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炬燵とルーメン

作者: 畑雷魚

全国に初雪のニュースを伝えるテレビ、6.3インチの自分の世界と睨めっこしていた。

父と二人きりで過ごし始めて18年。私と父はビックイベントを迎えていた。

今時の子は生まれてから18年で成人式を迎えるのに、私は1年と2ヶ月半成人式を置いてけぼりにしている。私が小学生の頃、みんなに離されないように憧れたのはピンクの服でもたまごっちでもなくこたつだった。やっとの思いで入れたこたつ。これがみんなが言ってるぬくぬくなのかと赤らめた頬は、なぜ頬が赤らんだのかを小さな私には教えてくれなかった。今日までにそんな憧れで部屋は埋もれていったのに、小さな私はそれすらも気づかなかった。きっと背が小さかったからだ。

父が何食わぬ顔でニュースを見ている。じっと。

父は1年と11ヶ月前に筋萎縮性側索硬化症という筋肉が徐々に動かなくなる難病に犯された。徐々に弱っていく父を見て、「かの有名なスティーブン・ホーキング博士と同じ病にかかるなんて、父さんも天才だったみたいだね」と笑い飛ばそうとした父のことが腹立たしくなる。私はずっと泣いていたのに、父はずっと笑っていた。痩せ我慢しているだけだと思っていたけど娘の目は騙せない。父の目の奥は明るかった。

明日は父が病を患ってからちょうど2年。昔から遠出や旅行は数えなくてもわかるほどしかしていなかったが、少しでも父との思い出を残そうと1年に1回だけ、明日だけは私が旅行プランを考えて、二人で思い出作りをするのだ。「1年に1回旅行をしよう。」とせめて娘ができることをしようと元気付けようとした私に対して、「そんなに焦らなくてもいいのに」と乾笑いをした父を初めて怒鳴って、泣いて、慰められた私のグチャグチャの顔を大きな手で撫でて「父さんが歩けなくなっても一緒に行ってくれるか」と冗談混じりに笑う父を見てまた泣いた。なぜだかその時は目の奥に光が見えなかったからだけど、それを父には秘密にしておいた。

そういえば明日は雪が降るらしい。車椅子にホイールカバーをつけて、びっしり滑り止めのついた手袋を靴箱に置いてから私は自分の部屋に戻った。最近テレビはつまらなくなったけど、ニュース番組のお天気予報のコーナーは見る価値があるのかもしれない。楽しみに胸を焦がす私の頬は温度を下げるように徐々に熱くなった。

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