ダンジョンはお日柄もよく7
「召喚!」
両手を地面に押し当て召喚陣を起動する。魔法陣や魔術と違う理屈で出来上がっている術なのであまり人気のない術ではある。
「掃除屋を呼ぶのか」
身清めの魔術で綺麗になったソードマンが関心関心と頭を撫でてくる。
「やめろ撫でるな」
くすぐったくて思わず逃げてしまう。ワハハと笑っているソードマンに溜息をつきながら起動した召喚陣を見守る。少し時間はかかったが友としているスライムが突然の呼び出しにも関わらず来てくれた。
「ありがとう佐藤さん」
大きなフヨフヨとしたその巨体に抱きつきながら感謝を伝える。ソードマンは佐藤さんと呼ばれたスライムに向けて綺麗な礼して挨拶していた。
急な呼び出しはほんとに困るのよね、という意図の感情とも念話ともつかない意思が目の前のスライムさんから飛んでくる。
「ごめんよ佐藤さん。でもお腹いっぱいになる事態になってててね」
周囲の状況を見ればわかる、それに友の頼みなので嫌じゃないと言うややツンデレな想いが飛んでくる。
「見事なツンデレですな佐藤様」
ソードマンがくっくっくと笑いながらそう言うと、スライムはうるさい過保護という想いを飛ばして仕事に取り掛かり始める。
「魔石はリンゴに渡してくれると助かるよ」
この規模だとダンジョンの維持や管理に使えそうだしねと言うと、ついにあの性悪精霊はダンジョンに取り込まれたか、と佐藤さんから伝わってくる。
「性悪精霊とは言いますな佐藤様」
腹を抱えて大爆笑しているソードマン。頭の中であのスライム絶対泣かしますと怒りの念話を届けて来るリンゴさん。
「佐藤さんリンゴさんが絶対泣かすって」
伝えてくださいマスターとリンゴさんが言って来るので伝えたら、体を器用に変化させ、どこかでこの状況を見ているであろうリンゴさんに向けて爆笑と文字を書いていた。
「あまりに怒っているので念話は切りました」
ふうやれやれと頭を振ると、ソードマンが剣の形に戻っていた。
「名残惜しいが主人どのよ。また必要な時は声をかけてほしい。」
そう言うと空間に溶けて消えていった。
最後に佐藤に礼をして主人殿を頼みますと言ったら、礼儀正しき其方のためにも、と返していた。二人のやりとりを見ているともう私もいい歳なのだがと思わなくもないが、ありがたくも感じるので黙っておく。
そんな中落下地点に設置した爆炎壁の魔法陣の方を確認すると、未だに空中からゴブリンは落下してきているがその数もペースも目に見えて落ちているようだった。
「こりゃネタが尽きてきたかな?」
そう呟くといつの間にか肩の上に小さな佐藤さんが乗っていて、油断はいけないと想話してくる。
周囲はいつの間にか佐藤さんが処理してくれたおかげで地表も含め綺麗になっており、臭いも幾分かマシになっている。喰らう、大きくなる、分裂する、のサイクルで周辺をかなりの速さで綺麗にしていってくれている。
「ありがとう佐藤さん」
肩の上のミニ佐藤さんにそう伝えるとよせやい、と照れていた。かなり距離があるのと佐藤さんの仕事の邪魔になるので飛行の魔術を使い爆炎壁の元へと向かう。
空中に上がって解ったことは一国の首都なら落とせるであろう量のゴブリンがいたと言うことだった。




