ダンジョンはお日柄もよく3
全力の一撃で地面にクレーターを作成する予定だったんですよ。久しぶりに起動させた右手が疼く君1号が火を吹くはずだったんです文字通り。
「それがなぜこうなった・・・」
あの瞬間高度な立体魔法陣が形成され気がつくと今の場所にいた。具体的には多分これダンジョンの最奥だな。なんかコアっぽいものがフヨフヨ浮いているし。目の前には明らかに現界の民ではない雰囲気を漂わせる金髪お姉さんが半泣きで椅子に座ってるし。
「本当に信じられません」
目元の涙を拭いながらこちらに対して恨みがましい目を向けてくる。いや泣きたいのはこちらなんだが。
「私の名前はケイトと言います。とりあえず現状について説明をしていただけますか?」
できる限り穏便に、紳士的に。亡きおじいちゃんの教えだ。
「申し訳ありません、取り乱しました」
金髪お姉さんは居住まいを正しこちらにペコっとお辞儀をしてきた。
「私は封印の巫女と呼ばれております」
自らをそう名乗った金髪美女。それは名前なのかという疑問が頭によぎるが、何かシリアスな雰囲気なので発言は控える。
「先ほどのあなたの行為ですが、あれはこの封印迷宮のシステムに致命的な損傷を与えるものであると判断しました」
そういうと大きなため息をつく。
「それはそれは失礼いたしました」
一応謝罪を述べる。納得はしていないが、そこは社会人で培った技能で難なく乗り切る。
「しかし未侵入の迷宮を見つけ、侵入を試みるのは人間の性とでもいましょうか、冒険者としては特段異常なこととは思えないのですが」
自称封印の巫女にこちらからも異を唱える。
「えぇ、人というものがそのような生き物であることは私も認識しております。ですが、ここはそう言った場所ではないのです」
大きなため息と共にやれやれといった様子を隠そうともせず言ってくる姿に軽く苛立ちを覚える。
「こちらとしましては、侵入した先の罠の解除のために破壊を試みただけでして」
あくまでも丁寧に。
「どうして現界に入り口がつながってしまったのでしょうか?本当に困ったわ」
あ、これ話聞かないタイプか。困るなー。
「そちらの事情は存じ上げませんが、私としては迷宮にめぼしい宝などがなければ旅を続けるために戻りたいのですが」
「迷宮の内容については申し上げられませんの。当然でしょう?そんなこともお分かりにならないのですか?」
不思議そうにしている封印の巫女に込み上げてくる苛立ちを堪えつつ。長丁場になりそうだと諦めることとする。




