ダンジョンはお日柄もよく6
いつの間にトラップが復活したのか。いや、多分リンゴさんが再起動なり、効果範囲を弄ったりなどして機能するようにしたのではないかと思う。
やつは優秀なのでそれぐらいはやる。そして引っ掛かっている俺を見て大爆笑してるはず。
「帰ったら覚えておけよリンゴさん!」
叫びながら地面に広範囲の爆炎魔法を放つ。
ゴブリンの集団なので特に危険ということはない。空中にいる私にはそもそも手が出せないしね。
あ、矢はやめて矢は。
慌てて矢避けの魔術を起動する。
「しかしこれ見渡す限りいるなぁ」
魔法陣の上に立ちながら下の様子をみる。見渡す限りの場所にゴブリンが犇めいているし、空中には未だ衰えぬペースでゴブリンが転移してきている。
上着の内側から単杖を取り出す。魔力を流しながら空中に複数の魔法陣を淀み無く構築していく。作り出すのは立ち昇る炎の壁だ。転移ポイントの真下に設置して落ちてくるゴブリンを焼き尽くす。
「後は範囲指定して、と」
七つ目の魔法陣を描き終え全てを重ねるように転移ポイントの真下に移動させる。
「いけ!」
魔法陣がゆっくりと動き出し拡大していく。これで後は勝手に落ちてくるゴブリンを焼いてくれるだろう。
「残りをどうするかだなぁ」
この数いちいち相手にするのは手間だなぁと悩んでいると脳内にリンゴの声がする。
(マスター?さっさとやっちゃってくださーい)
いや、わかってますけど。
「しゃあない。真剣にやるか」
単杖をホルスターに戻し、ブレスレットに魔力を通しながら何もない空間から身の丈ほどもありそうな杖を取り出す。
「はいよーしるばーごーなへー!」
叫びながら地面に向かって落下する。地面というかゴブリンの絨毯に向かって。
取り出した杖に魔力を流す。杖の表面に複数の紋様が浮かび上がり周囲に光線を撒き散らす。
「久しぶりだが絶好調だな」
自らの手の中で魔力をぐんぐんと吸いながら、周囲に光線を撒き散らす長杖を振り回す。
製作魔具雷鳴の杖は今日も絶好調だ。
「とりあえずっと」
杖を振り回しながら指で魔術式を構築する。
「出よ我が友人よ!」
魔術式が一際大きく輝くと剣の形を形造り目の前に現れる。
「友よなかなか面白い状況にあるな」
剣が震えるように喋る
「全部リンゴのせいだ」
長杖を振り回しながらそう言うと脳内で抗議の声がするが無視する。
「はっはっは、であるならば我も巻き込まれようぞ」
そう剣が言うと一際大きく輝き、光の中から金髪の筋骨隆々とした鎧の騎士が現れる。
「ケイトが従者の一人ソードマン参る!」
ソードマンと名乗った男は身の丈ほどもある大剣を目にも止まらぬ速さで振り回し、周囲のゴブリンを蹴散らしていく。
「そちら側は任せた!」
ケイトはソードマンにそう言うと反対側へと長杖を振り回しながら駆け出していく。途中に通常種ではないゴブリンもいたようであるが、ものの数ではなかった。
一時間ほどの殲滅戦であった。周囲には魔物の死体と悪臭が立ち込め、その中心で立つケイトとソードマンは返り血や臓物に塗れ散々な有様であったが満足そうに背中を預けあっていた。




