ある晴れた昼下がりの6
瞬間的に戦闘体制に思考が切り替わる。
左右の指で簡易の身体強化術式と結界術式を記述発動させつつ、口からは口頭術式の詠唱による魔法を発動させるべく高速詠唱を行う。
「貫く真空の矢」
ドアを蹴り破り外へ出る。同時に発動が終わっている魔法を魔力波の放出中心にむけて開放する。不可視の矢が定められた方向に向けて接触するものを粉砕しながら恐ろしい速度で進む。
グジュ
微かに聞こえた果実が潰れるような音を頼りにそちらの方へと駆ける。身体能力が強化されているので消えたように見えるほどの速さだ。
「貴様・・・」
魔力波の中心地点にいたのは片腕が潰れていた魔族であった。角の大きさと太さからして下級であろうと当たりをつける。
「ぐあぁ!」
叫びと同時に魔族の口の前に火球が生まれる。
が、魔族であると分かった時点で一切の容赦はしない。会話も交渉もしない。何故ならば魔族は数多種族がある人種族の天敵であるからだ。
「なっ・・」
相手の魔族には何が起こったか分からなかったであろうか。相手が吠えて火球を生み出した時点で私は腰の小剣を抜き出し、刀身に刻まれている術式に魔力を流して氷の刀身を形成。
それを背後から首筋へと一閃した。
「ごポゥ」
何か喋ろうとしたのであろうが、口の中に溜まった血を吐き出す音しか耳に届くことはなかった。
胴体と分たれた頭が地面へと落ちるよりも先に、ブーツの裏に仕込んだ魔法式に魔力を流す。右足の裏から地面に魔法陣が広がり、頭を失って倒れようとしている体と、地面に落ちようとしている頭部が円柱状に爆発する爆炎の柱に飲まれ燃え尽きる。
「脆いな」
足裏に流していた魔力を絞ると魔法陣が消失し、発生していた爆炎柱が霧散する。
一瞬の攻防にも関わらず、あたりの温度が急激に上がっていた。
辺りに他の魔族がいないか気配を探る。異常がなかったので魔族がいた場所へと注意を向ける。そこには奇妙な形の魔石が落ちていた。
この世界の不思議として魔石は専門の加工法でなければ壊れたり形を変えることはない。だからどれだけ威力の高い攻撃を加えても魔石が壊れることはない。また質の低い魔石ほど真球に近く、質の高い魔石ほど歪な形をしている。
過去に発生した魔王を倒した勇者が持ち帰った魔石は大振りの両手剣の形をしていたとか何とか。




