ダンジョンはお日柄もよく8
爆炎壁の設置場所に近づく。我ながら綺麗な魔法陣と必要十分な魔力量を込めれたものだと自画自賛してしまう。
まぁ付近から強制的に魔力を吸い上げるようにしているのであ、の、いやらしい転移罠対策としても機能しているところは本当に自分を褒めてあげたい。
「ゴブリンの落ちて来る速度が目に見えて減ってるからそろそろ打ち止めかな?」
速度を緩めつつ付近の地面に降りる。一瞬転移罠が作動しないかドキドキしたが爆炎壁に魔力を吸い上げられているためか機能していないようだった。想定どうり。
いつ爆炎壁を解除しようかと思案しながら周辺を彷徨いていると、肩に乗った佐藤さんが注意しろと想話を送ってくる。
「何かくる?」
空中に意識を向けると明らかにゴブリンではない存在が転移してきた。保有魔力の量がとんでもないことが感覚的にわかる。
「貴様が余の信仰を邪魔しているものか?」
目を離したわけではなかったが、瞬間移動の類であろう技にて目の前に現れる。
「ゴブリンを大量に駆除している仕事人という意味では俺だな」
懐の短杖に手をかけつつそう答える。
「なるほど、では死ね」
言うがはやいか振り翳した手から黒い波動がばら撒かれる。
「っつ」
左手の薬指にはめた指輪に魔力を流し自身を球形の防護結界にて包む。
「いきなり手荒なことするなぁ貴様」
防いだことが驚きだったのか一瞬表情に驚きの様子が浮かぶのを見逃さなかった。
「我の一撃を初見で防ぐとはな」
全身真っ黒の鎧を着ているこの相手は確実に魔族である。それも単なる動作で腐敗や分解に通じる魔法を放つあたりかなり高位の。
「お褒めに預かり光栄ですがっ」
右の親指に刻み込んだ光弾の魔術を放つ。
「ふん」
かなり高位の魔獣にも穴開ける威力なんだがこの光弾。ふんの一言で弾き飛ばすとかヤダ怖い。
「我が名はプラーク。想像どうり魔族だ」
そう言うと再び手を振り抜く。黒い刃が手の軌跡に沿ってこちらに飛んでくる。
防護結界はこれ意味ないなと判断し咄嗟に横によける。掠った結界がボロボロと何かに侵食されるように崩れていく。
「なかなか勘のいい奴だな」
そう言いながら球、矢、斬撃と様々な形の魔法を手のふりと共に放ってくる。
「当たらなければどうと言うことはないよ」
直線的な軌道ばかりなのでかわすことは容易い。
「良い良い、人にしてはなかなかやるではないか」
高笑いを上げながらさまざまな魔法を放ってくる。魔族はこれだから始末が悪い。
「随分と弱い人間としか戦ったことないんだなあんた」
軽く挑発する。
「そのような見え透いた挑発にのるような余ではないわ」
挑発失敗。まぁ逃げ回りながら魔術式は構築してある。
「打ち返してこぬのか?よもや先ほどの光弾が全てではあるまいよ」
くっくっくっとこちらを馬鹿にしているような余裕を見せてくる。
「当たり前だ!」
最後の一文字を描き上げて魔力を流す。
「ぬ!」
光り輝いた魔術式に驚いたのか一瞬動きが止まる。
描き上げた魔術式からプラークに向けて光の鎖が伸びる。相手の魔法を避けながらかなりの範囲に構築した光の鎖による捕縛術式だ。逃げれるのなら逃げてみろ。
「攻撃が来るかと思ったのだがな」
光の鎖が届くかと言うタイミングで空中に転移して逃げる。
「あ、ま、い」
満面の笑みでそう言ってやる。ついでに親指も下向きに下げてだ。
ホーミングして追いかける鎖に片足を絡みとられ地面へと叩きつけられる。そこへ残りの鎖が殺到する。
まさか攻撃魔術以外で無力化されるとは思っていなかったようで、光の鎖でがんじがらめになった魔族が驚愕の表情でこちらを見ていた。




