ある晴れた昼下がりの5
あの後お風呂に入り、ぐっすり寝た。その間に特に語るようなトラブルもなく、穏やかな朝を迎えることができていた。
朝から焼き固めて乾燥させられているパンを、甘くしたコーヒーに浸してふやかしながら食べる。蛋白質が足りないような気もするが甘いものは正義だと思っている。教会に残されていた保存食は量も内容も豊富なのでしばらくは困らないだろう。
「さてと」
相変わらず神像の掌で明滅しているリンゴに声をかける。
「リンゴさーん、ちょっと周辺の地理とかわかりそうなもの探してくるからねー」
返事なのか明滅のタイミングを変化させるあたり芸が細かい。
話しかけながら新しい肌着や上着を身にまとう。亜空間にしまっている洗濯物が溜まって生きているので探索が終わったら洗濯したいななどと考えつつ、かなり軽装ではあるがホルスターに単杖と短剣を装着して準備を完了させる。
魔物の気配はしないため問題無いだろうとは思うがこの世界はいつ襲われるかもわからないのも事実。準備は怠ってはならない。
「行ってきまーす」
リンゴに向けて声をかけ外に向かう。左手の腕時計を確認するも時計が今居ている地域の時間に合っているのかも定かではないことを思い出し、思わず苦笑してしまった。
教会の外に出た。空は綺麗に晴れ渡っており、上着を羽織っていない状態であれば少し肌寒く感じる。秋と冬の間にいることがわかり、冬が好きな私としては少し嬉しくなる。
本来であれば村人や旅人で活気がある時間帯であろうと思われるが現実は散々な状態だった。
火の魔物に思考などあるはずもなく、滅多やたらと無秩序に燃やして回ったために街は見る影もなかった。そのため移動するのも一苦労な状況で探索は難航した。かろうじて残っていた商店には、廃村にするときに持ち出せなかったであろう残置物が残っていたが手掛かりになりそうなものはなかった。役所の出張所などもなく、村長の家であろうと思われる大きな家だったものは、立地の問題か跡形もなく燃やし尽くされていた。
「何もわからん」
午前中を探索に費やし、書き置きの一つでもないものかと無事に残っている家などにも侵入してはみたものの空振りに終わった。そんな無事に残っている家の中に、丁度いい椅子があったので腰掛けて一休みしている。
周辺の地図を見つけることが出来なかったのでこのまま街道をいくしかないかとぼんやり今後の方針を考えていると、突然村の外から強い魔力波が届いた。




