前に事をなそうとするんだろう。
ソッチの趣味を持った男がガキを捕まえようと手を伸ばした瞬間、その手首から先が消えた。
「へ?」
余りの事態に俺たちは唖然としたが、次の瞬間、ゲイ野郎の首が落ちた。
残された首なし死体は次の瞬間には見えない巨人の足に踏み潰されたかのように、潰れ、血だまりへと変わる。
「殺しても殺してもお前らは蠅の様に湧いて出る。そして僕の様な存在が生まれる。」
血だまりの死体 白髪
その単語から、先日の地下下水道で起きた事件が脳裏に浮かぶ。
「し、白い悪魔だ! こ、殺されれれれれ?」
正体を察し悲鳴をあげ用としたら、視界が急に低くなり、何回も転がった後、見覚えのある倒れふす体が目に映る。
雑音が混じり、怒声や悲鳴が上がる中、俺はその体に手を伸ばそうとするが手が無く、体が動かない。
(俺の体、俺の手が! 返せ! 返してくれ!!)
声が出ない…涙を浮かべ、ヒューヒューと俺の息だけが耳を打つ。
グチャ!
そして俺の体が見えない巨人の足に踏み潰され、血だまりへと変わったことで、俺の視界と意識は途絶えた。
side end