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強くてニューゲーム!  作者: 存在がフィクション
第1章【小さな巨人】
3/5

ep1-1

目を覚ますとそこには知らない女性の顔があった


「おめでとうございます! 元気な男の子ですよ! 」


「おぎゃあ! おぎゃあ! 」


「やったなアリア! 」


「ええ……絶対に幸せにしましょうね。あなた」


声のする方を見ると、そこには若き日の母さんと親父の姿があった。


うおっ、すげー。まじで生き返ったのか俺。しかも赤ん坊から。


「ふふ。可愛い」


「顔はアリアに似ているのかな? 」


「そうね。目元なんか私そっくり」


幸せそうな両親。前世? では魔王を倒してくるという俺を涙ながらに見送ってくれたっけ。


……そうか。俺はこの人たちのいる世界を背負っていたんだな。


「しかし、思ってたほど泣かないものなのだな、赤ん坊は」


「ええ、大丈夫なのかしら」


「お? おぎゃー! おぎゃー! あうばぶ」


まだ脳が成長していないからか全く喋れない。いやまぁ赤ん坊がいきなり「心配いらない。俺は元気だ」とか言ったら大事件だからまぁいいか。


「ねぇ。名前は何にしましょうか? 」


「ああ、私もずっと考えていてね。男の子の時は」


あー。眠い。しかし母さんの腕の中は落ち着くなぁ。













~5年後・自宅の庭~


親父の見守る中、初級の魔法で小さな火球を放つ。


「おー! 凄いなカロン! もう魔法が使えるのか! 」


「おう! これくらいなら余裕だな」


「さすが私の息子だ! 」


今までは歳相応に振舞ってきたが、そろそろスーパー神童タイムを始めようと思う。


「将来は確実に大物だなぁ」


うんうんと頷く親父。


「大物になんてならなくていいのよ。のびのびと幸せに暮らせればね」


俺の頭を撫でながら微笑む母さん。


「今年からは学院に入学するし。楽しみだなぁ」


学院か。あー、いい思い出がねぇ。


だがしかしっ! 二度目の人生だ。順風満帆な学生生活を送ってやるぜ。


この時の俺はとても5歳児とは思えない顔をしていただろう。







~3ヵ月後・ヨトゥンヘイム学院~


あの後、特に問題もなく学院の入学式を迎えた俺。


現在は入学前の身体測定と能力測定を行っている


「はい、ヨシュア君。Lvは1」


この能力測定とはその人の持つ筋力や魔力、知力などを総合して数値化したものであり、一般の成人男性の平均Lvは15である。


「ジャネットちゃん。Lvは1」


なので、プロローグで俺が魔王にLv28とバカにされたが、一般人と比べれば相当な物なのだ。まぁ冒険者や魔術師などの魔物と戦うような職業の人達からすれば、Lv28は中堅もいい所であるのだが。


「アリスちゃん。おおっすごーい。Lv3」


そして、今の俺達の年齢でいけば普通はLv1。将来有望と注目されるのがLv3くらい。俺の記憶が正しければ、俺の代の最高Lvは5だったかな。


まぁここら辺は正直どんぐりの背比べだけどな。低レベル帯はすぐにレベルアップするし。


「……どうも」


Lv3という測定結果が出たアリスという少女は注目されたのが恥ずかしかったのか顔を真っ赤にしていた。可愛い。


「おおおおおおっ! シェバ君Lv5!? すごい! 」


「はっはーん。当然さ。僕はパパのように立派な剣士にならなきゃいけないからね」


髪をかきあげるシェバ君。


「ははっ。lv5であんな得意気になっちゃって可愛いな」


ボソッと呟いてしまっただけなのだが。


「なんだって? 君、今とても不愉快な事を言ったよね? 」


うわーとんでもない地獄耳だ。


ってか5歳児のくせに不愉快とか使うなよ。


「2歳の時から僕は剣や勉強、音楽などを習ってきたんだ。それで得た結果をバカにされるのはとても不愉快なんだよ」


「あー。そうか。それはすまなかった。謝ろう」


どうせこの後注目されるのに今ここで更に注目は集めたくなかったので謝っておいた。


「ふん。平民のくせに生意気なんだよ」


あー。貴族だったのかこいつ。道理でこう……かませ犬な感じがするわけだ。


「ほらほらー。仲良くしましょうねー? じゃあカロン君。Lv測定するよー」


Lvを測定する為、俺は設置された台座に手を乗せる。あー嫌だな。


「えーと。カロン君。Lv28……え!? ご、ごめん。もう一回やり直してくれる? 」


まぁこうなるよな。


「あー。ちょっと機械の調子が悪いみたい。待っててね。違う機械持ってくるから」


いや、何度やっても同じなんだけど。


ざわざわとうるさくなる周囲。他の先生も何事かと集まってくる。


「だ、ダメだ。何回やっても同じ」


まぁ先生の気持も分かる。学校の教師ならおそらく高くてもLv20くらいだろう。


それを5歳児が越しているなんてあり得ない、あり得てはいけない事だ。


「ちょ、ちょっとカロン君はこっちに来てね。みなさーん! なんでもありませーん! 機械の故障ですのでー! 」


先生が周囲の皆さんに呼びかける。この配慮はありがたい。お陰で化物を見るような視線は減ったからな。


「あー。どうやって説明するかな」


そしてこれからどうやって納得してもらうかを考えて頭を痛くする俺だった。

【学生】カロン Lv28

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