僕の小説をプレゼンします
おはようございます、みなさん
これからみなさんに、僕の小説をプレゼンします
いえ内容のことではありません
僕がどんな小説を書いたかなんて、みなさんは興味がないことと思いますので──
僕がこれからみなさんにプレゼンするのは「僕の小説がどれだけ読まれていないか」ということです
日本一の小説投稿サイト『小説家になりお』で、僕は先日長編作品を完結させました
658話
1,328,694文字の大作です
ジャンルはSFで……
まぁ内容に関してはどうでもいいでしょう
これだけの長さでありながら
なんとポイントはゼロです
「何回ページが表示されたか」を示すpvというデータがあるのですが
1,281pvでした
658部分ありながら
一話が二回も読まれていない計算です
「何人のユーザーさんが僕の小説を表示したか」を示すユニークという数字があるのですが
三人でした
三年かけて完結させたにも関わらず
凄いと思いませんか?
これほど読まれない小説が他にあるんでしょうか?
念のため言っておきますが
もちろん設定を『評価を受け付けない』や『検索結果から除外する』にしているなんてことはありません
タグにはキーワードを最大の15までビッシリ入れています
SFですので流行りのキーワードはひとつもないですが
それでもたとえば『量子力学』なんて誰かが検索しそうだと思うんですがね
Xなどで宣伝もバンバンしました
フォロワー数は三人しかいませんけど、それでも何も宣伝しないよりはいいと思って──
それでも信じられないほどに読まれてないんです
このまま放置すれば、もしかしたら『世界一読まれていないweb小説』としてギネスに載ったりするかもしれません
いや、上には……じゃなくて、下には下がいるのかな?
まぁとにかく
とにかくですよ?
そんな不名誉な記録など僕は狙っていないのです
そこでみなさん
想像してみてください
みなさんがもし、僕の小説を読んだら?
そしてポイントを入れてくれたら、僕の小説の最低にショボい数字は、どんどん、めきめきと増えることでしょう
そしてみなさん
想像してみてください
今日みたいによく晴れた青空の下にはとても似合わない、この、僕の、今にも死にそうな、なすびとひょうたんを足して2で割ったような冴えない顔に、喜びの花が開くのを!
あなたが読めば、ポイントを入れれば、ブックマークすれば、感想をくだされば、それどころかレビューなどくだされば!
僕はきっと笑顔になるでしょう
それではみなさん、ありがとうございました
これにてプレゼンを終了します
それではよい一日を
そう言って男は手を振りながら、家族連れで賑わう海浜公園のステージを降りていった。
小説のタイトルも何も言わなかったので、誰も彼の小説を読むことはなかった。




