白い悪魔と気高き王
読者から要望のあった異世界攻略のススメ 新キャラのルーさんの外伝!
本作とリンクするこの物語、七英雄ではなくアースの住人達が主人公です
ガリア王国……一〇〇〇年王国と呼ばれるクルトの女神の加護のもと、クルトの民の末裔達が建国したとされ、豊富な魔石を産出する地下鉱脈が存在し、それに比例するように天然の魔結晶が発生しダンジョンコアとなって数多くのダンジョンを形成される遺跡国家でもある。
そんな中、嘗ての地下坑道、下水道、スラム街を根城にする輩が現れ、豊かになると同時に歪んだ思考を持つものが現れ始める。
光ある所に影が差す様に、日の元に出れない弱者は悪人に震える毎日を過ごしていた。
そんな中、無実の罪でスラム街へと追いやられた者たちを纏め上げ、嘗ての名を名誉を取り戻すべく、復讐の業火で悪人を闇へと葬り去るべく地獄からやってきた白い悪魔。
彼女は、果たして聖女か魔女か……
これは歴史の影で戦ってきた悪魔達の物語である。
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「ハッハッハッ……ゲホッゲホ」
日が差すことがない下水道を10代前半だろう小さな少年の人影が走り抜けていく。
息を切らし、疲労困憊になり、心臓が破けそうになるほど鼓動を鳴らしても尚、その速度を緩めることは無い。 なぜなら彼は追われているからだ。
人工的な超人の戦士 臨界者の生成実験 魔素を限界まで体内に取り込ませ、魔物に近い対構造を持たせた究極の人型兵器の作成、人里離れた山、下水道の秘密研究所でその戦士は作られ、場所を転々としながら狂気の実験が行われ、魔素を取り込める器が先天的に高い素対を手に入れ、遂に死ぬことも魔物化せずに凄まじい戦闘技術と魔力を有した感情を持たない殺戮人形が完成した。
少年は幼いころ、両親を殺されて研究場の人間に攫われてきた。 とあるさびれた農村で規格外のスキルや器を持った子供が生まれた事を耳にした黒服の男たちが現れて両親に子供を譲って欲しいと多額の金銭を持って現れたが両親はそれを突き返し頑なに断った。 其れほどに我が子を愛していたのだ。
だが結果として業を煮やした黒服達が両親を殺してしまい、子供を連れ去ったのだ。
それからは地獄の日々だった。
名を奪われ、代わりに与えられた呼び名は実験体 42号 毎日、何度も魔物と戦わされ、戦闘技術、魔素を叩きこまれ、感情を殺すように洗脳、調教の日々、攫われた時は幼かった子供は少年に育った時、よく笑う幼児だった面影は消え、両親を殺された怒りで髪は白く染まり、瞳は怒りの憎悪を現すかのように魔素の影響で赤く染まっていた。
レベル200 人間の限界点が250という数値から見れば、この年齢で5年と言う月日でここまで仕上がるのはあり得ない。
そこまで上がる前に死んでしまうのがどおりであり、この世界に置いカンストまで成長するものは一国に一人いるかいないかでそのものは勇者、神子、聖女と呼ばれる。
長年鍛え上げてきた歴戦の英傑、大将軍でレベル150~180が関の山なのを鑑みればこの数値は異常だ。
少年は望まずして戦略兵器の人形とされた。
自分と同じ境遇の者と慰め合い、何時しか復讐を果たし自由を手に入れる為に機会を待ち、感情が死んだフリを続け、人を魔物を殺す人形のように死んだ目をしてただただ戦闘技術を学んだ。
そして機会が来た。
最終調整の為、今日は一日を休息に当てるように言われ魔封じの牢屋に入れられる隙を突き、行き成り考えることのない人形が自我を怒りの感情を見せて黒服の研究員を拳を振り抜き、あまりの威力に殴られた男は衝撃でバラバラに吹き飛んだ。
牢屋を破り、他の子供たちを救いだし、まだ自我の残っている一番年長の子供に死体から拾った鍵を渡し外に出たらバラバラになって逃げるようにいい含め、42号は一人残って牢に閉じ込められた魔獣を解き放ち、暴れに暴れ、遂には研究所の人間を皆殺しにした。
血のむせる匂いと魔素による魔力酔いに落ちる中、意識をしっかり保ち、強靭な精神力と戦闘能力を有した戦闘兵器はようやく逃げ延びることにした。
研究所の様子を窺いに来た追手に見つかり、疲弊しながらも、追手を退け、殺していく中、遂には力尽き、倒れ伏した。 体力が万全ならこの程度の追手に手間取ることもなかったが、子供たちを逃がす為に自分一人で戦ったが故に疲弊しきった体では限界だった。 意識が薄れゆく中、子供たちを逃がせたこと両親の仇を討てたことに満足していく中、追手の悲鳴が聞こえた。
次々斬られ、魔法で撃たれて事切れていく追って達の悲鳴が聞こえ、気になって重い瞼を開けてみると其処には薄暗い地下の中でもハッキリと見える程の白い髪、白い肌を持った女神の様な美しい少女が目の前にたっていた。
「め…がみさ…ま?」
その言葉を聞くと、白い女性は優しく頬笑みこう答えた。
「フフフ 君も私の事女神様っていうんだね? 42号君だね? 君が逃がした子供たちが、地下行動から飛び出してきたと思ったら、うちの隠れ家に掛けこんできて君のこと助けてだって? 私たちって実力を隠す魔道具やスキルを持っているのにそれを見破って且つこの地下街で私を選んだ選択眼をもった可愛い女の子だ。 その子に感謝するんだね?」
最近、どこからか攫われてきた一番小さな女の子だ……42号を超える逸材だと研究員が騒いでた。 そうかあの子が……
「バラバラに逃げた子供たちも私の部下に保護に向かわせている。後で国の憲兵達に送って保護させる。君は如何する?帰る家はあるのかい?」
そう言われて、昔、両親と住んでいたあの村を家を幸せだった日々を思い出し、涙があふれる。もう自分には帰る場所が無い。
「父さんと母さんは殺された。 僕に帰るところはもうない。」
「……そうか辛いことを思い出させてしまったね。」
そうして暫く白い少女は考えるそぶりをした後、名案だとばかりに手を叩き、少年の顔を覗き込んだ。
「よし!私が君の家族になってあげよう! ウン!それがイイよ!」
「……行き成り何を言い出すんだ?」
「それが一番素敵だと思うんだけどなぁ?今回、君が逃げ出した子は君みたいに親を殺されたり、若しくは売られたりしたものだ、中には孤児院から売られた子もいる。 勿論攫われてきた子供たちもいるがさっき言った境遇の子供たちには帰る場所が無い。」
「僕、お金なんて持ってないから養えないぞ……」
少年は白い少女が何を考え、此れから何を取引に出すのか想像できたがあえてそう答えた。
「君の戦闘能力を買おう。本来戦いを好まず、憎み、恐ろしく強い人型兵器。だが子供達の身を自身を犠牲までにして案じた心やさしき少年。 君のその在り方が気に入った。 家族になれば子供たちを安全な場所で保護し、幸せな生活を送れるように援助しよう。」
「女神様かと思ったのに悪魔みたいな奴だな。」
「よくいわれる。それで返答は如何に? 少年。」
「それで子供たちが幸せな日々を過ごせるなら……」
「良し! 決まりだな! 彼らを助けを呼んだ女の子の実家のマグドレア教会に預けよう 寄付金もはずむぞう~♪ それだけに見合う価値を君はもっている。」
白い少女は心底、上機嫌にその場でくるくる回りだす。
「そうそう そうだった 君の名前42号だっけ? 本当の名前は覚えてないの?」
いや 覚えてる。 両親が着けてくれた名前だ忘れるわけが無い。
「バアル・ゼブル でも両親はベルゼって呼んでた。」
「【気高き王】かいい真名だ。では私もベルゼって呼ばせて貰うよ。」
「……あんたは?」
「おっと! 私か! これはいけない未だ名乗ってなかった。」
どこか抜けてる人だな
「真名は何時か取り返さねばならないから今は済まないが名乗れないだからこう呼んでくれ。」
「ルー・ラ・ブランク・ディアブル 人呼んで【白い悪魔 ルー】だルーって呼んでくれ。ベルゼ」
今日からよろしくっと白い悪魔はほほ笑んだ。
この日、僕は地獄の底で、白い悪魔と出会った。
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