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愛しの猫耳メイドさんの秘密の世界線 シーズン02 第3章4節:決裂と騎士のじゃんけん



#本編 #シーズン2


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第3章4節:決裂と騎士のじゃんけん

地下都市は、地熱の光で輝く、美しい場所だった。 しかし、そこに住まう民の表情は、皆、暗く、硬い。 天空の民への不信と、資源の枯渇への恐怖が、街全体を重く支配していた。


地下の民のリーダーとの交渉は、案の定、決裂した。


「天空の民など、信用できるか!奴らは、我々から全てを奪う気だ!」


リーダーは、そう吐き捨てると、交渉の席を立ってしまった。 広間には、一触即発の、危険な空気が満ちている。 ミミとリリアナは、ご主人様のローブの裾を、不安そうに握りしめた。


その、張り詰めた空気を、切り裂いたのは、エリスの、凛とした声だった。


「…ご主人様」


エリスは、ご主人様の前に立つと、その翠色の瞳で、まっすぐにご主人様を見つめた。


「私と、じゃんけん勝負をしてください」


「…エリス?」


「今の、この淀んだ空気を吹き飛ばすには、これしかありません!」


エリスの、そのあまりにも突拍子もない提案に、ご主人様だけでなく、周りにいた地下の民たちも、呆気にとられている。 しかし、ご主人様は、すぐにその意図を察し、にやりと笑った。


「…面白い。いいだろう、エリス。その勝負、受けよう」


ご主人様は、ミミとリリアナに目配せをすると、広場の中央で、エリスと向かい合った。 もちろん、二人は、その様子を、柱の陰から固唾を飲んで見守り始めた。


【サービスシーン: タイプH】 【覗き見と羨望の連鎖ルール適用】


柱の陰から、ミミとリリアナは、固唾を飲んで、二人の様子を覗き見ていた。


(エリスさん、一体何を考えているんですにゃ…?)


ミミが、心配そうに呟く。


(分かりませんわ。ですが、きっと、彼女なりの考えがあるのでしょう。…あの、真っ直ぐな瞳…)


リリアナが、ごくり、と喉を鳴らす。


広場の中央で、エリスは、意を決したように、右手を後ろに隠した。


「いきます! じゃん、けん…!」


ご主人様が、ゆっくりと「グー」を出す。 その瞬間、エリスが出したのは…。


「ぽん!」


力強い掛け声と共に、エリスが出したのは、そのグーを力強く打ち破る、「パー」 だった。


(勝ち…! あの子は、やはり、勝ちを選んだ…!)


ミミとリリアナは、ごくり、と喉を鳴らした。 この、一触即発の状況で、一体、どんなご褒美をねだるというのだろうか。


「私の、勝ちですね! それでは、ご褒美、いただきます!」


エリスは、にやりと笑うと、腰に下げていた剣を抜き放った。


「ご主人様! 私と、本気で、戦ってください!」


「…!」


その、あまりにも予想外で、そして、あまりにもエリスらしいおねだりに、覗き見ていたミミとリリアナだけでなく、周りで見ていた地下の民たちも、度肝を抜かれた。


ご主人様は、一瞬驚いた顔をしたが、すぐに、心から楽しそうに笑った。


「ははは、そうこなくっちゃな! いいだろう、エリス! お前の本気、見せてみろ!」


ご主人様もまた、どこからともなく現れた剣を手に取った。


(ご褒美:本気の模擬戦)


キィン! と、甲高い金属音が、広場に響き渡る。 二人の剣が、激しく火花を散らす。 それは、もはや、ただの模擬戦ではない。 互いの魂を、その剣に乗せて、ぶつけ合う、激しくも官能的な、愛の交歓だった。


エリスの瞳は、喜びに輝いている。 ご主人様の剣を、その身で受け止めるたびに、彼女の頬が、恍惚に赤く染まっていく。


(すごい…! あれが、エリスさんの、愛情表現…!)


ミミは、そのあまりの激しさに、少しだけ、戸惑いを覚えた。


(剣を交えることで、魂を確かめ合う…。なんて、情熱的なのでしょう。…私には、真似できそうにありませんわ…)


リリアナは、感嘆のため息を漏らした。


やがて、長い打ち合いの末、二人の剣が、同時に、互いの首筋に突きつけられた。 引き分けだ。


「…はぁ、はぁ…。さすが、です…ご主人様…」


「…お前もな、エリス。見事な剣だった」


二人は、汗だくのまま、見つめ合い、そして、満足そうに笑い合った。 その、あまりにも清々しく、そして、美しい光景に、周りで見ていた地下の民たちも、いつの間にか、その敵意を忘れ、拍手を送っていた。


エリスの、破天荒なじゃんけん勝負が、確かに、この場の空気を変えたのだ。


#シーズン2 #本編



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