表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

閑話

あの子は、泣かなかった


(フィア・ルミナ視点)


――私の名前は、フィア・ルミナ。


レインとは、同じ村で育った。

生まれた時から、隣にいた。



レインのお父さんが帰ってこなくなった日。

村は、妙に静かだった。


私は母に連れられて、レインの家に行った。


扉は開いていた。


中では、

小さな背中が、剣を振っていた。


「……レイン?」


振り向いた彼の顔は、

泣いていなかった。


怒っても、悲しんでもいない。


ただ、止まっていなかった。



私は床に落ちていた魔法書を拾った。


「……これ、読むの?」


「うん。剣のあと」


普通は、逆だと思った。


でも、レインにとっては、

どちらも同じだった。



数日後、私は“魔法”を感じた。


川辺で手を伸ばした瞬間、

空気が揺れた。


怖くなって、

レインにだけ話した。


「ねえ……魔法って、どう思う?」


「……難しい。でも、分かる」


その言葉が、

なぜか、胸に刺さった。



私は、彼にだけ、見せた。


指先に、小さな火花。


成功とは言えない。

それでも――確かに魔法だった。


「……すごい」


レインは、そう言った。


驚きも、疑いもなく。


ただ、事実として。



「レインは、剣士になるの?」


「……剣は使う」


「魔法は?」


「……捨てない」


その言い方が、

あまりにも自然で。


私は思った。


この子は、

間違っても、止まらない。



だから、決めた。


レインが剣を振るなら、

私は魔法を使う。


隣に立つために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ