ダンジョンはお日柄もよく4
「なるほどすねー」
お茶を自分で用意し、ゆっくりと昼食をとりつつ話を合わせる。側から見たら滑稽だ。
「へーそうなんですかー」
相槌を挟むことも忘れない。なぜなら機嫌が悪くなるからだ。会話の中身に気になる部分がなければ即切り上げて帰路についている。
「ちょっとあなたきちんと聞いていますの_?」
ぷりぷりと怒りを露わにする封印の巫女殿。いやきちんと聞いておりますよと返しつつお茶を啜る。茶請けには乾燥させた果物も忘れない。ちなみに封印の巫女殿はお茶が気に入ったのか頻繁におかわりを所望される。
「で、結局ここは何なんですか?」
話が随分と巡るようになってきた事から頃合いかと思い質問を投げつける。何かを封印しているのは今までの話からも理解はできるが、肝心の情報が出てこない。
「ここは封印の迷宮です。何を封印しているかはこの際奥の部屋に来た人には知る権利があります」
優雅にお茶を嗜みつつそう答える封印の巫女。結構な量飲んでるけどトイレとか大丈夫かななどと考える。
「ということは私にも知る権利があるということですね」
真顔で聞き返すと微妙な顔で首を傾げる封印の巫女。
「あなたは実力でここに来たわけではありませんので・・・」
残念ですがとでも言いたげな雰囲気を出す。勝手にこの部屋まで連れてきておいてそりゃないっすよと思う。あのまま俺の右手が火を吹いていたら厄介な転移罠も破壊し、のんびり攻略できていたことだろうに。
「ですが、この部屋に連れてこなければいけないほどの実力者というのも事実です。ですから特別にお教えいたしましょう」
風向きが急に変わった。お茶と長く辛抱強く話を聞いていた甲斐があったということか。
「では話を続けましょう。私の気が変わる前に」
「よろしくお願いいたします」
封印の巫女にそう返すと封印の巫女は手を空中にかざすと映像を投射した。
「これはこの世界に流れ着いてくるものを視覚的にわかりやすく形にしたものです」
見るからに形状のおかしい生き物、知りうる限りの生態系に属していないことが一目でわかる生物、明らかに文化的に存在しない形状の道具たち、見るからにこの世のものではいとわかるものたちが映し出される。
「見たことはありますか?」
映像を流しながら巫女は聞いてくる。
「私の人生の中でこのようなものは一度もありませんね」
映像から目が離せない。知らないものなのにこの世界にあってはいけないものだと感覚的にわかる。美しい生き物もいた、奇妙なものもあった。ただそのどれもがこの世界に存在しないはずのもであると直感で理解できてしまった。
「そうでしょう。この世ならざる場所から流れてくるものを封じるための場所がこの封印迷宮です」
そう言い終えると映像を消した。
「封印の迷宮はここ一つではありませんが、本来現界には接続できないようになっていたのです」
そう言うと頭を抱える封印の巫女。
「あれらが何を意味するかわかりませんが、この迷宮は実際に現界に存在し、入り口を見つけることができました」
魔素密度の高いところを目指して進んだ結果発見に漕ぎつけたことを伝える。封印の巫女は驚きつつも対策を立てないとと何やら作業を始める。
そんな時にずっとふよふよと浮いていたコアらしきものからけたたましい警報音が流れ始めた。




